元都市銀行に勤めた者として、みずほ銀行の暴力団関係者への融資問題に対する対応に胸を痛めている。その責任逃れ、無責任体制、保身主義は、社会の公器たる銀行経営者の資格の片鱗も見えず、まさに醜態と言うしかない。
その中で、先日、城南信用金庫理事長吉原毅氏の講演を聞いて、城南信金の理念と吉原氏の生き方に感動した。
城南信金は、「中小企業の健全な育成発展」、「豊かな国民生活の実現」、「地域社会繁栄への奉仕」を経営理念とし、「人を大切にし、思いやりを大切にする経営」を経営方針としているが加えて、脱原発宣言を行い、東日本大震災の復興支援の活動も続け、吉原理事長はその先頭に立っている。
講演会の演題は、「原発に頼らない社会を目指して」というもので、吉原氏は「原子力エネルギーには未来はない」、「つけを未来に残してはいけない」と、原発ゼロを訴え続けた。
何よりも驚いたのは、金融機関のトップがそのような活動をするにはそれなりの覚悟が要ること、そのため理事長の任期を限り(あと2年)、給与も支店長並みに引き下げたという。
「役員の給与は多くてはいけない。高給を取り、いつまでも勤められるから保身に走る。言いたいことも言えなくなる」、「経営理念や経営方針は、言葉ではなく具体的に実践されねばならない」と氏は語った。
みずほ銀の経営陣とのあまりの差に驚いたが、このような経営トップが現れる限り、まだ日本にも未来があると思った。