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毎日新聞 11月15日
八重山・教科書採否の背景 「尖閣事故で国境再認識」石垣・与那国
◇「基地問題の記述少ない」竹富
日本最西端に位置する沖縄県八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)で来年度から使われる中学校の公民教科書採択問題を巡り、文部科学省は、採択地区協議会が答申した保守系の育鵬社版を採択しなかった竹富町に自費購入を促す方針だ。育鵬社版を採択した石垣市と与那国町の2市町は教科書の無償対象となるが、沖縄本島では批判の声が根強い同社版に、2市町はなぜこだわるのか。また、竹富町はいかなる理由で拒絶するのか。八重山諸島に渡り、背景を追った。【鈴木美穂】
沖縄本島から南西約500キロ、空路約1時間半。与那国町の教育長室に崎原用能(さきはらようのう)教育長を訪ねた。「今の教科書じゃ子供が可哀そうだ」。幼少時の記憶を引き合いに語り始めた。日の丸は祖国復帰の象徴とされ、祝日のたびに家々の門扉に掲げられた。しかし本土復帰と共に一変したという。「日の丸は悪者にされ、アイデンティティーが揺らいだ。いつまでも自虐史観の教育を続けてはいけない。被害者意識から抜け出し、本当の日本人になりたい」と時に激高しながら訴えた。
逼迫(ひっぱく)した経済事情も無縁ではない。1940年代には約1万2000人いた島民だが、台湾との密貿易取り締まり強化などで、約1600人(今年9月末現在)に激減。病院や高校はなく、基幹産業の農漁業は後継者不足にあえぎ、中学卒業を機に離島する家族が後を絶たない。
そんな中、地元を揺るがす事件が起きた。昨年9月に発生した尖閣諸島沖での中国漁船衝突事故だ。同諸島を行政区に持つ石垣市の砥板芳行市議は「国境に生きる意味、安全保障の認識を改めて考えさせられた。こうした意識変化が育鵬社版につながった」と振り返る。育鵬社版は尖閣諸島の領土問題に関する記述が手厚く、同市議は「従来の『地球市民的な教科書』では駄目だ」と言い切った。
さらに政治状況も大きく関係する。同市では昨春、16年ぶりに保守系市長が誕生した。革新系の5選を阻んだのは自民、公明が推す中山義隆氏で、当選後は自ら尖閣諸島への上陸を模索。県立高校の校長だった玉津博克(たまつひろかつ)氏を教育長に抜てきした。
玉津教育長は早速“改革”を主導。採択地区協議会委員の構成や人数を改め、協議会から教員を除外する規約改正に動いた。専門知識のある調査員(教員)の推薦が無くても選定対象にした。
玉津教育長は言う。「育鵬社版の『家族の役割』という項目は特筆すべきだ。日本人として当たり前の伝統や歴史、教育で伝えるには最適な教科書だ」
一方、無償対象から除外されることになる竹富町。慶田盛安三(けだもりあんぞう)教育長は育鵬社版について「天皇の写真を多用し、大日本帝国憲法まで全文掲載する必要がどこにあるか。沖縄基地問題の記述もほとんどない」。
さらに「調査員が推薦もしなかった教科書を、地区協議会が答申するなんておかしい」と不審がり「子供たちは乾いた砂みたいにすべての物を吸収する。教科書は大人のためのものじゃない」と憤った。そのうえで採択した東京書籍版を「人権や平和主義、日本国憲法もきちんとしている」と評価した。
沖縄大の新崎盛暉(あらさきもりてる)名誉教授は「中央の国会議員が見え隠れするなど国境の島を政治利用する思惑も透けてみえる」と指摘。琉球大の我部政明(がべまさあき)・国際沖縄研究所長は「疎外感を中央と同化することで埋めたい。そんな意識が働いているのではないか」と分析する。
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◇八重山地区で採択された公民教科書の主な記述◇
…………………………【尖閣諸島】…………………………
▼育鵬社▼
東シナ海上の尖閣諸島については、中国がその領有を主張しています。しかし、これらの領土は歴史的にも国際法上も、日本の固有の領土です。
▼東京書籍▼
沖縄県先島諸島の北方に位置する尖閣諸島は日本の領土ですが、中国がその領有を主張しています。
………………………【沖縄の米軍基地】………………………
▼育鵬社▼
在日米軍基地の75%が沖縄県に集中しています。
▼東京書籍▼
アメリカ軍基地は、復帰後も残り続けました。これに対して、基地を縮小し、なくそうとする運動も続けられ、わずかずつですが日本に返還されてきました。
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■ことば
◇八重山教科書採択問題
