狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

日韓首脳、年内決着の内幕

2015-12-29 22:22:34 | 従軍慰安婦
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 外交交渉に覚書・共同宣言などの文書が伴うのが常識。

だが昨日の慰安婦問題に関する日韓合意は両外相の発言のみで合意書の作成はなかった。

合意書がないということは、将来合意内容が変わることも含む合意ということか。

安倍首相の意をを受けた岸田外相が「政治的合意」で、日韓合意を急いだ内幕を書き記事が報じている。

安倍首相の、年内決着にこだわった政治決着とは別に、今回の日韓合意が歴史的事実とはかけ離れたものであることを藤岡信勝拓大客員教授が述べている。(【おまけ】参照)

慰安婦問題 日韓首脳、こだわった年内決着

国交50年を意識

2015/12/29 1:23
情報元
日本経済新聞 電子版 

【ソウル=峯岸博、黒沼晋】日韓の最大のトゲだった旧日本軍による従軍慰安婦問題が28日の外相会談で決着した。越年まで残り3日というギリギリのタイミングで合意した背景には、国交正常化50年の節目の年を意識した安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)大統領の強い意向があった。対北朝鮮で日米韓の枠組みを重視する米国が歩み寄りを促したのも大きかった。

■安倍首相「私が責任」

 24日午後、官邸内の首相執務室。「一任する。妥協する必要はない。まとまれば、歴史的な意義のある会談になる」。首相は28日の訪韓を指示した岸田文雄外相にこう力説し「私が責任を持つから行ってきてください」と背中を押した。「最終的かつ不可逆的な解決」という文言を入れることが絶対条件とも指摘した。

 首相に決断を促したのは、韓国政府の軟化姿勢にあった。「よし。このまま一気に行くぞ」。首相は23日、韓国憲法裁判所が1965年の日韓請求権協定は違憲との審判請求を却下したのを受け、年内に妥結をめざすよう秘書官に指示した。前日の22日には、朴大統領の名誉を傷つける記事を書いたとして在宅起訴されていた産経新聞の前ソウル支局長の無罪も固まった。

 首相周辺も「韓国は誠意を示したので日本としても誠意を見せる」と語り、首相は水面下で側近の谷内正太郎国家安全保障局長を22、23両日に訪韓させ、李丙(イ・ビョンギ)大統領秘書室長との非公式協議にあたらせた。首相は6月にも谷内氏を極秘に訪韓させている。今回の決着の裏には谷内、李両氏の信頼関係構築もあった。

 特に日本側は新たに設立する財団について当初、1億円超と主張していたが20億円以上の拠出を求めていた韓国側に配慮し、10億円規模とすることで折り合った。政府関係者は「最大限の誠意を示した」と打ち明ける。

 安倍首相にとっては来年の参院選対策も念頭にあったとみられる。日韓の関係改善が進めば、選挙戦で野党側に批判の口実を与えずにすむためだ。28日夜の朴大統領との電話協議でも首相は最後にこう締めくくった。「大統領の訪日を心待ちにしています」

■朴氏「最後の機会」

 一方、朴大統領が年内妥結に動いたのは「米国の意向が大きい」(韓国政府関係者)。歴史問題で韓国の立場に理解を示してきた米政府が今春ごろから日本との和解を求める姿勢を強めた。10月の米韓首脳会談では、オバマ大統領からは米中を両にらみする外交にクギを刺された。孤立を恐れる韓国政府は対日改善に一段とカジを切った

 国交正常化50年の節目が過ぎればテコがなくなり、高齢の元慰安婦が次々に鬼籍に入ってしまう――。そんな危機感も働いた。「今回、解決できないと解決できる機会を永遠に失う」。今夏、青瓦台(大統領府)の会議で朴大統領は交渉の加速を決断した。

 経済低迷が続く韓国では、日本との関係改善を求める世論が強まっている。来年4月に総選挙を控え、年明けからは選挙モードに突入する。革新系の野党が慰安婦問題で手ぐすねをひくなかで、日本を相手に妥結する「事実上、最後の機会」(朴大統領)だった

