息子の結婚式が終わったら、娘のコンサート(7月10日)が近づいてきた.
娘が企画するコンサートも3回目となったが、はたしてみんな来てくれるのか心配になる。
前2回を通じて人気者のひとりが、バスのジョン・ハオさんだ。今回『ドン・カルロ』のアリアなどを歌うというので期待している。
彼は今度、NHK交響楽団、井上道義指揮のベートーヴェン『第九』のソリストに選ばれた。7月2日に日比谷公会堂で行なわれれ、その模様は8月15日のN響アワーで放送される。『第九』のバスソリストといえば重要な役で、さぞかし緊張しているかと思ったら、「『第九』はいいですねえ。歌は短くてお金もらえるし・・・」と平然としているようだ。
この大らかさが人気の原因であろう。中国は沈陽省出身、中国中央音楽院卒後、中国中央オペラハウスに入り『アイーダ』のエジプト国王の役などを歌ってきた。中国人特有の大陸的風格が他にない雰囲気を醸しだすのであろう。
今回は6人構成となったので、一番期待しているのが『コジ・ファン・トゥッテ』ハイライト部分の六重唱と、『リゴレット』の四重唱だ。苦労して練習を重ねているようだが、四重唱や六重唱となれば、各人の正確な音程とリズムを引き出し一つにまとめて行かなければならない。その役を果たす人を「コレペティトーレ」と呼び、その人は全曲を記憶し、4人あるいは6人すべてのパートを熟知した上で、各人のミスを全て指摘して正確な音程、リズム、言葉に直してまとめていく。気の遠くなるような仕事だ。
ミャゴラトーリのコレペティ役が、ピアノの藤原藍子さん。彼女はピアノ伴奏をやりながら、全員のミスを見逃すことなく指摘し、正確で美しいアリアや合唱をつくり上げていく。
因みに藤原藍子さんは、あの藤原義江のお孫さんである。日本を代表する音楽家のDNAは、失われることなく今につながっていると言うべきか・・・。