今年、3冊目の読了となる中村文則作品です。
少しエンターテインメント風に書かれている感があり、安い映画っぽい雰囲気がありました。純文学作品なので地味でよいのですが、中途半端な感じがします。
この作者の魅力は、人間のクズが持つ生命力の輝きにあると思っているので、それが出ていれば読む価値ありと思います。
掏摸(スリ)は、手品のように小説の中では、意外な落ちやトリックに使われることが多く、その使い方も見所の一つとなります。
読み手を引きつけようとする作者の努力が、安っぽさをみせてしまっていて、今一歩の感がありましたが、それだから楽しめる面も否定できません。
スリ小説が好きな人(そんな人いるかなと思うのですが、自分は好きなので)には、必読の一冊となります。