東洋人の女性でなければ描けなかった自然と人間の混じり方に何度も息を呑む。
多分、中国とアメリカは見た目の違いがあるだけで、根本的な構造は一緒なんじゃないかと思う。
監督のクロエ・ジャオが描き出した世界は島国に住むわたくしにも沁み入る寂寥感と空虚を感じさせる。本当は荒寥の大地が広がり行き着く先を辿れない場所に生まれ育った人にしか理解できない感情なんだろうけど、ずっと海を見続けていると不意に陥る背中の冷たさにも通づる。
アメリカ大陸のノマドはアマゾンで働き、電気もガスも生活の一部としているけど、見つめる先に見えている世界は砂漠の民が移ろう人々の眼に映る不確かな明日しかない。