■米が解決後押し

 今回の決着は米国の期待にも沿う。「日韓関係の改善の努力を支持する。特に北朝鮮で日米韓の対応が必要だ」。オバマ大統領は4月の安倍首相との会談の際、こう伝える一方、10月に訪米した朴大統領には「困難な歴史問題が解決され、北東アジア地域で前向きな関係が生まれるよう望む」と話した。「次は米国を間に挟み、東アジアの結束を確認するということになる」。日本政府関係者はこんな見通しを示す。

 安倍首相は朴大統領との電話協議で「安全保障など様々な分野の協力を強化し、関係を前へ進めたい」と強調。朴大統領も「安保協力強化も重要性を共有する。北朝鮮の核問題をはじめ、緊密な協力を続けたい」と応じ、日米韓の連携強化を約束した。

 

【おまけ】

 

藤岡 信勝 

日韓合意について、アメリカで慰安婦像撤去運動などに取り組む「歴史の真実を求める世界連合会(GAHT)」が見解を表明しました。(以下、引用)
 


年末の12月28日に、日韓の外務大臣がソウルで共同記者会見を行い、二国が慰安婦問題について、「歴史的な」「最終的な」合意に達したと伝えた。問題はこの合意で、何が解決し、何が残されたであろうか。我々の見解は、「何も解決されなかった」とする立場である。

岸田外務大臣の誇らしげな、最終的な解決声明とは裏腹に、韓国側は、実質的に何も約束していないのである。韓国の外務大臣は、日本側の進捗を見守りながら、我々はいくつかのことについて努力すると声明した。いっぽうで、岸田氏は、そのような条件を全く付けずに、最終的に解決したと宣言したのである。外交上の手腕は、格段に韓国の方が上である。日本は、ほぼ10億円を拠出すると言明した。韓国は、拠出に言及すらしていない。しかもこの合意は、記者会見での声明だけで、文書化されていない。次期の政権には伝達されない危険性がある。

そもそも慰安婦問題は、韓国側が日本に迫ってきた問題である。日本側は、この問題は、1965年の日韓基本条約によってすべて解決済みであるとしてきた。韓国側は、日韓の関係の悪化により、経済的な被害を受けてきた。日本からの旅行者の減少、投資の減少、輸入の減少などである。たとえ、米国政府からの要請があったとしても、日本の方から解決を要請する必要はない状況であった。外務大臣がわざわざソウルを訪れる必要はなく、そして、韓国からのもろもろの要請を承認する必要はなかったのである。

しかしながら、日本側は、数多い失策をしてしまった。まず日本政府は、法的ではないが、終戦までの時期の慰安婦への関与を認め、謝意を表明した。そして人道的な立場からとは言え、政府の資金を提供することを言明した。これらは、全く不必要なことである。既に、河野談話があり、ましてや資金の提供は、罪を犯したことの証明になるのである。これで慰安婦について、日本政府は潔白を主張できなくなるのである。民間団体で行っている「慰安婦は性奴隷ではなかった」とする主張は、ますます困難な道のりを歩まなくてはならない。

更に悪いことは、韓国側から、何の意味のある誓約もとっていないのである。政府としてこの問題を蒸し返さないとは言っているのであるが、今までに行われた慰安婦に関する問題は、すべて政府外の団体によって起こされたのである。ソウルの日本大使館前の慰安婦像は挺対協によってなされた物で、グレンデールの慰安婦像も民間団体と称するKAFCによって、建立された。韓国政府は、それらの団体に対して、撤去するように努力をすると言明しているので、恐らく一枚の手紙ぐらいは書くであろう。しかし受領者は、既に言明しているように、それを無視することは明らかである。「国連等において日本を非難しない」とは言明しているが、ユネスコ記憶遺産に登録することが、非難になるかどうかは、明確にされてない。

即ち、日本は、有利な立場にありながら、有利な点をすべて放棄して、韓国の外交手腕に弄されたのである。この合意は、岸田外相の宣言に反して、日本外交史における顕著な汚点として残るであろう。

 

