フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

蜜柑を持つ少女

2012-01-21 15:52:30 | Weblog
みかんを持つ少女

旅人が 冬の山道を登っていた 雪の道だ 空は曇っていたが
雪はやんでいた
吐く息は白く はやかった 背中の荷物は重く
足取りも重かった 旅人は疲れ果てていた
のどが渇いたなと思って 遠くを見つめたとき 足を踏み外して
崖から落ちて雪に埋もれた
雪の中で旅人は一人の少女と出会った 少女はみかんを持っていた

「これをどうぞ」と小さなみかんを旅人にくれた みかんを一房口に入れると
甘酸っぱい潤いともにみかんの香りが雪の中に広がって少女が消えた
旅人は気がついて 自分がしばらく気を失っていたのだと知った
でも周りにはみかんの香りが漂っていた 辺りを見回したが真っ白い雪のなか
体は雪の重さで動かなかった。叫ぼうとしたが声は出なかった
そのとき「おい、みかんの匂いがするぞ。やや、ここに人が埋もれているぞ」と
村人の声が聞こえた。「助かった」とつぶやいて 旅人が手を握り締めた時
その右手に小さなみかんを握っていた。

オーマイダーリン オーマイダーリン オーマイダーリン クレメンタイン
小さなみかんのことをフランス語でクレマンテーヌと言う
英語読みならクレメンタインだということを今はじめて知った。そしたら蜜柑についての
何かを書いてみたくなった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする