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岩波側、棄却求める 岩波訴訟控訴審 2008年6月26日
【大阪】沖縄戦中、座間味・渡嘉敷両島で起きた「集団自決」(強制集団死)をめぐり、日本軍の戦隊長が住民に自決を命じたとの記述は誤りだとして、座間味島元戦隊長の梅澤裕氏らが「沖縄ノート」著者の作家大江健三郎氏と版元の岩波書店に出版差し止めと損害賠償を求めた裁判の控訴審初回弁論が25日午後、大阪高裁(小田耕治裁判長)であった。控訴した梅澤氏ら一審原告は「地裁判決は不当」として、地裁判決の取り消しを求めた。一審被告の大江氏、岩波書店側は控訴棄却を求めた。早ければ次回弁論の9月9日で結審する。
梅澤氏ら一審原告は控訴理由書の要旨を陳述し「隊長命令の真実性を否定しながら、軍の関与を前提に隊長命令を推認した地裁判決は、真実相当性の判断を誤解したもの」と批判した。「証拠評価や資料認定は恣意(しい)的で偏っている」として判決の取り消しを求めた。
一審被告は答弁書や準備書面の要約を陳述し「自決命令が真実と信じる相当の理由があると判示したのは正当」と判決を評価した。その上で「隊長命令があったことに合理的資料や根拠があると評価し、書籍出版の適法性を認めた」と反論し、控訴棄却を求めた。
「集団自決」における「軍の強制」の記述を削除・修正した教科書検定問題に関連して、一審判決が「2005年度検定まで自決命令の事実は通説だと認識」という「文科省の立場」を「隊長命令」の真実相当性を認める根拠の一つとしたことについて、一審原告は「06年度検定で隊長命令説は覆った」と批判した。これに対し一審被告は教科書会社による訂正申請の調査・審議を通じて「06年度検定意見は事実上撤回された」と反論した。
一審原告は訂正申請の調査・審議をした教科用図書検定調査審議会に意見書を提出した現代史家の秦郁彦氏を証人申請したが小田裁判長は却下した。
◇
>早ければ次回弁論の9月9日で結審する。
先ず驚いたのは、たった二回の弁論で結審することである。
当日記が「大江よ。お前はもう死んでいる 独断と推論の判決・最終章」で復習整理したとおり、
大阪地裁の原判決の問題点の検証だけで結審するのなら、短期間での結審も納得できる。
沖縄二紙の見出しを紹介する。
◆沖縄タイムス
1面
<「集団自決」訴訟> 原告の承認申請却下
大阪高裁 次回弁論で結審も
26面
「原告の真偽ただす」
被告側支援者 裁判官の姿勢評価
一万3703人分署名提出
3市民団体大阪高裁へ
◆琉球新報
1面
岩波側、棄却求める
9月にも結審 梅沢氏ら一審を批判
岩波訴訟控訴審 新争点に検定評価
屋嘉比島「集団自決」も
「教科書」と裁判の関係深く
印象としては「当事者」のはずの沖縄タイムスが、「被告側支援者 裁判官の姿勢評価」と裁判官に媚を売ってみたり、
「一万3703人分署名提出 3市民団体大阪高裁へ」といったように、「場外乱闘(法廷外闘争)」に力を、入れたような記事内容。
一方、琉球新報は「「岩波・大江裁判控訴審の争点表」で原告、被告の論点を紹介したり、解説記事や双方の弁護士のコメントなども紹介している。
裁判が司法の独立性のもとに行われるとしたら、支援団体の署名等を裁判所に届けることは禁止にするべきだとは思うのだが・・・。
何しろこの手の「市民運動」はプロ市民の本業とするところで、彼らと「場外乱闘」で争ったら彼らの術中にはまるのは自明。
新報の報道によると、もうひとつ前回の原判決に続いて「文部省の立場」が大きな争点になっているようだ。
教科書検定、文科省の立場(琉球新報「岩波・大江裁判控訴審の争点表」から抜粋)
原告側⇒05年度検定段階の「自決命令は通説」は誤り。 地裁弁論終結時の文科省の立場は自決命令の真実性を否定。
被告側⇒05年度検定段階で「自決命令は通説」と認識したのは明らか。 検定意見は事実上撤回。
地裁判決⇒文科省は05年検定で集団自決に関する記述に検定意見付さず。 自決に日本軍が深く関わったと認めるのが妥当。
司法の独立性から言えば、裁判の判決が,行政機関の立場で左右されるべきではないと思うのだが、それはさて置き、
原判決では「真実相当性」(「誤信しても仕方がない」)の根拠として、「文科省の立場」を挙げている。
原判決は次のとおり。
「平成17年度までの教科書検定までは、『集団自決が軍令によるもの』が通説であり、教科書の記載についても容認され、軍命の記述を否定した平成18年度の検定意見についても、その後の政治運動により浮動的になり、口頭弁論終結時(12月21日)には、未だ固まっていなかった。」
この判決は明白な事実誤認である。
■結審日と検定意見公表日・・・5日のタイムラグの謎■
そもそも平成17年度の検定時点で「軍命説が通説」のはずがないが、ここでは深くは立ち入らない。
判決が結審までに提出された証拠を基に下されるのはやむを得ないとしても、
結審日の5日後に公表された訂正申請に対する検定結果は、
軍の関与に関する訂正は認めながらも、
軍命及び軍による強制の記述は認めないという従前の基本姿勢を堅持するものだった。
したがって「文科省の立場」を根拠に大江の「真実相当性」を推認した原判決に従うならば、
12月26日以後に増刷された『沖縄ノート』における隊長命令を事実とする記述や、
これを前提にした個人攻撃の記述には「真実性」はもとより「真実相当性」もないことは明らかである。
原判決を下した深見裁判長は、五日間のタイムラグを承知の上で、被告側を一時的勝訴にしてぬか喜びさせ、
上級審で敗訴に追い込むという深謀の確信犯だったのではと思ったりもする。(まさかね)
裁判長の判断は「12月21日の結審までの証拠物」ということで、裁判官としての面目は担保されているから。
沖縄タイムスは、
まるで原告の控訴自体が却下されたような印象操作をしているが、
原告側が申請した現代史家・秦郁彦氏の承認申請が却下されたことは、
問題は全て原判決に含まれており、これ以上「屋上屋」を築く必要はないと裁判所が判断したのだろう。
してみると9月9日の結審も妥当なもの。
今朝の沖縄二紙を見る限り、控訴審で「論理的に」勝ち目がないことを一番承知しているのは、沖縄タイムスではないのか。
去年の「11万人」集会に味を示して、8月頃に再度「県民大会」でも開きますか。(笑)
「文科省の立場」については
で詳しく論じてありますのでよろしかったら覗いて下さい。
大江健三郎は、もう死んでいる、
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