日韓共同記者発表全文

 岸田文雄外相と尹炳世韓国外相の共同記者発表の全文は次の通り。


慰安婦問題、日韓が合意=日本政府「責任を痛感」-「不可逆的に解決」確認


 尹氏 本日、私は岸田外相と会談を開き、日本軍慰安婦被害者問題をはじめとする両国間の懸案および関心事について深みのある協議を持った。
 年末のお忙しい日程であるにもかかわらず、岸田外相におかれては、本日この会談のために訪韓してくださり感謝申し上げたい。皆さまもご承知の通り、韓国政府は韓日国交正常化50周年を迎え、両国間において核心的な過去の歴史懸案である日本軍慰安婦被害者問題の早急な解決のために積極的に努力してきた。
 特に11月2日の韓日首脳会談では、朴槿恵大統領と安倍晋三首相において、今年が韓日国交正常化50周年といった転換点に当たる年という点を念頭に置いて、なるべく早期に慰安婦被害者問題を妥結するための協議を加速化しようという政治的決断を下し、それ以降、局長レベル協議を中心として、この問題に対する両国間の協議を加速化してきた。
 昨日行った12回目の局長レベル協議を含め、これまでの両国間の多様なチャンネルを通じた協議の結果を土台に、本日、岸田外相と全力を尽くして協議した結果、両国が受け入れ得る内容の合意に達することができた。本日、この場でその結果を皆さまに発表する。
 まず日本政府を代表して、岸田外相から、本日の合意事項についての日本の立場をお話しいただき、その次に、韓国政府の立場について私が話す。
 岸田氏 まず、日韓国交正常化50周年の年の年末にソウルを訪問させていただき、尹外相との間で大変重要な日韓外相会談を開催できたことをうれしく思っている。
 日韓間の慰安婦問題については、これまで両国局長協議等において集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき、日本政府として以下を申し述べる。
 一、慰安婦問題は当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。安倍首相は日本国首相として、改めて慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。
 二、日本政府はこれまでも本問題に真摯(しんし)に取り組んできたところ、その経験に立って、今般日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には、韓国政府が元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。
 三、日本政府は以上を表明するとともに、以上申し上げた措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表によりこの問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。併せて、日本政府は韓国政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難、批判することを控える。
 なお、先ほど申し上げた予算措置については、規模としておおむね10億円程度となった。以上のことについては、日韓両首脳の指示に基づいて行ってきた協議の結果であり、これをもって日韓関係が新時代に入ることを確信している。
 尹氏 次は、本日の合意事項に対して韓国政府の立場について私より発表する。
 日本軍慰安婦被害者問題に対しては、これまで両国局長級協議などを通じて集中的に協議してきた。その結果に基づき、韓国政府として以下を表明する。
 一、韓国政府は日本政府の表明とこのたびの発表に至るまでの取り組みを評価し、日本政府が先に表明した措置を着実に実施されるとの前提で、このたびの発表を通じて、日本政府と共にこの問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は日本政府が実施する措置に協力する。
 二、韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、空間の安寧、威厳の維持といった観点から懸念しているという点を認知し、韓国政府としても可能な対応方法に対し、関連団体との協議等を通じて適切に解決されるよう努力する。
 三、韓国政府はこのたびの日本政府が表明した措置が着実に実施されるとの前提で、日本政府と共に今後、国連など国際社会において本問題に対する相互非難、批判を自制する。
 以上をもって韓国政府の立場について申し上げた。
 韓日国交正常化50周年である今年が過ぎ去る前に、岸田外相と共にこれまで至難であった交渉にピリオドを打ち、本日この場で交渉の妥結宣言ができることを大変うれしく思う。
 今後、このたびの合意のフォローアップが着実に履行され、厳しい忍耐の歳月を耐えてこられた日本軍慰安婦被害者の方々の名誉と尊厳が回復され、心の傷が癒やされることを心より祈念する。
 同時に、韓日両国間で最も困難で厳しい過去の歴史、懸案であった日本軍慰安婦被害者問題交渉が仕上げられることをきっかけとして、新年において韓日両国が新しい心でもって新しい韓日関係を切り開いていけることを衷心より期待する。(2015/12/28-17:42)

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少女像を持ち越した合意など認められない!慰安婦問題、

2015-12-29 08:17:29 | 従軍慰安婦

 

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本日の沖縄タイムスは慰安婦問題で計四面を使って発狂見出し。

