むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『夏のバスプール』畑野智美(集英社文庫)

2024年10月17日 | 読書
良い歳をして、たまに読みたくなる青春小説。
高校1年生が登場人物として、主に書かれているが、作者が女性のためか、男子の視点との違いが面白く感じました。
高校男子って、こんなに色恋沙汰に関心がないよ~と思いました。そこが、女子との違いですね。
女子が描く、理想の普通男子と言ったところでしょうか。
メインキャラクターの二人の男女は、どちらも美男美女なところも、マンガチックでよい感じでした。
小説としては、東日本大震災や、無意識のいじめなどを扱っている割に、軽すぎるストーリーになっていて微妙な評価です。軽い読み物を期待して手にしているので、それはそれでOKなのですが。
畑野さんの作品は、どれもほのぼのラブで読んでいてホッコリするのですが、この作品は、ちょっと退屈でした。この作者の本は、社会人を主人公にした作品を読むことにします。

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『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』会田誠 (幻冬舎文庫)

2024年10月14日 | 読書
現代アート作家である会田誠のエッセイ集。

写真機が登場してからというもの、絵画は上手いだけでは価値を見出しにくくなり、画家たちはあの手この手で、存在感を保つために必死になった。
奇抜なアイデアも出尽くした感がいくらあろうとも、現代アート作家は生活のために頑張らねばならない。一般庶民が眉をいくらしかめようと、一部の人が絶賛してくれればアートは売れるのだ。というのが本書と関係ない僕の現代アート作家の印象です。

会田誠も、そんな印象で、どんな突拍子もないことが書いてあるのだろうと思いましたが、読んでみると、常識と奇抜の間でうまくバランスをとっているセンスは、さすが天才作家と思えました。そうでなければ生き残っていけませんよね。

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『ツァラトゥストラ』ニーチェ (光文社古典新訳文庫)

2024年10月11日 | 読書
主観ですが、哲学者より、音楽家への影響が強いように感じられる『ツァラトゥストラはかく語りき』です。
内容は、ツァラトゥストラが、修行しながらいろいろな人に演説をし、章の最後に「ツァラトゥストラはこう言った」と締めるものとなっています。
演説の内容は、訳が分からないくらいぶっとんでいます。怒ったり、愛したり、絶望したり、喜んだりします。
ツァラトゥストラは、上等な人間たちを集めて説教します。上等な人間たち+ロバ1頭は、一癖も二癖もありそうな人たちで、社会的に脱落したような人たちです。社会の大部分の賤民たちとは違うのです。言ってみれば、ちょっと斜に構えた人たちということです。
全体的には反キリスト、反イエスで、ツァラトゥストラはイエスの逆の格好をしようとし、弟子から離れ一人になり修行しますが、結局、上等な人たちを集めて説教してしまうこところが悲しい。
おそらく、言いたいことは、「自分で考え、自分で選べ。神は死んだ、信じるな。俺を信じるな。自分の人生は自分で創造するんだ」ってもんなのかな、と読み取りました。
難解な書物ですが、難しく考えずに、ササっと読み飛ばすくらいで良いと思います。
そう、音楽を聴くようにね。

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『自分を鍛える』ジョン・トッド(三笠書房)

2024年10月08日 | 読書
200年前に書かれた「知的トレーニング」生活の方法、自己啓発本の元祖。
似たような本が大量に出回っていますが、これ1冊で十分です。
内容はシンプルかつ常識的な内容で、この通りに実践していれば、かならず人生の成功者たりえること間違いなしです。
時間を管理し有効に使い、よき習慣を身に付けることになります。
しかし、かなりストイックなので、全部の実践は、凡人には厳しいでしょう。
私は、半分くらいはできていたと思いますので、まあまあの生活をさせていただいております。
たまに、こういう本を読んで自分の生活を反省して、少しだけストイックに方向修正すると良い感じの人生になるかなぁと思います。

じじいとしては、学生諸君には、ぜひ、読んでもらって、よき人生を歩んでもらいたいと思うのです。

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『後悔病棟』垣谷美雨 (小学館文庫)

2024年10月06日 | 読書
主人公は、末期癌患者の病棟に努めるアラサー女医。
彼女は、余計なことを言ってしまって、患者やその家族に反感を持たれてしまう空気が読めない困った医者でした。
患者の胸に当てると心が読める聴診器を手に入れたことで、死期が近い患者の後悔の声が聞こえるようになります。
そして、患者の心の扉を開くことによって、後悔している選択を改めた人生を追体験できる能力を持つことになります。追体験と言っても、心の中での体験ですので、現状は変わらないのです。
さて、その後悔は、正しかったのか。もし、別の道を選んでいたら、ほんとうに後悔しているような人生になっていたのか、それは様々です。
しかし、それを知ることによって、吹っ切れた人生の幕を閉じることになるのでした。
人生の後悔とは、どうってことないことで、なるようにしかならないものです。後ろを振り返るのも大概にして、前を向いて進むが吉。


