『流転の海 第八部』となります。
昭和20年に始まった物語も、ついに昭和38年から39年、東京オリンピックまで来ました。主人公も60代後半、70歳近くになり、事業もうまく回らず運に見放されていく感じです。
その中で、子供の成長や、周りの人に幸運が舞い降りてきているところが救いでしょう。
時代の川に沿って流れる挫折と別れの物語はまさに七転び八起きの人生そのものです。作者があとがきに書いていますが、その畔には、毒虫もいればスミレも咲いているだろう。どちらを見つけるかは、運ではなく意志であると。
流転の海で書きたかったことはそれなのだと気がついたと言うことです。
さて、次が最終巻『野の春』となりますが、主人公松坂熊吾が人生の終わりに見る物はなんなのか楽しみです。