戦争は、戦術・戦略・兵站と、なんと言っても金であろう。
軍資金が無ければ、兵器も弾薬も食料も燃料も補給できません。
特に物資を輸入に頼っている国では、外貨がなくなると戦争をすることができなくなります。
日露戦争当時の日本は、兵器、弾薬、燃料、そして米の不作による食料まで輸入に頼らざるを得ませんでした。
当時は金本位制でしたので、手持ちの金か、それと同等の価値があるポンドを持っていないと、円が暴落して戦争ができなっかったのです。
そのため、外国からポンドを借りまくらなければなりませんでした。
しかし、日露の国力の差は、正味三倍。誰も日本が勝てると思っておらず、金を貸してくれるところがありません。
貸してくれても高利で厳しい担保が要求されるのです。
ロシアも外国から金を借りまくりますが、金利の差は歴然で、資金面でも日本は不利な戦いを強いられました。
戦況は、日本の連戦連勝となったものの、ロシア軍に徹底的なダメージを与えられず、戦線は大陸の奥へいくに従い、戦費がかさみ日本に不利になっていきます。
そこへユダヤやアメリカの資本が高利で貸付を行いました。高利でも、借りられただけで、十分です。それを見た他の投資家も日本に融資する者もあらわれ、ロシアの国内情勢が不安定になると、その傾向が顕著になっていきます。
旅順陥落、奉天会戦、日本海海戦を経ても、まだ、日本の金利は、ロシアより高かったのですが、ロシアに金を貸す国もなくなっていきました。
日露戦争の講和は、日本もロシアも(借金が)ギリギリのところで結ばれたものだったのです。
そして、そこには、日本やロシアに金を貸している大国(イギリス、アメリカ、フランス、ドイツなど)の思惑があったことは言うまでもありません。
そして、満鉄の経営から他国を締め出してしまった日本は、欧米列強との対立を深めていくのです。
複雑な国際経済の中で、他国の資本を安全保障の鍵の一つとして考えてくことのたいせつさを学べました。
ウクライナにあれだけ西側が支援しているのは、かなりの資本が入っているのも理由のひとつでしょう。