那覇市を相手に那覇市民が提訴した「福祉センター」に関する住民訴訟は、残念ながら
原告住民側の敗訴であった。
訴訟の主旨は翁長那覇市長当時の那覇市が、平成21年から平成25年にかけて、財団法人那覇市身体障害者協会」(以後「那覇身協」)に支払った委託料が不当に過大なので損害賠償を請求する、という事件。
簡単にいうと、那覇身協への支払いは、国が50%、県が25%の補助金をだす制度があり、那覇市は残りの25%の支出で済むはず。
ところが、那覇市は国および県の補助を拒否し、全額那覇市の支出でまかなった。 これは税金の無駄遣いではないか、というのが損害賠償請求の主旨だ。
さらに県や国の補助を受けると、県、国の監査を受けなければならず、全額那覇市が支出すると、外部監査を受けなくても済む。 これに不正の臭いを感じ取る。
問題の那覇身協の経営者が翁長前市長の講演会長であったことも、不正の臭いがする。
判決文は数字の羅列が続き複雑なので、判決の主文のみを紹介すると、こうなっている。
1・本件訴えのうち別紙の「通し番号」1ないし46の各支出命令に係る請求に関する部分は却下する。
2・原告のその余の請求を却下する。
1・でいう別紙の「通し番号」1ないし46の各支出命令とは、平成21年度から平成24年度に及ぶ那覇市の那覇身協に対する不当ないしは違法な支出のことを指す。
判決は、これを審議もせずに門前払いで却下したのである。
さらに2・の「その余」とは25年度の支出のことである。
ここで却下と棄却について説明する。
民事訴訟で裁判所が受理した訴訟について、審理の結果、提訴に理由がないとして請求などを退けるのが棄却という。
一方、請求自体が不適法であるとして、理由の有無を判断しないで、門前払いをするのが却下という。
鈴木博裁判長は請求の大部分を構成する21年度から24年度の那覇市の不当ないし違法な支出を審議することなく門前払いにした。
棄却の理由も、確かに那覇市は那覇身協に対し、不当ないし違法と思われる過分な支払いはしているが、これは那覇市の「裁量の逸脱に当たるとは認められない」というのである。
実は那覇市の支出に関する27の事案の25の事案に、公認会計士らの外部監査が不適切との意見を出している。
仮に昨日判決が出た「福祉法人」関連の住民訴訟で那覇市が敗訴したら、芋づる式に他の25の不適切会計の案件に住民訴訟が起きることは必至である。
そうなると「巨悪の伏魔殿」として那覇市役所の屋台骨を揺るがす大疑獄事件に発展する可能性がある。
しかも巨悪の根源は翁長前市長の置き土産である。
そして、翁長氏は現在、県知事として「オール沖縄の民意」を背に、国と対決しているヒーローになっている。
この翁長氏を巨悪の元凶とする那覇市の屋台骨を揺るがす判決を出すことになる。
鈴木博裁判長が那覇市に「敗訴の判決」を下すのに躊躇しても不思議ではない。
なぜなら、鈴木裁判長は「ヒラメ裁判官」と判明したからだ。
ヒラメ裁判官の説明をしよう。
司法試験を通った者には、弁護士、検事、裁判官と三つの進路がある。 弁護士が曲がりなりにも一国一城の主であるのに対し、検事と裁判官は国家公務員でありサラリーマンであることに違いはない。
検事が法務省に属し政府の一員であるのに対し、裁判官は三権分立により、同じ国家公務員でも政府とは一線を画していると一般には考えられている。
裁判官は神の如く真実をお見通しで、正義の象徴に考える人も多い。
ところが、裁判官も裁かれる被告も同じ人の子であり、正義の追求より世間の目や組織内での出世を第一に考える者も出てくる。
弁護士の間では、政府や法務省の方針に忠実に従う判決ばかりをだす裁判官のことを、「ヒラメ裁判官」と呼ぶらしい。
魚のヒラメのように上しか見えないという意味で、自分の出世の事だけを考えている人間という意味である。
ヒラメは、海底の砂地にへばりついている間に、上のほうのエサの小魚ばかりを見ていたので、片目まで同じ側に移ってしまったという。
さて、翁長知事の置き土産である「福祉法人訴訟」に「ヒラメ判決」が出たことで、原告をはじめ支援団体は改めて一見地味に見える住民訴訟の重大さを感じ取った。
