遠く離れた神戸の震災はどこか他人事で、関東に住むわたくしには報道の中でしか感じることはなかった。
それ故に記憶の風化も早く、最早歴史の中の一コマになってしまった。
引き換え東北三陸沖で起きたあの地震は9年経った今も鮮明な映像として記録されている。
映画作品としての出来は褒められない。
イーストウッドが硫黄島の激戦を両面の視点で描いたように、あの出来事も違う視点で観せてくれたら良いのにと思った。一つの作品に、現場で戦う作業員と東電本店の管理畑その上にある官邸が入り乱れると、どうしたって現場で放射能を浴びながら死を覚悟する男達に心は傾いてしまう。映画だから白黒敵味方の色分けをしないと成り立たないのかもしれないが、あの時誰も最悪の結末を忌避しようと努力していたはずだ。現場だけの英雄譚になっているのが安物のドラマを観ているようで残念だった。
一番の恐怖は格納容器が爆発しなかったことの明確な理由がわからないまま収束した事だ。原因がわかれば次に向けた対処もできようが、わからない事はそのまま続いてゆくことでもある。その恐怖をサラリと流してしまってはダメだ。
兎も角、正面から震災と原発事故を取り上げた心意気だけは褒めておこう。
25年も前から上演されていた舞台だとは知らなかった。
その頃既に「恋の季節」や「中の島ブルース」は懐メロだったし、ムード歌謡なんていうジャンルを知っている人は昭和四十年代にぎりぎり小学生だったわたくし世代以上の年配者だろう。
思えば日本の音楽シーンは多様性という意味で一番盛況だったかもしれない。ド演歌あり、アイドルポップスあり、ニューミュージックあり、ロックもフォークも小学生から老人まで口ずさめるような時代でもあった。
原作舞台の事は知らないので比べようがないけど、映画の脚本も原作者が書いているので殆ど同じ内容なのだろう。映画的に変更されているとすればヒロインの比重が高くなっていることだと思う。
ヒロインを能年玲奈(のん)が演じてなければ観なかった。大人の事情で封印され続けている才能を久しぶりに味わうことができた。まぁ業界(どこの世界も同じですが)の言い分といて、原石を見出し磨いて磨いてこれからお金に変えようとしたら逃げられちゃ、やってられないよ。っていうのもその通り。能年玲奈もあと少し我慢できれば役者としても得るものが多かっただろうし、何より表現者として活躍できたんだからちょっと勇み足だった。
温泉旅館のお座敷ステージで使いまわされたギャグと唯一のオリジナル曲を歌うオヤジコーラスグループに、歌手を夢見て挫折した女の子が加わることで映画は動き出す。能年玲奈演じるヒロインが’50Sっぽい衣装とメイクで可愛い。歌声も伸びやかな清涼感ある声で気持ちいい。そのまま単純なハッピーエンドでも良かったと思うが、少しひねった結末をもってきたのも笑えたから良しとしよう。
設定が東北の田舎町だったから、あまちゃんのアキがそのまま大人になったのかと思えるようなキャスティングも短絡的だけどツボに嵌まっている。これからももっと沢山の映画で女優能年玲奈を観てみたい。
その頃既に「恋の季節」や「中の島ブルース」は懐メロだったし、ムード歌謡なんていうジャンルを知っている人は昭和四十年代にぎりぎり小学生だったわたくし世代以上の年配者だろう。
思えば日本の音楽シーンは多様性という意味で一番盛況だったかもしれない。ド演歌あり、アイドルポップスあり、ニューミュージックあり、ロックもフォークも小学生から老人まで口ずさめるような時代でもあった。
原作舞台の事は知らないので比べようがないけど、映画の脚本も原作者が書いているので殆ど同じ内容なのだろう。映画的に変更されているとすればヒロインの比重が高くなっていることだと思う。
