むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『いじめとひきこもりの人類史』正高信夫(新潮新書)

2024年12月23日 | 読書
餌付けをされたニホンザルでは、個体同士の階級が出来、やがて血縁関係の階級へと発展し、餌を優先的に得られる個体とそうでない個体に別れることが観察されています。しかし、餌付けされていないニホンザルでは、そのようなことが観察されていません。人間に置き換えると狩猟生活の時代は獲物を狩れば平等に配布されるが、農耕時代になると平等ではなくなっていったようです。
集団生活からはじき出された人は、村の外へ生活の場を移していきました。日本では、共同生活をしている里と、はじき出された人が棲む山(山男、山姥)とが成立しますし、ヨーロッパでは、村と森(バンディット)にわかれます。
社会からはじき出された者は、職人・芸術家などとなり、生計を建てることになります。しかし、農耕が発展していくと、山や森などの住処が減っていき、のけ者にされたものの居場所がなくなってきました。行き場のなくなったものたちの場所は、部屋の中だけになってしまい引きこもりが誕生したと言うのが「人類史」の部分となります。
この本の問題点は、そのあとにあるのですが、引きこもりを治療するクスリがあると著者は主張し、その実験結果などを踏まえ、その効果をアピールします。そんなクスリがあるなら結構なことですが、なんとなく胡散臭く感じました。
読み終わって調べてみると、そのデータは著者により捏造されたもので、勤めていた京都大学に2022年1月25日、研究不正があったと認定され、懲戒解雇相当の処分にすると発表され、その後、雲隠れしているようです。
前半は面白かったのですが、後半、おかしなことになっていました。
こういうこともあるのですねぇ。



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