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祖母が交通事故で危篤状態が2週間ほど続いた小6の秋、親戚の叔母さん達が入れ替わりに御三どんに来てくれて、食事の世話をしてくれた。ある日の昼食、カレーの中に骨が入っていて驚いたことがある。肉の代わりに鯖の水煮缶が使われていたのだ。作ってくれた叔母の手前、吐き出すわけにもいかず無理して飲み込んだ
トラウマというほど大げさでは無いけど、鯖の缶詰は大人になるまで苦手な食べ物だった
ノスタルジーとは人によって、これ程までに違うものなのかとこの映画を観ながら思う
わたくしが小学生だったのは1972年の頃だから映画とは十数年の隔たりがあるし、海なんて一年に一度見られるかどうかの山国に住んでいたからイルカを見に行こうという発想そのものがなかった
貧しくてボロボロの家に住んでいた同級生はいたけど、お父さんもお母さんも事故で亡くなってしまったような悲劇は知らない
根本的に共感できるところの少ない世界観で生きていたので冷めた目線での鑑賞となる
映画の作り方も稚拙であることを指摘しておこう
多分、引き合いに出されるアメリカ映画「スタンドバイミー」が描いた少年達だけで遠出し、死体を見つけに行くといった後ろめたいドキドキ感がこの作品には欠如している。優れた作品は、知らない時代風土でも共有できる心の郷愁を描く(次元は違うが「フェリーニのアマルコルド」なんかを観てほしい)。いきなり傑作名作と比べては可哀想だけど、そんな作品を沢山観てきているから贔屓目にみても高得点は付けられないかな
ただし、いくつか胸打つシーンもあったことは確かで、その事は忘れないで書き残しておこう
主人公の少年が住む家が良かった。優等生っぽい弟、バンバン頭叩くお母ちゃん、金玉搔いて怒られるお父ちゃん
親友のお母さんの葬儀に喪服姿で参列するシーンだけは素の尾野真千子の美貌が浮いてしまって興醒めだが、家族を仕切る田舎のお母ちゃんの姿に懐かしさを感じた
お父ちゃんの描かれ方もあまり上手ではなかったけど、親友を見送った後に泣き噦る少年を抱きとめるシーンには涙が溢れた
海で会ったお姉さんにサザエのつぼ焼き食べさせてもらい、不良から守ってくれたお兄さんの軽トラの荷台に乗って自宅へ帰る道中、夕暮れの海が綺麗であのシーンは印象的な絵として残っている
お姉さんの胸元にのぼせた少年がファンだった斉藤由貴のポスターを剥がす描写は、少年時代を過ごした同志として甘酸っぱい感傷と応援したくなるこそばゆさで共感できたよ
草彅剛のナレーションが邪魔で居なくてもいいとずっと思っていたけど、最後の最後でかつての親友と再会する海辺の駅にサバカンを持って降り立つシーンは削除できないなぁと納得した
それにしも、随分遠くまで来てしまった
少年だったあの頃
友との別れ際「またね」とシツコイくらいに繰り返し言っていたっけ
明日もきっと会うのにね
歳を経た今こそ、大切な友には何度も言おうかな
またね
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