今日で五月が終わる。今年も5か月も過ぎたか?
コロナは、ようやく収まりつつある。これも既に2年半のお付き合いだ。最終処理にはまだ時間を要するだろうが、やがてマスクも取れ、普通の生活に戻るだろう。集団免疫をほぼ獲得したということだろう。伝染病に勝つには集団免疫しかない、ということを実感した。
ところが代わりに、物価高という怖い問題が現れた。これをそのまま放置すれば、実質生活の低下を認めることになる。バブル崩壊(1992年年)後30年、日本の実質賃金は上がっていない。欧米はそれ相応の引き上げを実施してきたので、この間、日本は世界1~2位の水準から20数位という後進国に転落した。
いま襲ってきた物価高に、30年にわたり慣らされてきた低水準生活という集団免疫で生きるわけにはいかない。しかし、この状況を作ってきたのは、この間の政権担当者と経済界と、弱体化した労働界だ。それを支えた民意ともども、簡単に是正できそうもない。
コロナと共に、とんでもない集団免疫を生み出したものだ。
これまでも度々触れてきたが、娘がオペラの制作・普及活動をやっており、このコロナ禍で公演制限を受け大変苦労している。国の補助を受けながら、辛うじて事業を続けている状況だ。今年も7月に、小演劇的オペラとして『椿姫』の公演に取り組んでいるが、定員120名の会場で60名の入場制限を受け、出演者へのギャラの支払いはもちろん、到底採算の取れない状況だ。
それに対し、経済産業省の事業継続支援補助を獲得し、「気持ちだけのギャラぐらい払えるか」と取り組んでいたところ、昨夜、文化庁から、文化芸術活動の継続支援事業として「ARTS for the Future 」という補助金が認可された、という朗報が入った。娘は、「これで何とかそこそこのギャラが払える」と大喜びだ。つまりミャゴラトーリが事業を継続していけるだけでなく、オペラ歌手たちも生活の糧を受けることができるということだ。
何といっても補助金の名前がいい。文化庁補助は3年連続で受けることになったが、昨年からこの名称になったらしく「未来のための芸術」という響きに夢と希望がある。
コロナ下という特殊事情からの補助金のようだが、国はこのような予算を平時にも持つべきではないか。日本の文化予算は先進国の中では断トツの最下位で、オペラ関係予算など、藤原や二期会などに占められ、ミャゴラトーリなどにはびた一文回ってこない。 いわば日本は文化後進国なのだ。
こういう機会に、抜本的に考え直すべきではないか。
[ローマの休日」というハリウッドの名作がある。1953年の作であるから約70年前の映画である。しかし、たびたびテレビで放映され、つい先日もこれを観た。日本で公開されたのが1954年、私が大学一年生の時だった。その後、テレビを含め何度観たか数えきれない。
そして何度見ても飽きることなく、常に新鮮さを感じる。名画と言われるゆえんであろう。ところでこの映画は、何を伝えようとしているのだろうか? ヨーロッパの一王国である某国の王女アン王女の、一昼夜に及ぶ逃避行、アメリカの新聞記者ジョー・ブラッドレーとローマの町を駆け巡る、そして激しい恋に堕ちていく、娯楽映画、恋愛映画と言えばそれまでだが、この映画の中で私が一番好きなシーンは別にある。
一昼夜に及ぶ逃避行から宿舎に帰ったアン王女に、侍従や大使が「この間どこに行かれていたのですか? 王女としての自覚に欠けるようでは困ります」と詰めよる。それに対し王女は応える。
「私は、王女としての自覚を持っていたからこそここに帰った。もし自覚がなければ、私は帰ってこなかった。しかも永久に、ずーっと……」
そしてこのシーンは、ブラッドレーの居室で、激しい恋心に惹かれながらも、
「わたし、もう、行かなければ…」
と、彼の腕を逃れて決然と去るシーンと呼応する。
アン王女は、王室という鳥かごからたった一昼夜離れて、様々な庶民生活を経験した中で一段と成長したのだ。自己を確立し、王女としての自覚を高めたのだ。
しかしこれがテーマとなれば、「ローマにお休日」という題名は軽すぎることになるが…?
5月は鯉の季節、広島カープの季節である。反面、ここをピークに転落していくので、「カープは5月まで」という言葉も定説になっている。
予定通り(?)昨日横浜DENAに勝って首位に躍り出た。その中身が素晴らしい。主砲鈴木誠也を欠いてどうなることかと思っていたが、見事な全員野球でその穴を埋めて余りあるものがある。
昨日現在、鈴木を欠いて本塁打こそ17本でリーグ最下位だが、チーム打率2.62で一位、防御率も2.91で一位である。当然ながら得失点差は48点と、2位(ヤクルト14点)以下を大きく引き離している。因みに打撃ベスト10には、2位に西川、3位に坂倉、8位にマクブルーム、9位に菊池と、4人をそろえている。
投手陣も遠藤、アンダーソンが出てきて、大瀬良、森下、九里、床田と共に6人体制が出来上がれば、ローテンションは安定する。
ただ、現在の貯金7は、5位横浜への8勝1敗と最下位阪神に対する7勝1分で稼いだもので、上位3チームには負越している。上位、特に巨人に勝ってこそカープの魅力で、現状の「弱きをくじき強気を助ける」姿は気に食わない。
とはいえ、もしかして、鯉の季節を乗り越え、勝利の10月を迎えるのではないか? イヤ、イヤ…、すぐこのように甘くなるのがカープファンの悪いところで、過去、何十回も騙されてきているので、ここはグッと気を引き締めよう。。
コロナがやや落ち着きを見せ、3年ぶりに緊急事態宣言なしのゴールデンウィークを迎え、世の中は騒然としてきた。ただ、この老体は87歳の誕生日を迎えて(先月23日)、ますます動く気配なく、世の騒然を横目に見ながら、せいぜいテレビの野球観戦に明け暮れている。そして、この老体に与えられた唯一最大の行事が、息子(次男)の催す屋上バーベキューであった。それはまた、この四月小学校に入学した孫の遥人に、久しぶりに会える機会でもあった。
いや~、美味しかったなあ。豊富な肉と野菜のほかに、いか、ほたて、めざしの丸干しなど、大満足。息子の言うには、めざしは、頭から食べると頭がよくなり、しっぽから食べると走りが早くなるそうだ。私は尻尾から食べたことがないので、ずっと走りは遅かった。今回試そうかと思ったがすでに遅しであるので、やっぱり頭から食べた。美味しかったなあ! つられて、持ち込んだ『黄金澤』山廃純米酒を少々飲み過ぎた。
最大の話題は、ピッカピカの一年生遥人君の野球の話だ。小学校入学と同時に、地元永福町にあるリトルリーグ・チームにドラフト一位で採用されたとのことだ。入学前から巨人軍の子供野球教室に通っており、走力と投力がともに2位で、各地のスカウトに目を付けられていたということだ。
頼もしい孫が育ったものだ。私にとっては最大の大型連休でした。
気が付けば、昨年暮れに丸坊主にされた庭のハナミズキも、5月に入って、ようやく獅子頭状の葉をつけてきた。