■一面トップ

「慰安婦」問題で日韓合意

首相「おわびと反省」

軍関与と責任認める

■二面トップ

世論を意識 痛み分け

日韓合意 解釈に余地

少女像の撤去 持ち越し

■社会面トップ

被害者の涙 置き去り

「政府意図見えない」

「慰安婦」問題県内支持者ら

謝罪に評価も

歴史教科書記述など注目

県内に慰安所145ヵ所

研究者ら92年にマップ

被害の詳細 なおも不明

一歩前進/うやむやな印象 国内反応

一面トップ を見る限り「河野談話」に逆戻りした印象は否めない。

また慰安婦問題の象徴であるソウル日本大使館前の「少女像撤去」を持ち越したままの日韓合意など有り得ないし、心ある日本国民なら認めるわけにはいかない。

日韓合意のポイントを共同通信丸投げの沖縄タイムスから引用するとこうなる。

1)慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決されることを認識

(2)日本は、軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた。 日本政府は責任を痛感

(3)安倍首相が「心からのおわびと反省」を表明する

(4)元慰安婦を支援する財団を韓国側が設立し、日本政府が10億円拠出。両政府が協力して事業を行う。

4項目のうち(1)に関しては当然のことと考えるが、これまで韓国側が何度もこの約束を踏みにじった経緯については何の反省もない。

ほとんどの日本国民が韓国政府を信用していないのは日韓基本条約とアジア女性基金を2度も踏みにじった反省がないからだ。

 

「二度あることは三度ある」と言うが、三度目の「合意反故」が生じた場合どうするつもりか。

今回の合意が「3度目の正直」といきたいところだが、民間団体の激しい反日活動を抑えきれない韓国政府が、合意を遵守できる可能性はきわめて低い。

 

今回の日韓合意の前提にすべき日本大使館前の少女像の撤去が、うやむやな表現になっているのがその象徴だ。

 

日本政府が撤去を求めているソウルの日本大使館前に建てられた慰安婦問題を象徴する少女像について、韓国政府の方針として「関連団体との協議を行うなど、適切に解決されるよう努力する」と語るにとどめている。

こんな曖昧模糊な合意など認めることは出来ない。

しかも慰安婦少女像は日本大使館前だけでなく、他の地域にも多数建てられているが、これは不問にするつもりなのか。

 

(2)の「軍の関与の下に」の記述は、慰安所を利用したのは軍だから「軍の関与」は当然だといわれるが、このように合意文書に明記されるのは納得できない。

慰安婦問題の最大に争点が「(慰安婦の)強制連行の有無」だったことを考えれば、この問題に詳しくないほとんどの人は「軍の関与=軍による強制連行」と誤解するからだ。

さらに安倍首相が「心からのお詫びと反省」をするとなれば、誰もが「日本軍が慰安婦を強制連行した」と誤った判断をしてしまう。

現に今朝の沖縄タイムスの社説[慰安婦問題で合意]関係改善の機が熟したでは、次のような強制連行の記述がある。

ペさんは44年、旧日本軍の慰安婦として沖縄に連れてこられ、渡嘉敷島に配置された。

逃げ場のない離島で日によっては何十人もの兵隊の相手をさせられ、戦後は帰るのをいやがって米軍統治下の沖縄にとどまった。身寄りもなく、方々を転々とする不安定な生活。頭痛、神経痛の持病…。ポンギさんが異郷の地でひっそり生涯を閉じたのは91年10月のことである。

国の責任の重さをあらためて思う

 

軍により無理やり連行され慰安婦を強要されたのなら、社説が言うように「国の責任の重さをあらためて思う」のも当然だが、強制連行されたと主張するほとんどの韓国人が戦後韓国には戻らずに自分の意志で日本での生活を選択している。 強制連行ではないから、自分の意志で日本に残っている。

 慰安婦問題で日韓合意 日本国内、歓迎と懸念の声が交錯 (朝日12/29)

長年にわたって日韓の最大の懸案だった慰安婦問題で、両国政府が28日に合意したことを受け、日本の関係者や専門家の間では歓迎の声と、韓国内の反発で問題が再燃することを懸念する声が交錯した。


 在任中に慰安婦問題に取り組んだ村山富市元首相はこの日、地元の大分市で記者会見した。安保法制や戦後70年の首相談話をめぐり安倍晋三首相に厳しい姿勢をとってきたが、「素直に良かったことは良かった。安倍さんはよく決断した」と評価した。

