芥川賞作家、中村文則のセックスとバイオレンスのアクションエンターテインメント。昭和の時代の満員電車でサラリーマンが読んでいるスポーツ新聞やB級週刊誌に載っているような内容でした。
セックスやアクションシーンはエンターテインメント作家、量子力学と宗教のつながりはSF作家の方が扱いがうまいと思います。しかし、極限状態の人間の描写は、作者が最も得意とするところで、やはり抜きんでていました。
200ページ前後の作品が多い作者ですが、この本は約600ページあり、2/3はエンターテインメント性を高めるためにつけたした感じでした。中村文則のファンとしては、余計なことを描きすぎていて、返って物足りなさを感じる作品でした。
とは言え、作家の挑戦として見れば、今後の展開に期待が持てると思います。
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