今月8日のミャゴラトーリ「ガラ・コンサート」に続き、昨夜の「バリトンリサイタル」で、須藤慎吾という歌手の底力を見せられた思いがした。
ガラ・コンサートでは、例えば「リゴレット」の、あの有名な四重唱などを歌ったが、ステージの隅に立つだけで、また最初の声を発するだけでその存在感を示した。
とはいえ、四重唱やデュエットであったが、昨夜は、デュパルクの歌曲13曲を、圧倒的な歌唱力で歌い切った。私はデュパルクというフランスの作曲家を初めて知った。ボードレールなど名だたる詩人の詩を題材にした歌曲で、朗読付きであったのでそれを通して辛うじて理解しながら聞いた。王子ホールの雰囲気も、「旅へのいざない」という孤高の世界にふさわしく、何よりも歌手の歌唱力とすぐれた表現力に、ただ、ただ感動した2時間であった。
改めてその底力を見せつけられた。
須藤慎吾 練習風景 (首藤史織Facebookより)