石垣市、竹富町、与那国町で来年度使用する中学校の教科書を選ぶ諮問機関「採択地区協議会」が8月、公民について育鵬社版を選定し答申。石垣市、与那国町は育鵬社版を選んだが、竹富町は東京書籍版を採択した。教科書無償措置法は同一地区では同じ教科書を使うよう定めており、沖縄県教委からの再協議要請を受け、3市町の全教育委員が会議を開き一転、東京書籍版を採択。これに対し、文部科学省は有効性を疑問視し、竹富町のみ無償措置から除外する方針を示した。
☆
毎日新聞が取材チームを八重山に派遣し、イデオロギー論争に巻き込まれた教科書問題を現地取材をした。
朝日新聞に勝るとも劣らない偏向報道で知られる毎日新聞の報道と聞くと、大方の読者はある一定の先入観を持って記事を読むだろう。
だがその期待は見事に裏切られる。
ヘンタイ新聞とも呼ばれるあの毎日新聞にしては、比較的バランスの取れたまともな記事ではないか。
沖縄紙の発狂報道に慣らされた筆者の目にはある種の新鮮さを感じたくらいだ。
内容は騒動の当事者とも言える石垣市、与那国町、竹富町の各教育長にそれぞれ直接取材している。
さらに育鵬社版教科書を支持した砥板石垣市議と東京書籍版を支持する二人の大学教授を取材してバランスを保っている。
沖縄の大学教授でこの種の取材に異論を述べても、某大学教授のように沖縄2紙にバッシングを受け、村八分を恐れて引き下がるのがオチである。
毎日新聞が市議はともかく沖縄紙の御用学者にだけ取材するのも仕方のないこと。
だが、いくら左翼学者のコメントにしても我部琉球大学教授の上から目線のご高説は、国境の島に住む住民の神経を逆撫でしている。
我部氏の専門分野は国際政治と聞くが、国際政治のパワーバランスの境目に住む八重地区漁民や一般住民の苦渋は、国際政治とは無関係だとでも考えているのだろうか。
机上の空論で沖縄2紙に媚を売るのも結構だが、今回の教科書騒動に対する「疎外感を中央と同化することで埋めたい。そんな意識が働いているのではないか」という我部教授のコメントは、あまりにも尖閣諸島を行政区としている石垣市や、国境に接する八重山地区住民を軽視した発言ではないか。 この発言から離島の住民を見下すような視線を感じるのは筆者だけだろうか。
沖縄2紙や左翼学者は「沖縄は差別されている」という文言を攻撃の武器に使う。
だが、差別という言葉を多用する人こそ本物の差別主義者であると何度か書いた。
本土に差別されていると叫ぶ沖縄人で、その一方離島やヤンバル出身者に対し差別的言辞を弄する人は今でも多く見られる現実がある。
那覇の出身でもクニンダ(久米町)出身者以外の人との結婚は親族が嫌がるという話しを真顔でした人物を筆者は知っている。
いや、その那覇市の出身者でも少し昔は首里出身者にとっては差別の対象だったという。
沖縄人の差別について詳しくは ⇒「人類館」、恨み辛みの歴史観」
我部教授が数年前、NHKラジオのインタビュー番組で、沖縄の米軍基地の話しをしているとき、出身地は沖縄の何処かと聞かれ、「沖縄市出身だが、先祖は首里武士である」などと自分の氏素性を自慢げに話した。
そのときは地元の大学教授がNHKのインタビューを受けているので応援の気持ちで聞いていたが、「先祖は首里出身」などと番組の主旨とは無関係な自慢話を聞いた瞬間、応援を忘れ引いてしまったことを記憶している。
今回の毎日新聞の取材に対する我部教授の八重山地区住民に対する上から目線の発言を聞いて、数年前の氏のNHKでの「先祖は首里出身」発言を想いだしてしまった。
毎日新聞の取材を受けた砥板石垣市議によると、この取材をした女性記者は、山口県出身だそうで、砥板氏が『山口県も岩国基地などがあり、米軍基地問題を抱えているんじゃないですか?』と聞くと、その女性記者は、『山口県は、明治維新で国を作ったという誇りがあるせいか、沖縄のような基地問題にはなりませんね...』と言っていたのが印象的だったとのこと。
毎日新聞は琉球新報と提携関係にあるので、従来通りの取材だったら事前に地元紙(琉球新報)のブリーフィングを受け、概ね地元紙の論調を受け売りするのが通常であった。
ところが今回の八重山教科書騒動は3ヶ月以上にわたり発狂新聞がデタラメ記事を垂れ流したお陰かどうか、砥板議員によるよると、毎日新聞の取材チームも、沖縄の県紙の異常さは充分理解しているように感じられたとのこと。
つまり沖縄の発狂新聞が3ヶ月の長期にわたり誰が見てもわかるデタラメ記事を拡散し続けたために、さすがの毎日新聞でも事の真相を理解することが出来たのだろう。
その結果上記引用のような比較的中立的な記事を書くことが出来たものと考える。
沖縄紙 狂える記事が ブーメラン (爆)
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