 理由として、合意に安倍首相による「おわび」の表明を盛り込んだことを高く評価すると説明。「明確に責任を認めたことで話が進んだ」と分析したうえで、「日韓関係の当面のネックはなくなった。全てが決着した」と合意を歓迎した。

 村山政権時代の1995年に設立された「アジア女性基金」の呼びかけ人の一人、外務省出身の外交評論家・岡本行夫氏も「非常に良い解決策だったと思う。すぐ完全な和解に至るのは難しいだろうが、これで対話の緒についた」と評価した。そのうえで、「日韓双方にそんなに時間は残されていなかった。慰安婦が生存している今が最後のチャンスだった」と語った。

 アジア女性基金は、元慰安婦に「償い金」を支給するものだったが、韓国内の慰安婦支援団体などから反発を受け、支援対象となるはずだった元慰安婦の女性約240人のうち、「償い金」を実際に受け取ったのは61人にとどまった。しかし、岡本氏は「当時は日本側だけでやったが、今回は韓国政府が関与する点が大きく違う。韓国側に日本との和解をしようという政治決断があり、日本側も政治決断をしたということだ」と述べ、当時との違いを強調する。

 一方で、93年の河野官房長官談話の作成に携わった石原信雄・元官房副長官は「慰安婦問題をめぐる最大の懸念は、戦後補償の請求権の問題を韓国政府が再び蒸し返さないかどうかだ」と指摘する。

 日本政府は、戦争や日本の統治で生じた被害の賠償は65年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」との立場で、今回の合意でもその立場は崩していない。しかし、「河野談話」の後も慰安婦問題は解決せず、請求権問題が両国間にくすぶってきた経緯がある。石原氏は「当初は(慰安婦問題に取り組む韓国国内の)団体に距離を置いていた韓国政府も、次第に動かされるようになった。そうした韓国政府と団体の関係が、今回の合意で確実に変わるのかどうかはまだ分からず、注視したい」という。

 ログイン前の続き木村幹・神戸大教授(朝鮮半島地域研究)は、今回の合意を「画期的」と評価する一方、その履行には課題があるとみる。

 岸田文雄外相は会談後の会見で、日本政府が財団に拠出する10億円について「賠償ではない」と発言。すでに、この点について韓国国内では「なぜ日本が法的責任を認めていないのに合意したのか」との不満が出始めているという。

 木村氏は「こうした不満が世論の大勢となれば、元慰安婦の女性たちも財団からの支援を受けづらくなる」と指摘。元慰安婦に資する形にならなければ、いくら両国政府が「新しい時代」を掲げても、「韓国国民の対日感情の改善は期待できない」と指摘する。

 その意味で「日本政府は10億円の拠出だけで、この問題のあらゆる課題の解決を韓国政府に押し付けたようなものだ」と手厳しい。ソウルの日本大使館(建て替えのため現在は移転)前の少女像については「撤去はあまりにも反発が大きい。今の場所から近いところへ移動させることなどで収めるのでは」と話した。

 一方、「慰安婦問題は日本のマスコミの誤報と日本政府の安易な謝罪が原因という点に踏み込んでいない」と主張する西岡力・東京基督教大教授は「本質的解決にほど遠い合意だ。『日本政府の責任』の中身が不明確であるうえ、少女像の撤去に韓国側が『努力する』とあるが、運動団体が反対しているのに実現するのか疑問だ。日韓が相互に批判を自制するとのことだが、虚偽に対し日本側が事実にもとづき反論することも自制すると、問題の真の解決はかえって遠のくのではないか」と話す。

 


 

慰安婦問題めぐり日韓合意 「最終的かつ不可逆的解決」(12/28朝日)


