今年も暮れようとしている。81歳の越年である。
何度も書いてきたが、若いころは80歳まで生きることは想定していなかった。4,50歳のころでも、70歳くらいから先のことは考えたことがなかった。つまり老後の蓄えとか生き方など考えることなく生きてきたということだ。そのうち平均寿命とか余生などの話が出てきて、また、自分の健康状態などを考えるにつけ、話がおかしくなってきたことを思い出す。時すでに遅く、準備なしに迎えた老後は不安なことばかりが多い。
人はなぜ長寿を望むのだろうか? 長く生きているほどいいことがあると思うからだろう。しかしそれは誤りではないか? 年を取るほど確実にすべてにおいて悪くなるのではないか? 体の自由はきかなくなる。思考力は落ちてくる。金や資産はなくなってくる(消費は避けがたく進むが新たな収入の道はないのだから)。友人知人は確実に減っていく…、…。
長寿でいいことはないのではないか? 生きていればいいことがある、というのは大変な錯覚ではないか? 活力を失うだけ過去の思い出に生きる。しかし、中年ごろまでは過去のいいことばかり思い出していたが、年を取るほど悪いことばかり思い出すようになる。嫌な思い出ほどイヤなものはないが、不思議といいことはあまり思い出せない。
こんなことを考えながら、また新しい年を迎える。それにしても長寿社会というのは恐ろしい。解決策なんて絶対にないと思うからなおさら怖い。
もちろん、新年が巡ってくれば人はまた何かに期待して生きていく。神は人の世が絶えないように希望というものを与えたのだろう。そしてこの希望ほど厄介なものはないのであろう。
新しい年がいい年でありますように。