ノーベル賞:オバマ米大統領に平和賞 「核なき世界」評価、対話外交へ指導力
l 【ロンドン笠原敏彦】ノルウェーのノーベル賞委員会は9日、「国際的な外交を強化し市民の間の協力を強めることに非凡な努力を傾けた」として、バラク・オバマ米大統領(48)に09年ノーベル平和賞を授与すると発表した。国際的非難の中で京都議定書から離脱し、イラク戦争を開始したブッシュ前米政権のユニラテラリズム(単独行動主義)を改めて対話と協調を基本とする外交を進め、「核廃絶」を唱えて核軍縮に新たな地平を開いたことが評価された。
米メディアによると、オバマ大統領は12月10日にオスロで行われる授賞式に出席する。
現職の首脳への授与は00年の金大中・韓国大統領(当時)以来9年ぶり。米国の現職大統領の受賞は1906年のセオドア・ルーズベルト、1919年のウィルソン両大統領に続いて3人目。元職では、カーター元大統領も02年に受賞している。
同委員会は授賞理由について「核兵器のない世界」を求めるオバマ大統領の「理想と行動を重視した」とし、こうした理想が軍縮交渉を「力強く後押しした」と述べた。また大統領の外交スタイルが「国際政治の新たな流れを作り出した」と評価。「国連中心の多国間外交が中心的位置を占めるようになった」としたうえで「(創立から)108年間、ノーベル賞委員会が促進しようとしてきたことだ」と絶賛した。
気候変動問題や民主主義の促進、人権擁護などの面で「米国がより建設的な役割を演じている」のは大統領の「指導力のおかげだ」とも述べ、「より良き未来への希望を与えた」とたたえた。
大統領は今年4月、プラハでの演説で「核兵器のない世界」を目標に掲げた。今年9月の国連安保理首脳会合での決議に「核兵器のない世界」を求める内容を盛り込むのに尽力した。また、今年7月、ロシアのメドベージェフ大統領と年末で失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる核軍縮条約を締結することで合意した。イラク駐留米軍の11年末までの完全撤退を打ち出し、6月に戦闘部隊を都市部から撤退させた。
6月のカイロでの演説でイスラム世界との「相互利益と敬意」に基づく関係強化を呼び掛け、核開発を巡りイランとも直接対話を含む交渉に乗り出した。
一方でオバマ大統領はアフガニスタンへの増派を行い武装勢力タリバンとの戦闘を激化させている。同委員会はこうした問題には触れていない。
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◆授賞理由の骨子
・核兵器のない世界へ向けた理想と行動を重視した。
・対話と交渉を重視する新たな流れを国際政治にもたらした。
・米国が、気候変動問題でより建設的な役割を果たすようになった。
・民主主義と人権が強化された。
・オバマ氏の国際的政策、理想こそ、ノーベル賞委員会が108年間の歴史を通じて促進しようとしてきたものだ。
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反省だけならサルでもできるが。
演説だけならノッチでも出来る。
「YES,WE CAN」で大統領になり、演説だけでノーベル賞を貰った人物も珍しい。
そういえば、「テロリスト」と呼ばれた男もノーベル平和賞をもらっているくらいだから、演説だけでもらうのもありか。
早速本国アメリカではこんなコラムが。
アメリカではこの手のブログの影響力は新聞以上に大きいという。
日本も早くそうなればよいが・・・。
【米国ブログ】オバマ大統領のノーベル平和賞に疑問の声 | ||
2009/10/10(土)05:57 | ||
米国のウェブサイト「The Daily Beast」で記者のPeter Beinartは、「ブッシュ前大統領は先制攻撃で戦争を始めたが、ノーベル賞委員会は先制攻撃で平和を目指そうとしたということなのか。既に平和に貢献した人に対し、その功績を称えてノーベル賞が贈られるものだと思っていたが、委員会は方針を変えたのだろうか」と記し、まだ具体的な実績がない中での授与に疑問を呈している。 また「ノーベル賞は、日の目を見ないところで地道に平和に貢献し、活動に対する人々の関心や資金を本当に必要としている者に対して贈られるべきである。オバマ大統領への授与は、その理念とは正反対だ」と、ノーベル賞委員会に対する批判的な考えを示している。 最後に「オバマ大統領が賞にふさわしい行動を取っていくことを期待したい。またノーベル賞委員会がこのような間違いを二度を犯さないことを願う」と結んでいる。(編集担当:松井望・山口幸治) |
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確かに核削減に向かう高邁な演説をぶったことは評価するとしても、まだ就任してから10ヶ月足らずではないか。
