ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

33歳の夏

2010-08-06 12:06:37 | 時事(国内)
岐阜県にある電設資材メーカーの「未来工業」という会社の話である。

この会社、創立45周年を記念して、クイズに全問正解すると実質1年間の
休暇が取得できるという計画を発表した。

この会社、ほぼ5年ごとに会社負担で社員を海外旅行に招待している
そうだが、今回はエジプト旅行を来年2月に行い、クフ王のピラミッドを
2時間ほど借りクイズを出すとのこと。クイズは全50問で、同社の実行委員
6人がアイデアを出し作るそうだ。

そして、満点ならなんと180日間の特別休暇が支給され、通常休暇の185日間
と合わせ、実質1年間の休暇が取得できるという、通常ではありえない計画
である。

日本一休暇の多い会社などでも知られる同社は、残業もほとんどないことで
も時々、マスコミなどにも取り上げられている。

7年ほど前だったか、同社の創業者で現相談役の山田昭男氏が主催する経営
懇親会に参加したことがある。参加者は皆一様に中小企業の社長をはじめ
経営陣ばかりで通常なら私などが参加するのは筋違いも甚だしいというか、
そもそも参加出来るはずもないのだが、知り合いの会社の社長さんから
そこそこの食事も出るし、うちの会社の名刺を作って出てみたらと言われ、
つい、そこそこの食事という言葉に釣られて参加したのであった。

市内のホテルで行われたその内容は、山田氏の講演とその後の立食パーティー
での懇親会。確かに食事はフレンチのオードブルやデザートなどが並び立食
ながら豪勢であった。

始まるとすぐに懇親などそっちのけで食べに食べ、まさにひとりバイキング
を堪能していた。今考えると完全に浮き上がっていたようにも思えるが、
当時、勤めていた会社を辞めたばかりでお金も無く、このような機会でも
なければホテルでの食事などできないわけで、その時、ローストビーフと、
スモークサーモンを食べ過ぎて、後に気持ちが悪くなったのは致し方のない
ことだと思っている。

肝心の山田氏の講演内容は、しゃべり方が北野武にそっくりで、それが
あまりにも印象的で、今となってはその程度しか覚えていない。

懇親会では満腹の後、4~5人と名刺交換をしたのだが、話していると、どう
しても仕事の話になり、万が一、偽社員がバレると会社に迷惑がかかると
思い、早々話を打ち切るなどして時間を潰していた。
その時、山田氏のところへは何人もの人らが名刺交換を希望して列を成して
並んでいたのだが、ちょうど最後の人が終わるタイミングで出向いて名刺を
交換していただいた。

「御社の中途採用の年齢制限はいくつまでですか?」

名刺交換の後、最初に出た私の一言がこれであった。

シュチュエーションからすると、全く的外れな質問ではあったはずだが、
山田氏は一瞬「はぁ…?」というような顔をしたものの、「うちはね、優秀なら
50でも60でも採用するよ…」と、北野武口調で答えてくれた。

その時、あわよくば、未来工業へ就職を…と考えていたのかもしれない。

脱サラ後、先の見えない33歳の夏の出来事であった。




















コメント    この記事についてブログを書く
« ひと工夫 | トップ | あの頃は… »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