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日本学術会議が「中国の軍事研究に参加」「千人計画に協力」は根拠不明。「反日組織」と拡散したが…

配信

BuzzFeed Japan

学術会議は関与を否定

 

FIJ提供

本学術会議の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、中国の軍事研究への協力について「そのような事業、計画などはありません」と明確に否定した。 また、「千人計画」ついても「学術会議として、計画に協力したり、交流したりするようなことはしておりません」と同様に否定した。

日本学術会議と中国の関係についていえば、中国科学技術協会との間に2015年に「協力覚書」を結んでいる。 この協会はあくまで「非政府」の民間組織であるが、政府に答申などをする役割も担うなど関係は深い。そもそも中国は一党独裁体制であることからも、この協定そのものが「軍事研究への協力だ」とする言説もある。 実態はどうか。学術会議との協定では、会議やセミナーなどを通じた「情報交換」や、研究者間の交流、共同ワーク ショップやセミナーの開催などの取り組みを進めていくことなどの取り決めを交わしている。 しかし、事務局によると「実際の事業は覚書が結ばれて以降、行われていないのが実態です」と語った。そもそも学術会議の予算面の問題から、国際的な研究プロジェクトなどを実施することは、中国以外の国ともできていないという。 つまり、軍事研究や千人計画以前に、学術会議として他国との間で「研究(計画)に協力」しているという事実がない、ということだ。(略)

自民・甘利氏のブログが発端に?
 

amari-akira.com

学術会議自体が否定している「千人計画」に協力しているという情報は、どこから広がっているのだろうか。 その発端は、自民党の甘利明・元経済再生担当相の発言にある可能性がある。甘利氏は自らのブログ(8月6日)で以下のように記している。 《日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には積極的に協力しています。(中略)中国はかつての、研究の「軍民共同」から現在の「軍民融合」へと関係を深化させています。つまり民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体であると云う宣言です。軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか。》 また、「千人計画」に関する読売新聞の連載記事(5月4日)でも、以下のように取材に回答している。 《学術会議は軍事研究につながるものは一切させないとしながら、民間技術を軍事技術に転用していく政策を明確に打ち出している中国と一緒に研究するのは学問の自由だと主張し、政府は干渉するなと言っている。日本の技術が中国の軍事技術に使われようとしても防ぐ手立てがないのが現状だ》 なお、この読売新聞の記事の論点は「日本では、千人計画への参加に関する規制はない」ということに対して警鐘を鳴らし、学術会議側に問題意識を持つように促す点にある。 学術会議そのものが千人計画に「参加している」と明言されているわけでも、何かしらの関係性を記しているわけでもないことに、留意が必要だ。 このブログの書き込みは多くのネット上の記事の「ソース」となっている。しかし、学術会議は先述の通りBuzzFeed Newsの取材に対し千人計画への関与は否定しているほか、「中国と一緒に研究するのは学問の自由」とする声明などを出した事実は公式的には存在しない、としている。