 日韓両政府は28日、ソウルで外相会談を開き、慰安婦問題を決着させることで合意した。日本政府が軍の関与や政府の責任を認め、元慰安婦支援で韓国政府が新たに設立する財団に日本から10億円を拠出すると表明。日韓双方が、この枠組みを「最終的かつ不可逆的解決」とすることを確認した。
 日韓関係の最大の懸案の一つだった慰安婦問題は、安倍晋三首相と朴槿恵(パククネ)大統領の政治決断により国交正常化50年の節目に決着を迎えた。両国関係は今後、改善に向けて大きく進む可能性がある。
 岸田文雄外相と韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相は28日、ソウル市内の韓国外交省で約1時間20分会談した。終了後、両氏は共同記者発表を開催。岸田氏は、慰安婦問題について「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」とし、「日本政府は責任を痛感している」と語った。さらに、安倍首相が元慰安婦に対して「心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べた。
 また、岸田氏は、韓国が設立する財団に10億円規模を日本政府から拠出し、日韓両政府が協力して元慰安婦を支援する事業を行っていく方針も表明。岸田、尹両氏がこの枠組みを進める前提で、慰安婦問題についてそれぞれ「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と強調した。
 一方、尹氏は、日本政府が撤去を求めているソウルの日本大使館(建て替えのため現在は移転)前に建てられた慰安婦問題を象徴する少女像についても言及。韓国政府の方針として「関連団体との協議を行うなど、適切に解決されるよう努力する」と語った。
 両氏は、慰安婦問題をめぐり、それぞれ「国際社会で互いに非難・批判することは控える」という方針も表明した。
 岸田氏は共同発表後、ソウル市内で記者団に「合意ができたことは歴史的であり、画期的な成果。日韓関係は未来志向の新時代へと発展する」と強調。今回の合意と、1965年の日韓請求権協定で請求権に関する問題は解決済みとした従来の姿勢との整合性について「政府の立場は何ら変わらない」と訴えた。
 岸田氏はその後、韓国大統領府(青瓦台)で朴大統領と面会。朴氏は「今回の交渉結果が誠実に履行され、韓日関係が新しい出発点から再び始まることを願う」と述べた。また、安倍首相と朴氏は28日夕、電話で協議し、今回の合意をそれぞれ歓迎した。
 安倍首相は同日夕、外相会談の合意を受けて記者団に「子や孫の世代に謝罪しつづける宿命を背負わせるわけにはいかない。今後、日韓は新しい時代を迎える」と語った。(ソウル=武田肇、東岡徹)


「屈辱的」「政府に従う」 日韓合意、評価割れる韓国(12/28朝日)
 日韓両政府の合意について、韓国側では元慰安婦の支援団体などから反発の声が上がった。
 日韓外相会談が行われたソウルの韓国外交省で28日午後、「法的責任に背を向けた安倍政権糾弾」といったプラカードを掲げた市民団体のメンバーら約50人が「会談中止」を求めて集まった。
 元慰安婦の支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」(挺対協)は会談終了後、「屈辱的だ」と反発する声明を発表し、「慰安婦は日本政府が主導した犯罪であり、不法という点が明らかになっていない」と批判。安倍首相による直接の謝罪もなかったとして「真心がこもった謝罪と受け入れるのは難しい」とした。さらに真相究明や歴史教育などの「再発防止措置」の言及もないと指摘、韓国政府が受け入れたことは「衝撃だ」とした。
 一方、韓国のYTNテレビは「政府が年内に解決しようとしてくれたのだから、努力してくれた人たちのことを考えて、政府が決めたことに従いたい」という元慰安婦の女性のインタビューを放送した。
 一方、日韓関係の悪化をめぐっては、経済界から「政治と経済の分離」を主張する意見があった。韓国の経済団体・全国経済人連合会は「両国政府が慰安婦問題で和解の合意を得たことを歓迎する」という声明文を発表。「国交正常化50周年を迎える特別な年に問題解決の合意がなされたことで、両国が新たな希望の百年を進むことを期待する」とした。(以下登録読者のみ)


 日本でも「安倍総理の決断を批判する右側の人たち」は現れるだろうが、韓国内の分裂模様の比では無さそう。今回の合意は、寧ろ韓国側にとって非常に重い物となったのではないか。
 「最終的かつ不可逆な解決」という合意を韓国側が破った場合、それで信用を失うのは韓国の側であることを考えると、この言質が取れたのは確かに成果である。



 

今回の合意の「最終的かつ不可逆な解決」を韓国側が破った場合、信用を失うのは韓国の側である。

ネットが普及した現在の「世界の目」を考えると、この文言を冒頭に入れたことは一つの成果には違いないが・・・。

 