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『芸術的創造は脳のどこから産まれるか?』大黒達也 (光文社新書)

2024年09月28日 | 読書
ついに、ここまできたか、脳科学とAI(人工知能)と言った内容です。
人工知能に人間のような創造性を持たせるため、脳の機能を解析していき、体系化する研究が進められています。
記憶の組み合わせから、新しいアイデアが生まれてくるらしい。
その記憶には、潜在記憶と顕在記憶があり、その記憶の仕方は、パソコンファイルのような圧縮にあるのです。
記憶の圧縮とは、統計的に予測可能な記憶を一つのパターンとして記憶してしまうことを言います。例えば「ドレミドレミドレ〇」と音階が来たとして、〇に入ると予測されるのは「ミ」であり、「ドレミ」が一つの潜在記憶となります。
ここで「ドレミドレミドレソファミレ」となれば、ここで脳は緊張し、新しい記憶を作り出していきます。
その深度が深くなればなるほど、高次の潜在記憶となり、それが組み合わせられると、高度なピアニストのテクニックにつながっていくと言うのです。
この予測可能な記憶と、予測困難な現象の間が、創造性が生まれるところとなります。
創造性は、多くの高次の潜在記憶と、顕在記憶が揺らぎを示したときに発揮されるというのです。
面白い理論ではありますが、唯一無二の創造性は、作家の生い立ちからそれまでの多くの経験からなった記憶が元になっていますので、いくらコンピューターの記憶が人間の何億倍もあろうとも、再現できるのか疑問ではあります。
しかしながら、ありきたりな個性(矛盾した言葉ですが)や、創造性程度なら簡単に模倣される時代が来ています。

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『滔々と紅』志坂圭(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

2024年09月24日 | 読書
本のサナギ賞受賞作。
天保の大飢饉で、全滅寸前の村から、女衒(ぜげん)に買われ、吉原に連れてこられた9歳の少女が、遊郭で生き残り、花魁まで出世します。
しかし、いくら出世しても借金が増えるばかりのシステムが遊郭にはあるのです。
そこで生きている限り、最期は病魔に侵されるか、火事で焼け死ぬか、年老いて無一文同然で遊郭を出ていくか、悲惨な末路を辿ることになるのです。
大金を積んで見受けされるか、足抜け(脱走で重罪)するかの道しかないのでした。
主人公の駒乃が、じゃじゃ馬気質であることと、周りのドタバタ劇やユーモアのある演出、また、遊郭の厳格なルールの裏側などをコミカルの描いているので、テンポよく読めました。
江戸時代末期の今と比べると粗末な生活の中で、生きることに命を燃やすエネルギーを感じられる小説となっています。

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『輪廻の蛇』ロバート・A・ハインライン(グーテンベルク21)

2024年09月20日 | 読書
『夏への扉』や『宇宙の戦士』で有名なSFの巨匠ハインラインの短篇集です。
アメリカ文化が色濃く出ていて、O・ヘンリーをSF風、ファンタジー風にした雰囲気でした。

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『筒井順慶の悩める六月』中南元伸(文芸社)

2024年09月16日 | 読書
筒井順慶は、本能寺の変~山崎合戦における脇役というか補欠となってしまい、今一輝きが鈍い武将です。
織田信長を討った明智光秀と深いつながりがあり、信長の家臣でもある立場であるため、明智に味方をするか、信長の仇を打つか非常に悩めるところです。
せめて、謀反の前に相談してくれていれば……
と、慌てて悩む順慶をよそに、家臣は明智に味方せよという者も多く、迷いに迷います。
その姿を、関西弁の商人口調でしゃべる登場人物たちが、コミカルに描かれていました。
関ケ原の戦いで名を馳せる島左近も順慶の側近として活躍するので、有名どころが好きな人は、それも楽しめる要素になっています。
また、「元の木阿弥(もとのもくあみ)」の語源となった木阿弥も登場して笑わせてくれます。
戦国の世でも、戦をしないで生き残ることは、尊いことだと思いました。

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『どうせ死ぬんだから』和田秀樹

2024年09月14日 | 読書
老齢者医療の最前線で働いていた医師である著者(62、3歳くらい)が考えた老後の生き方です。
死に方は自分で決めた方が良い。延命治療が自宅療養か看取り施設か、その他いろいろです。
ある程度、しっかりしているうちに決めておかないとこんなはずじゃなかった最後が待っています。
よく医者が言っていますが、ガンの治療も善しあしで、副作用に苦しみながら延命するより、副作用無しで生きるだけ生きて、最後に短い間苦しんで死ぬ方が良いかもしれないということもあります。
数値にこだわり過ぎず、自分の基準を見つけて、その範囲で好きに生きた方が幸せと言うことです。

この何でも自分で決めるということが普通の人にはしんどいのですが、それができないとそれなりの状況の死が待っているということです。

死を恐れすぎず、今、やりたいことをして生きられるとベストなのでしょうが、それができない生き方もまた乙だと思うのです。
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