次々と起こるテロ、しかも同時多発テロとして一般市民、観光客などの密集地を狙う悪質なテロに、世界中が戸惑っている。その方法が、自爆テロという防ぎようのない手段で引き起こされているからだ。イスラム系の人による仕業とはいえ、それはごく一部の人で、それらの人は何世紀にもわたり世界各地に生存し、それぞれの国籍を持って生きている。犯人を判別していくのは至難であろう。
その根源(貧困、差別、などなど)を断つにはどうすればいいのか、を考えるほど、途方に暮れるばかりだ。
パリでは劇場やサッカー場が狙われた。ベルギーでは空港と地下鉄だ。外国観光客を含め何十人何百人という命が奪われる。
私はパリには行ってないが、ベルギーの思い出は深い。1999年だからもう17年も前のことになるが、美味しい食事、美味しいビール、それに、ブリュッセルの威厳に満ちたグラン・プラス(中央広場)、アントワープやブルージュの歴史の重み、など、何処を歩いても豊かな心情に満たされたことを思い出す。
このテロの後、テレビに映されたグラン・プラスには観光客の一人もなく、中央に一人立つアナウンサーが今後の不安を語りかけていた。また一つ、良き旅の思い出が消された思いだ。
消されたと言えばニューヨークの貿易センタービルはひどい。これはテロにより本当に消されたのだ。ニューヨークには数度行ったが、何度か同ビルに上りマンハッタンを睥睨(へいげい)した。思えばそれは貴重な経験であったのだ。何よりも、当時の旅(最後にニューヨークを訪れたのは1997年)は安全であった。地下鉄などに若干の治安上の不安はあったが、少なくとも大規模テロの不安などなかった。
数えてみれば23回の海外旅行に行っているが(最後は2011年のオーストラリア)、いずれも「良き時代の旅」であったのであろう。今や、体力上の問題もさることながら、テロの不安を抱えながら旅をする気にはなれない。もっとも、今の安倍政治の成り行きでは、東京もいつ狙われるかわからないが…。
庭に咲いたクリスマスローズが、玄関を飾りました