総選挙の結果は予想通りであった。
1955年保守合同により発足した自由民主党の半世紀余に及ぶ支配に、国民は退去を求めた。自民党は発足以来、初めて第一党の地位を明け渡しただけでなく、勝者の民主党に200議席近い差をつけられたのである。
考えてみれば、この政党の支配はあまりにも長すぎた。もっと前に政権交代があって然るべきであったのであろうが、対抗する野党の力不足、社会党や公明党など本来対立すべき政党の政権にじり寄り、そして何よりも、急激な変化を恐れるのか日本国民の決断の遅さ、などにより延命してきた。
そして、ついに国民は決断したのであった。それは、ここ数年顕著になってきた格差の拡大、貧困層の増大、福祉・医療・教育の荒廃に見る将来不安、等などに対して、おとなしい日本国民もついに堪忍袋の緒を切ったのである。
つまり今度の選挙結果は、以上の諸問題の原因を作ってきた“自公政権10年”に対する、中でも新自由主義に基づく“小泉・竹中路線”に対する国民が下した鉄槌であった。
公明党の歴史的敗退についても見ておく必要があろう。本来この党は貧乏人の味方ではなかったのか?(実態はそうでもなくて、宗教政党として目指す教義の実現にこそ目的があるようにも見えるが) それが、こともあろうに金持ち、大企業の利益を代表する自民党の補助勢力となった。そして弱肉強食の小泉・竹中路線の尖兵となったのであるから、いつの日か国民の鉄槌を受ける運命にあったのであろう。かつて社会党が、本来は戦うべき相手であった自民党にすり寄り、現在の弱小政党になり下がった轍を踏んだと言えよう。
もちろん私は、今度の結果をそう短絡的にのみ見ていない。自公勢力もそう甘くは見ていない。大勝した民主党がおごり高ぶり公約実現で手を抜けば、国民は今回と同じ鉄槌を民主に下し、自民に新たな政治を求めるだろう。
なにせ国民は、今回はじめて、“自らの一票で政権を変えることが出来る”ことを実感したのだから。