これは、戦後の酒界に飲まれたニセモノ酒「アル添三増酒」に対し、ホンモノ酒である純米酒を宣伝し、拡大する運動を目指しできた。これは、高瀬斉委員長、中野繁事務局長を中心にして、堀江修二、橋本毅、首藤和弘と3氏を加え「純米酒普及推進委員会」を設立した。


三井銀行OBの方々で「山びこ」(山行者の集まり)中で、美味しい酒と食を求めた人たちが集まった。2013年1月、男性3名、女性4名の7名が集まりになったが、以来、足掛け7年21回の会合を続けた。
2019年からコロナを止めて「酒と食」の会を止めたが、貴重な記録は書き残してきた。しかも、美しい酒の記録を“山桜桃(ゆすら)”という冊子を残してきた。それは、酒、食、名店、名肴、有名人、名言などなど、全61頁記録された。
総まとめとして大塚『串駒』に集まり、全記録を話し合った。酒は「十四代」、「而今」などと「いしり鍋」がメインだ。
7年21会の記録(全61頁)
ブログの「一年前の記録」を読んでいたら、昨年四月23日の米寿の誕生日を祝ってくれて、北端の青森県の「田酒」と南端の佐賀県の「鍋島」のいずれも純米大吟醸酒を贈ってくれてあった。
ところが今年の時期に、やや北端の山形県の「米鶴」と、やや南端の広島県の「雨後の月」(雄町無濾過生原酒)もいずれも純米大吟醸酒を贈られた。私ほど幸せ者がいるのだろうか。
四月の緑が、目に染みるほどだ。緑が、一番美しく柔らかい時節だ。
さあ、5月はもっと頑張って、力を入れよう。緑も強くなってくるだろう。太陽の力も、日に日に増すであろう。
6月11日。
マザーズ社の株主総会に参加。相変わらず言葉が不自由であり、会議の役に立たぬが、みんなの笑顔を交わすだけが楽しかった。
6月14日
大相撲春場所第5日、若者王鵬(24歳、大鵬の孫)が横綱照ノ富士に堂々と寄り切り、金星を獲得した(前頭東3番)。嬉しく飲んだ酒は『米鶴純米かすみ酒』、これは美味しかった。久しぶりに口した句も思い出した。
妻も飲むあまくつめたき春の酒 日野草城
😊
かすみ酒
先日、旧友英夫妻宅を訪ねた。コロナでしばらく途絶えていたので久しぶりのことだ。
古いと言えば、写真家英伸三氏との交遊は1961年に始まるので60年を超える。夫人の愛子さんとは、大学時代のキャンパスに始まるので68年に及ぶ。中でも思い出深いのは、新潟の久須美酒造を取材して、英夫妻と共著で『酒は風』(大月書店)を出版したことだが、それからも既に31年が経過する。この間、酒、旅、写真、音楽や演劇など、多方面にわたり家族ぐるみの付き合いをしてきた。
「いろんな酒があるから飲みに来い」と予てからいわれていたので、妻と娘と家族ぐるみで出かけたわけだ。そして大変なご馳走になった。
狛江(ご住所)名産と言われる枝豆、クジラのベーコンなどに始まる数種類に及ぶ珍味が並び、最後はメインディッシュにフィレ肉のステーキが出てきた。美味しかったなあ。飲んだ酒は『亀の翁』に『田酒』純米酒、焼酎の『森伊蔵』から中国は貴州の名酎『茅台酒』と、世界的水準の酒だ。
語り合ったことは、過去の思い出の、ほんの、ほんの一部であったが、その中身は豊かであった。書き加えることは何もない。
昨年暮れ、久須美酒造が「純米大吟醸『亀の翁』10年古酒」を秘蔵酒として発売したのでこれを入手、一人で飲むのも淋しいので兄弟3家族に呼びかけていたが、コロナに邪魔されて機会を失っていた。ようやく一昨日(4月10日)、我が家に集まることが叶い楽しい酒宴を張ることができた。
せっかく10年古酒を飲むのだからと、これを機に久須美酒造の名品を取り揃えて飲むことにした。曰く、『亀の翁』3年もの、純米吟醸『亀の王』しぼりたて、純米吟醸『夏子物語』生貯蔵酒、純米吟醸『七代目』生貯蔵酒、がこれである。
これらの名品を、「チーズ・たらこの春巻き」など娘の手料理と、私の最も好む「魚河岸すし」などでタップリ味わった。
思えば、久須美酒造六代目記廸氏が戦前の幻の酒米と言われた「亀の尾」を、1500粒の種籾から復活させて45年、純米大吟醸を『亀の翁』を世に出して42年、その酒造りを3年にわたり取材して私たちが「酒は風」を出版(英夫妻と共著)したのが1991年であるから既に31年前。その間、久須美酒造も発展して、『七代目』を出した賢和氏が今や社長、その後を継ぐ八代目が今年新潟大学日本酒学部に入学したという。
これらの思いを巡らしながら飲む銘酒と名肴の会は、久しぶりに会った兄弟家族との懐かしい話題とも相まって、至福の時を与えてくれた。
この贅沢は「ちょっと…」どころではなかったかもしれない。
酒の肴となると、刺身をはじめとする魚介類から季節の野菜、山菜類、はては鍋物に至るまで多岐にわたるが、通常は手短にある好物で済ます。
昨夜も、『奥の松特別純米酒』を傾けながら、前に並べた三つの皿を次々とつついていた。見ると右から、チーズ、冷奴(豆腐)、納豆と並んでいる。いずれも私の好物だ。冷蔵庫を開けるとこのいずれかは入っているので、酒の肴に困ることはなく、しかも酒(日本酒)とのマッチングは最高だ。
しばらく飲んでいてハッと気が付いた。これらはみな同じものではないか? 豆腐とチーズは、片や植物性(大豆)、片や動物性(牛乳)の違いでたんぱく質のかたまりと聞いている。納豆に至っては発酵食品とはいえ豆腐の原料たる大豆の原型だ。みな同じものではないか?
発酵食品と言えば飲んでる酒はコメの発酵物だ。晩酌を終えてお義理に少量の米メシを口にしたが、これは今まで飲んでいた日本酒の原型だ。何が何だか分からなくなってきた。
このことを妻に尋ねると、「何を馬鹿なことを言っているの。豆腐とチーズは植物性、動物性で立派に別物よ。納豆は野菜、豆腐はたんぱく食品。別物よ。それよりも私の作ったサラダと、豚肉と野菜の煮物をもっと食べなさい」と一蹴された。
見ると「野菜サラダ」と「煮物」が添えられあり、ほんの一箸つけただけで大量に残されている。その罪悪感に苛まれて、何も反論しなかったが、そのあと風呂の中でも寝床についても、「俺は同じものばかり食っているのではないか、これで生きて行けるのか?」という思いが消えず、どうもすっきりしなかった。