せめて任期を終えてその活動結果を見ての受賞だったら、納得できるのだが。
彼が就任直後行ったのは「平和賞」とは真逆のことだった。
オバマは2009年1月23日、パキスタンに対するミサイル攻撃を指示し、攻撃の結果、民間人15人が死亡した(President Obama 'orders Pakistan drone attacks' - Times Online)。
大統領選挙期間中、オバマは「大統領就任後16ヶ月以内にアメリカ軍のイラクからの完全撤退」を公約として掲げてきたが、就任後にこの公約を修正・撤回した。
このように政治家の「宣言」と「実行」にはいつも乖離が伴うもの。
宣言しただけでノーベル賞が貰えるのなら、日本のいたるところに「核廃絶宣言都市」を宣言する市町村が掃いて捨てるほどある。
オバマは来月に訪日する。
せめてそのとき、広島、長崎を訪れて慰霊碑に献花し、原爆投下国としての罪を謝罪した後であれば、その「実行」は「平和賞」に値すると思うのだが、それはありえない話だ。
もっともオバマがノーベル賞のプレッシャーで原爆投下の謝罪を実行したとしたら、それはそれなりにノーベル賞の効力として認めてもよい。
上記の米国ブログの紹介記事では触れていないが、同ブログの記者はオバマのノーベル賞について、次のような必殺の皮肉を放っている。
Perhaps next they’ll start giving Oscars not to the people who have made the best movies of last year, but to the people who have the best chance of making the best movies next year.
(【超訳】ーおそらく次のアカデミー映画賞は、前年の最優秀映画製作者ではなく、最優秀映画を作ると宣言した者に与えられるだろう)
そう、ガンの特効薬を発明しなくとも、発明すると宣言すればノーベル賞の対象になるということ。
【おまけ】
これで仕事が増える!
ノッチに新しいギャグ。
「大統領、世界から核廃絶出来ますか?」
「YES, WE CAN」
「大統領、普天間基地を撤廃できますか?」
「NO, WE CAN’T」
【追記】13:10
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年)10月10日(土曜日)
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飛び込んできた今年度最大のジョーク、オバマ大統領にノーベル平和賞
次はオサマ・ビン・ラディンが受賞しても不思議でなくなった
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テロリストにノーベル平和賞が与えられたことがある。故アラファトPLO議長だ。
イスラエルとの和平交渉にのってオスロ合意に至ったのは、弱体化したPLOの最後の選択だった。それ以外、選択の余地はなかった。ラビン、ペレス両イスラエル指導者と三人同時受賞だった。
それ以前まで米国はしばしばアラファトを「テロリスト」呼ばわりしていた。
オサマ・ビン・ラディンはCIAの手先だった。
アフガニスタンからロシア侵略軍を撃退し、米国はパキスタン経由の武器援助をやめ、反ソ活動家への援助も打ち切った。
政治環境が変わると、かれはテロリストと認定され、世界に指名手配された。
ならばもう一回転向し、和平交渉に乗ってきたら、オサマだって受賞資格がある。
バラク・フセインは「核なき平和」を訴えた。
理想を述べたにすぎず、ロシアは同意するそぶり、手をたたいて喜んだのは北京だった。バラク・フセイン・オバマ路線によって、もし米ロが戦略的核兵器を削減すればバランス上、中国の核戦力が突出することになるからだ。
オバマは受賞を聞いて「これは『行動を起こせ』という呼びかけだ」と受け取った。
ノーベル平和賞が、つぎの国際政治のパラダイムをオバマに強制することになる。露骨な政治的思惑だが、ノルウェー政府の考えそうなことである。もっともキッシンジャーやカーター、スーチー、金大中と、へんな受賞がつづき、もはや「権威」は雲散霧消しているのだが。。
ロシアが核兵器削減に前向きなのは、じつは「過剰」な在庫の中に旧世代の核兵器(事実上、もっていても仕方がない)からプルトニウムを取り出して、原発原料に回したいからである。
米国も「過剰」なICBM在庫を削減し、管理コストを下げたい。そうした経済コスト意識が裏面に潜んでいる。
手放しで喜んでいる人たちは偽善者の本質を、その打算と汚らわしい打算とを軽視するか、無視する。
ちょうと筆者は福田恒存氏の「文学と戦争責任」を読んでいた(下欄、書評参照)。
偽の英雄を、現代世界はまたでっちあげた。その人の名はバラク・フセイン。