みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

青空のかけら・秋麗・フェルメール・銀の雲

2005年10月13日 | 俳句・短歌
木々の間の青空のかけら見上げれば夏のきらめきさらさら落ちる
(三鷹 川村友香)

秋麗の信濃や尾根を行く二人
(小平 坂田晃一)

フェルメールの町と思えば尖塔の上なる雲の銀のかそけさ
(佐々木幸綱)

春凪の波よりまだしづかなる言葉なりしがなほ聞こえつつ
(吉川英治)

先丸きえんぴつに生(あ)るる旋律の種が五線紙の大地に弾めり
(札幌市 はづきしおり)

鉛筆を削る先から香りくる未だ書かれぬ未来の匂い
(立川市 酒井景二郎)

書いて消し消して又書く鉛筆の身を削ぎて書く友への弔事
(桑名市 伊藤石英)

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「木々~」の歌、「青空のかけら」が、いい表現。「きらめきさらさら」も。
「秀麗」の句、山があるだけで、ポイントが高くなる(笑)。澄んだ空気の気持ちいい秋山が感じられる。
「フェルメール」の歌、デルフト眺望の絵からの作歌とか。
「春凪」の歌、文豪、吉川英治の十何歳年下の未来の妻への恋歌だそうな。
「先丸き」の歌、ピアノに向って作曲しているのでしょうか。音符を種と見るところが面白い。
「鉛筆を削る」の歌、鉛筆の匂いは、そう言えば、なかなかに良い匂いだった。
「書いて消し」の歌、この日の一席となった歌。感慨深い。「~又書く」までは序詞(じょことば)だそうな。

(10月上旬、日経の歌壇、俳壇、NHK短歌から)

コメント (2)
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