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■八重山日報 11月18日
与那国 南牧場に基地
防衛省幹部が明言
説明会 反対派が激しく抗議
与那国町への自衛隊配備に向けた住民説明会(主催・防衛省と
町)が17日夜、嶋仲公民館で開かれた。反対派が激しく抗議し、冒
頭、集団で退席するなど荒れた展開。質疑でも配備に対する賛否が
二分した。防衛省幹部は、部隊の駐屯地として島南西部の南牧場
(久部良地区)が候補地であることを正式に表明した。(3面関
連)
冒頭で防衛省側が説明に入ろうとすると、反対派の住民が次々と立
ち上がり「やり方が間違っている」などと大声を上げた。賛成派の
住民が「説明を聞くべきだ」と反論。会場は一時、騒然とした。反
対派が退席したあと、残った約80人に、防衛省幹部が部隊配備計画
を説明。国境周辺で航空機や船舶を監視する陸自沿岸監視部隊と、
移動式警戒管制レーダーを装備する空自移動警戒隊を配備する方針
を示した。沿岸監視施設などは南牧場と島南部のインビ岳周辺、駐
屯地は南牧場への配備を検討する。来年度中に用地を取得して造成
工事に入り、中期防衛力整備計画の期限である2015年度までに
部隊配置を完了させるスケジュールを明示した。
質疑で賛成派からは、中国の軍事力拡大を念頭に「危機はそこま
で迫っている。知らないのは国民と町民だけだ」と指摘する声や、
配備による漁業の安全、医療環境の向上などに期待する意見が相次
いだ。これに対し、反対派は「備えがあるところに弾丸は来る。他
国を刺激しないことも重要」「住民投票するべきだ」などと主張。
1人の男子中学生も「自衛隊がいると帰ってきたくないという人が
いる。中学生の意見も聞いてほしい」と反対をアピールした。
説明会後、外間守吉町長は「反対派は冒頭から暴れ、会場を壊す
雰囲気作りをした。真摯に質問するならいいが、こんな状況では説
明会をする必要はない」と反対派を強く批判。誘致の是非を問う住
民投票については「もう次年度に向けて(用地取得費として)国が
15億円を予算要求している。住民投票をすると島を二分し、大変な
ことになる」と述べ、拒否する姿勢を明確にした。
自衛隊与那国配備計画
実現へ着々と前進
防衛省「基地は住民にプラス」
「駐屯地には体育館やグラウンドも整備」—。17日夜の住民説明
会では、防衛省側による配備計画の説明がより具体的になり、実現
へ着々と前進していることをうかがわせた。防衛省側は説明の中
で、間接的ながら、配備が住民生活にとってメリットになるという
考えも示した。(1面参照)
防衛省側の出席者は、防衛計画課の青柳肇課長ら5人。説明によ
ると、駐屯地には隊員が勤務する庁舎や、独身の隊員が生活する
隊舍などが整備される。グラウンドには400㍍のトラックがあり、
防衛省側は「町民も利用できる」とした。部隊の人数は未定だが、
同じ任務を担う北海道の沿岸監視部隊は「100人程度」。住民か
らは、町内で災害が発生した場合の対応について質問があり、防衛
省側は「沖縄本島からは準備を含め、大型輸送ヘリで5〜6時間ほ
どかかる。部隊が(町内に)配備されていれば当然、即、出動とい
う形になる」と強調した。
防衛省側が参加者に配布した資料では、各地に駐屯する部隊が、
夏祭りや植樹祭などの地域行事に参加していることも紹介された。
防衛省側は「地域に根ざした自衛隊を目指し、住民の安全安心を守
る」とアピールした。住民からは、漁業者が国境付近で武装した他
国の船舶に遭遇する例を挙げ「与那国の漁師を守ってほしい」と訴
える声も。防衛省側は「自衛隊がいることで(他国の船舶に対す
る)抑止的な効果になる」と述べた。
一方、反対派の住民の多くが説明を聞かず、早々に退席。会場外
で「防衛省は帰れ」などと叫び、気勢を上げた。与那国改革会議の
崎原正吉議長は「町民の合意もないまま説明するやり方が通るの
か」と吐き捨てた。
■八重山毎日 11月18日
教科書問題
「方針にそぐわない」
保護者の署名活動に市教委
学校長に適切対応求める
八重山地区の公民教科書をめぐり、PTAの有志で組織する「子ど
ものための教科書を考える会」(共同代表・平良守弘氏ら6人)
が、9月8日の「全員協議」で採択した東京書籍版を「地区内の同
一の教科書」と確認を求めて行っている署名活動に対し、石垣市教
育委員会(玉津博克教育長)は17日、市教委の方針にそぐわないと
して「適切な対応」をとるよう各小中学校長あてに通知した。
「八重山地区中学校社会科公民教科書の採択に関する要請文につ
いて」と題する通知文。要請文の内容について「本市教育委員会に
おける教科書採択の方針にそぐわないものであり、教育行政を推進
していく上で支障をきたすものであると思慮される」と指摘した上
で「校内における署名活動等に関しては、しかるべき判断の上、適
切な対応をしていただきたい」としている。