今後日本でも今回の日韓合意を批判する人達は現れるだろうが、韓国内の激しい反日批判のの比では無い。

 

韓国政府は挺対協ら反日団体の抗議を抑えられずに、結局「最終決着」は反故にされるだろう。

 

 

 

【おまけ】

 

慰安婦問題に関する沖縄タイムの報道。

 

日韓、慰安婦問題で「最終決着」 10億円財団設立、首相がおわび

沖縄タイムス 2015年12月29日 01:09
 
 
 
 
 
【ソウル共同】日韓両政府は28日、外相会談をソウルで開催し、従軍慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」で合意した。日本は軍の関与と政府の責任を認めるとともに、元慰安婦への支援を目的に韓国政府が設立する財団に10億円を拠出する。この後、安倍晋三首相は朴槿恵大統領と電話で会談し「心からのおわびと反省の気持ち」を伝えた。合意内容も確認した。

 被害女性を象徴するソウルの日本大使館前の少女像をめぐる日本の撤去要求について、韓国の尹炳世外相は岸田文雄外相との共同記者発表で「関連団体と協議し適切に解決できるよう努力する」と述べた。(共同通信)

 

社説[慰安婦問題で合意]関係改善の機が熟した

2015年12月29日 05:30 社説  歴史的な合意ではあるが、現時点では政府レベルの交渉妥結にとどまる。元慰安婦の女性たちはこの決着をどう受け止めるか、韓国の世論はどう評価するのか。

» 基地と原発のニュースをフクナワでも

 両国関係に突き刺さったトゲを抜き取り、相互理解を深め、和解を実現するためには、何は差し置いても日本における官民の真摯(しんし)な取り組みが欠かせない。

 日韓両外相は28日、ソウルで共同記者会見し、「従軍慰安婦」問題について「最終的」な合意に達したことを明らかにした。

 「不可逆的な」という言葉をあえて加えたのは、両政府の間では今後、この問題を蒸し返さない、という意味である。

 会見で岸田文雄外相が明らかにした日本政府の見解は、この問題を考える際の新たな出発点になるものである。

 岸田外相は慰安婦問題について「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」だと指摘し、「日本政府は責任を痛感している」と述べた。

 さらに岸田外相は、「心からおわびと反省の気持ちを表明する」との安倍晋三首相の気持ちを伝え、元慰安婦の方たちの心の傷を癒やすため日本政府の予算から10億円規模の資金を拠出することを明らかにした。

 元慰安婦への賠償について、1965年の日韓請求権協定で「解決済み」と主張してきた政府が、国の責任を認め、政府予算を使って支援事業を実施することを明らかにしたのである。一歩前進したのは間違いない。

    ■    ■

 だが、政府間交渉の結果が国民に受け入れられるとは限らない。例えば、安倍政権の閣僚が合意内容に反するような暴言を吐いたり、謝罪や反省や責任を否定し元慰安婦の尊厳や名誉を傷つけるような草の根の運動が表面化すれば、政府間合意が崩壊する可能性もある。

 ソウルの日本大使館前に設置された少女像の取り扱いについて尹炳世(ユンビョンセ)外相は「関連団体との協議を通じ適切な解決に努力する」ことを明らかにしたが、簡単にはいきそうもない。

 外交と内政は密接につながっている。韓国の人たちが「変わらない日本」を実感し、逆に日本の人たちが嫌韓感情を抱えたままだと、両国の和解は遠のく。政府間合意によって新たな革袋ができたのは確かだが、これにどのような中身を盛り込んでいくか。課題は多い。

    ■    ■

 日韓両外相の記者会見をテレビで見ていてふと頭に浮かんだのは、ペ・ポンギさんの姿である。ペさんは44年、旧日本軍の慰安婦として沖縄に連れてこられ、渡嘉敷島に配置された。

 逃げ場のない離島で日によっては何十人もの兵隊の相手をさせられ、戦後は帰るのをいやがって米軍統治下の沖縄にとどまった。身寄りもなく、方々を転々とする不安定な生活。頭痛、神経痛の持病…。ポンギさんが異郷の地でひっそり生涯を閉じたのは91年10月のことである。

 国の責任の重さをあらためて思う。

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