逃した獲物は大きいと確信した。
ヒラメ裁判長があえて審議をせず、門前払いにしたからだ。
闘志を新たに、控訴するのは言うまでもない。
<ここで新たな憶測が浮上してきた。
「国に対し、地方自治という”民意”を背に受け、あらゆる手段で抵抗したが、国の強権のため敗訴してしまった」という世論を作る戦略ではないか。
つまり国という巨大な怪物に果敢に立ち向かったが、雄図むなしく国に踏みにじられた「悲劇のヒーロー」になるつもりではないか。
そうなると翁長氏の次の打つ手はこれしかない。
「あらゆる手段を駆使し辺野古反対を精一杯努力したが、 ・・・・>
翁長知事が当日記を見たのではないかと思わせる記事が今朝
の沖縄タイムスに掲載されているではないか。
2015年12月9日 20:24
10日に就任1年を迎える翁長雄志知事は9日夕、沖縄県庁で記者会見し、1年の自己評価は何点かという質問に「これ以上精いっぱいはできませんというくらい精いっぱいやった」と述べた。点数はつけなかった。
知事は「基地問題で翻弄(ほんろう)されたが、やっと1年たどり着いたかなという感じ。県民の熱い思いを背に受けて一つ一つやってきたことがいい形で積み重ねてこれた」との見解を示した。
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>「これ以上精いっぱいはできませんというくらい精いっぱいやった
いよいよ、悲劇のヒーローになるための前宣伝としか思えないコメントだ。
>県民の熱い思いを背に受けて一つ一つやってきたことがいい形で積み重ねてこれた」
「いい形」というが、知事選前の公約は何一つ実現していない。
しかも係争中の裁判は万に一つの勝ち目もない。 残る手段は更なる巨大な「民意」で支援される道しかないだろう。
そのための伏線として、安倍政権に対し、「対話よりも強権的に進めていくところがあり、沖縄を見る場合もまずは領土として戦略上、何の役に立つかという視点でしか、ものを見る目がない」と厳しく批判している。
知事に全国から激励3万通 辺野古反対、広がる支援 2015月12月10日 05
- 県執行部は辺野古問題の答弁で誤りがあったと謝罪し訂正した
- 県議会は4時間空転。自民は本会議召集に応じず5人の質問が無効に
- 自民は「重大な局面でのミス」と批判。副知事は「反省している」
町田優知事公室長は取り消しの理由について3日の自民党の代表質問で「埋め立て承認願書に瑕疵(かし)があった」と答弁したが、8日の照屋守之氏(自民)の一般質問で「『承認願書』は誤りで、『承認』に瑕疵があった」と謝罪し訂正した。自民は翁長雄志知事にも謝罪を求めたが、県は応じなかった。
自民は知事が謝罪しないことに反発し午後2時30分の本会議再開の召集に応じなかったため、照屋氏を含めた5人の自民所属議員が通告していた一般質問が無効となった。県議会会議規則では質問を通告した議員が議場にいない場合、通告の効力を失うと定められている。県議会事務局によると、質問者が議場に不在で質問通告が無効となったのは今回で5例目。
具志孝助幹事長は本会議終了後に会見し「国と県の訴訟に発展している辺野古問題で重大な答弁ミスがあった。訂正前の『承認願書に瑕疵がある』という答弁では、国側の手続きに誤りがあるということになり、訴訟にも影響が出かねない」と指摘。知事の対応について「重大な局面で執行部が答弁をミスし、その釈明も謝罪もしないのは断じて許せない」と批判した。
安慶田光男副知事は本会議終了後に記者団に対し、答弁に誤りがあったことについて「今後気を付けていかなければならないと反省している」と述べた。
また、自民は喜納昌春議長に「野党と調整せず本会議を再開させ、議員の質問権を奪った」と抗議し、喜納議長は「私も残念に思う。(議事運営の)力量が足りなかった」と謝罪した。
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辺野古 400人が座り込み 釈放の瀬長さん「騒乱原因... 2015月12月9日 11:28