真冬にもどったような雪空の下、今日も、阿賀町のガソリンスタンドは、朝から夜まで長蛇の列でした。
スーパーでは、一人で4つのカゴにカップ焼きそばをいっぱいに詰め込んで「買い占めをしたところだ」と携帯電話で自慢気に話しているおじさんも居ましたが、ほとんどの人たちは、冷静にいつものとおりに買い物をしていました。
籠城戦に備えての食料備蓄もいいですが、それが正しい選択なのかは疑問です。
ちょっと前に、吉村昭の「漂流」という小説を紹介しましたが、その中に似たようなエピソードがありました。
無人島に流れ着いた漂流者たちが、アホウドリの干し肉を大量に作って、水も豊富にため込み、食っちゃ寝、食っちゃ寝の状態になり、こんな楽な暮らしはしたことがないなどと言っていると、やがて、原因不明の奇病に冒されて次々と死んでいくという状態に陥ります。(それをふせぐには、磯へ出て身体を動かし、貝や海草を食べることだということに気がつきます)カップ焼きそばを大量に買い込んだ部屋での籠城は、これと同じことではないでしょうか。どんな状況でも、自分で新しい食べ物を調達する努力をしないと人間の命は尽きてしまうのではないかと思うのです。