例年にない寒さで、梅の開花の遅れが伝えられている。わが家の梅も、「昨年秋に庭師が切ったので、今年は咲かないのかしら」などとワイフと話し合っていたくらいだ。
この紅梅は、娘の誕生を記念して植えたもので、もう40年の樹齢となろう(植えたときすでに何年か経っていたはずだから)。清楚な小さい花を、1月31日の娘の誕生日には必ず咲かせていた。ところが今年は咲かない。「庭師がハサミを入れ過ぎたのだ」など、庭師のせいにしていたところ、10日ぐらい前から小さいつぼみを開き始めた。確かに例年にない寒さの中を、健気なものである。
可憐なつぼみを着けた庭の梅
今夜からまた雪が降る情報が流れている。何だか梅が可哀そうな気がしてきたが、しかし、確実に春が近づいていることも確かであろう。どんな異常気象も、季節の確実な移ろいには勝てないのだろう。どんなに寒くても、どこかで春は必ず生まれているのだ。
どこかで春が生まれてる どこかで水が流れ出す
どこかで雲雀が啼いている どこかで芽の出る音がする
山の三月東風吹いて どこかで春が生まれてる
大正12(1923)年百田宗治が作詞、後に草川信が曲をつけた『どこかで春が』という童謡。これまた万人が歌い継いできた名曲だ。「芽の出る音がする」というのがいい。そのような音を聞き分けることができた良き時代がしのばれる。
今年は閏年で一日多いが、明後日から「東風(こち)が吹いて、山でも春が生まれる」三月が始まる。