やくみ、漢字だと薬味、その意味は「①調合薬の各成分。薬剤の種類。薬種。②食物に添えてその風味を増し、食欲をそそるための野菜や香辛料。七味唐辛子・わさび・生姜・ネギの類」と広辞苑は載せている。日々の生活で薬味といえば後者の方で、その種類はほかにもある。欧米文化では緑葉のものをハーブといい、香辛料をスパイスという。
そんな薬味の一つとして、夏の間だけプランターで青紫蘇を育てる。育てるが紫蘇になる前の若葉を申し訳ないが大葉としていただく。スーパーに行けばいつでも買えるが、薬味にするには採りたてがいいということで長年続けている。いつだったかエッセイ仲間の一人が「虫さん主人に少し残しておいて」大葉を食い尽くす虫への呼びかけた作品があった。
確かに虫は着きやすい。柔らかく瑞々しいことに惹かれ人は食べる、虫たちが好むのはよく分かる。だからといって殺虫剤は使用したくない。虫への対応方法は一つ、虫を捕るしかない。私はいろいろ試したが、古い割りばしを使うと捕りやすく、プランターに差し置いている。ところが、今夏は虫の被害が少なく、割りばしの出番が少なかった。
そんなお陰で、あれにもこれにも青葉を添えていただいた。これが食欲を衰えさせずこの夏の暑さを乗り切れた一つかもしれない。そんなことを思いながらお役目を終えさせた。引き抜こうとしたがその抵抗はそうとうなもので、抜き終わってその根の張り具合から抵抗を納得した。納得しながら、異常に暑かった今夏を乗り切れたことへ感謝した。