ヒロインを能年玲奈(のん)が演じてなければ観なかった。大人の事情で封印され続けている才能を久しぶりに味わうことができた。まぁ業界(どこの世界も同じですが)の言い分といて、原石を見出し磨いて磨いてこれからお金に変えようとしたら逃げられちゃ、やってられないよ。っていうのもその通り。能年玲奈もあと少し我慢できれば役者としても得るものが多かっただろうし、何より表現者として活躍できたんだからちょっと勇み足だった。
温泉旅館のお座敷ステージで使いまわされたギャグと唯一のオリジナル曲を歌うオヤジコーラスグループに、歌手を夢見て挫折した女の子が加わることで映画は動き出す。能年玲奈演じるヒロインが’50Sっぽい衣装とメイクで可愛い。歌声も伸びやかな清涼感ある声で気持ちいい。そのまま単純なハッピーエンドでも良かったと思うが、少しひねった結末をもってきたのも笑えたから良しとしよう。
設定が東北の田舎町だったから、あまちゃんのアキがそのまま大人になったのかと思えるようなキャスティングも短絡的だけどツボに嵌まっている。これからももっと沢山の映画で女優能年玲奈を観てみたい。
久し振りの三池崇史。
窪田正孝を俳優として意識したのはTVドラマ「アンナチュラル」くらいだけど、細身の身体にしっかり筋肉がついていてボクサー役が嘘臭くない。爬虫類系の顔立ちだから冷めた演技も似合っている。春からの朝ドラ主演がどのように評価されるか楽しみだ。
ヒロインの小西桜子も一生懸命さが伝わった。脇を固めた役者は安定的なパフォーマンス。大森南朋、染谷将太、滝藤賢一、塩見三省、ベンガル、皆当て書きのようにぴったりだ。内野聖陽は間違いなく楽しんでいる。振り切れた怪演を観せてくれたベッキーは、ゲス不倫以降演技者として成長している。
基本的にヤクザとかバイオレンス満載とか好んで観るわけじゃないから自然と避けてしまうし、出来不出来に波がある監督なのもご無沙汰の要因。
わたくしのように「十三人の刺客」と「悪の教典」くらいしか好きな作品がない者は置いといても、三池監督ファンからすれば久しぶりに胸のすくような思いができる出会いだったと思う。
単なる暴力的なアクション映画におさまらず、主人公のボクサーが他人のために生きてゆく姿を見せてゆくところなどは、立派な青春映画になっていた。
ずっと終盤まで、何故題名が「初恋」なのか腑に落ちない気がしたものの、ラストシーン遠景でとらえた二人が小さなアパートへ帰るショットに納得した。
守るべき者がいて生きる意味を見出し、守られていることを感じ生きるための意味を知る。二人の小さな出発をオジサンは応援する。
守るべき者がいて生きる意味を見出し、守られていることを感じ生きるための意味を知る。二人の小さな出発をオジサンは応援する。
窪田正孝を俳優として意識したのはTVドラマ「アンナチュラル」くらいだけど、細身の身体にしっかり筋肉がついていてボクサー役が嘘臭くない。爬虫類系の顔立ちだから冷めた演技も似合っている。春からの朝ドラ主演がどのように評価されるか楽しみだ。
ヒロインの小西桜子も一生懸命さが伝わった。脇を固めた役者は安定的なパフォーマンス。大森南朋、染谷将太、滝藤賢一、塩見三省、ベンガル、皆当て書きのようにぴったりだ。内野聖陽は間違いなく楽しんでいる。振り切れた怪演を観せてくれたベッキーは、ゲス不倫以降演技者として成長している。
病みやつれて人相の変わった親父を
今にも起き上がりそうにしてくれた納棺師に感謝
時勢のため家族だけで送ったけど賑やかな事が好きだったから
家族だけでもワイワイガヤガヤと騒々しく葬儀を済ませた
泣きながら笑い、我先に語ろうとする姿に天に昇るお喋りな親父も
きっと入りたかったに違いない