保護者の会は、文科大臣と県教育委員長に要請書を送付するため
賛同者の署名を求めている。署名用紙には東京書籍と育鵬社の比較
表も掲載している。
東書版公民教科書できょう住民大会
市健康福祉センター
八重山地区教科書採択問題で、「東京書籍版公民教科書を子ども
たちに」と訴える住民大会が18日午後7時から石垣市健康福祉セン
ターで開かれる。佐久間正夫琉球大学教授の講演、住民代表の意見
発表などが予定されている。
15年度に部隊配備
与那国町
防衛省が住民説明会
反対住民 途中退席
【与那国】防衛省と与那国町は17日夕、町内の嶋仲公民館で陸上自
衛隊の沿岸監視部隊配備に関する住民説明会を開き、同省や自衛隊
幹部が与那国島への沿岸監視部隊や空自移動警戒隊の配備とその候
補地について説明した。候補地は沿岸監視施設用地が南牧場とイン
ビ岳西側周辺、駐屯地用地は南牧場が示された。防衛省は年度内に
候補地を決定。来年度から用地取得と造成工事に着手し、15年度内
の部隊配備を計画している。説明会には町民120人余が参加。反対
派住民の大半が住民の合意形成を抜きにした説明会に反発、途中退
席した。
〈年度内に候補値決定〉
防衛省などの説明によると、次年度予算で概算要求した15億円は陸
自沿岸監視部隊配備と空自移動警戒隊の展開のために必要な用地取
得費△動植物や植生の現況調査△敷地造成に関する実施設計△敷地
造成の一部△移転補償などの経費。
沿岸監視施設(2カ所)の候補地は△電波干渉の影響が少ない場
所△航空法上の制限を受けない場所として「南牧場」「インビ岳西
側周辺」の町有地、駐屯地は沿岸監視施設と可能な限り隔離しない
場所として「南牧場」がそれぞれ選定された。具体的な配備場所は
今後調整する。駐屯地には、隊員が勤務する庁舎や独身隊員が生活
する隊舍、体育館やグラウンドが整備される。
説明会に先立ち、与那国改革会議の崎原正吉議長が「我々は賛成
署名を上回る566人の反対署名を提出している」として外間守吉町
長に回答を要求。町長は「反対署名を受け、議会に提出したが、否
決された」と回答。
これに崎原議長ら反対住民が「(誘致は)住民説明会を開き、議
論したうえで、住民投票で決定すべきだ」「今回の説明会は既成事
実作りだ」などと一斉に反発。賛成住民の「話を聞くべきだ」とす
る双方の怒号が飛び交う中、反対派の大半が説明会をボイコットし
た。説明会終了後の質疑では「急患輸送に使用できるヘリは常駐し
ないか」「自衛隊はキビ刈りや民間行事に参加するのか」といった
声のほか「自衛隊基地があると、高校進学で島を出たあと、帰って
来たくないという人が半数以上いる」とする中学生や「何もない所
に弾は来ない。備えがある所に弾は来る。与那国での備えは必要な
い」とする80代女性の声もあった。
インフラ整備など要望
陸自配備で外間町長
外間守吉町長は住民説明会終了後、記者団のインタビューに次の
通り答えた。
—候補地として南牧場が提示されたが。
初めて南牧場が明示された。北牧場でお願いしていたが、航空法
上の問題で南牧場になった経緯があるので、持ち帰り検討した
い。
—部隊規模など具体的な提示があったが。
今回、はっきりしたので、インフラ整備を含め、基地周辺に係る
いろんな事業を問題提起したい。これに関する要望もしたい。
—自衛隊誘致の目的は国防上か地域活性化か。
右肩下がりの人口に歯止めをかけたい。これが偽りのない気持ち
だ。
—反対住民と折り合いをつける余地はあるか。
ちゃんとやりたい。ただ感情的にならずに冷静になり、きちんと
対応していきたい。
—自衛隊配備について町長選では決着がついているのか。
町長選出馬の時、相手から自衛隊に対する民意を問うんだと言わ
れ、それに対応した。いまさら住民投票は詭弁だ。
—住民投票の考えは
住民投票は考えていない。次年度に向け、15億円を予算要求して
いる段階。住民投票は島を二分して大変なことになるので、考え
る余地はない。
島に自衛隊いらぬ
反対派、住民投票訴え
説明会を途中でボイコットした与那国改革会議(崎原正吉議長)
の反対派住民は会場入口でミニ集会をもち、「町長は住民の声を聞
け」などと自衛隊断固反対で気勢を上げた。このなかで意見を発表
した88歳の女性は自らの戦争体験をから、施設があるところが砲撃
されたことを強調し、「平和な島への備えは止めるべき」と自衛隊
配備反対を訴えた。また、中学生が「自衛隊が来ると人が増えると
言うが、逆に嫌がって与那国にこなくなり、人口が減る」「自衛隊
に使うお金があれば町の活性化ができる」と反対意見を述べた。
同会議の崎原議長は「住民説明を開き、議論して合意のうえで誘
致すべき。それがダメなら住民投票すべきだ」と述べ、町長の誘致
姿勢を批判。19日の反対派集会で住民投票の実施を訴える考えを示
した。
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