イスタンブール最後の夜は、ベリー・ダンスを見ながらの夕食。
アヤ・ソフィア、トプカプ宮殿、ブルー・モスクを見学していささか疲れ、このツアー初めての連泊のホテルに早めに着いてゆっくり休む。風呂を浴びベッドに横たわり、体力を回復してベリー・ダンスの会場に向かう。
当初私は、このショーにさしたる期待はしていなかった。美味しい料理と美味しいワインを飲めればいい、などと思いながらの参加であったが、ドッコイ! これはなかなかの見ものであった。ツアー仲間23人も、この6日間の行動で慣れ親しみ、和気あいあい最後の晩を楽しんだことにもよるのだろう。
司会も心得たもので、各国から集まっている観衆をとらえて、それぞれの国の国家や有名な歌を演奏する。わが日本人向けには「上をむいて歩こう」や「さくらさくら」(「花」だったかな?)などが演奏され、私も声を張り上げて歌った(他国、特に元気の良いラテン各国に負けないように)。
ところで、ベリーダンスとは何か?
Wikipediaによれば、「ベリーダンス(Belly dance)は中東およびアラブ圏で発展したダンス・スタイルをさす言葉であり、これを呼称するために造語された西洋の呼称」とある。そして、「アラブ圏ではラクス・シャルキー(Raqs Sharqi 東方の踊りの意)、トルコ語ではオルヤンタル・ダンス(Oryantal dance 東方舞踏の意)として知られている。特にラクス・シャルキーと言う言葉の起源はエジプトである」と記してある。
さらに読み進むと、「ベリーダンスは女性の肉体の『丸さ』『ふくよかさ』を前面に押し出したスタイルを採り、痩身であることを良しとするダイエット嗜好とは対照的である」とあり、特にラクス・シャルキーに至っては「官能に彩られた、成熟した女性の存在の力を表現するダンス」であり、「有名なダンサーたちは40歳以上であり、若い踊り手はダンスを触媒にして何かを伝えるにはあまりにも乏しい人生経験しか有していない」と断じている。わが仲間の間では、「ダンサーが年寄りで、美人でもない」などの意見も飛び交ったが、われわれは「豊かな人生経験を持って、ダンスを触媒にして表現しようとした成熟女性の内面」を見落としたのではないか?
「Belly=腹」をもって単なる「腹踊り」と思っていた私は、帰国後この下りを読んで深く反省をしたのであった。もっとも隣席のK氏とは「騎馬民族を髣髴とさせる男性の踊りがいいねえ」などと共鳴しあっていたので、実は「女性の踊りにまでは思いが至らなかった」というのが真相であるが。