
よく利用する駐車場、前進発車できるようバックで車庫入れ。最近はこんな操作でも高齢者だからミスった、と思われないように気を遣う。ミスやトラブル防止に役立てばそれは我が身のためと思えるようになった。サイドを引き正面を見たとき、駐車場の境界に張られた金網の向こうから何かが見ている気配。
それは岩国名産の蓮根畑から同じくらいの大きさ2枚の葉。1枚は緑で生きていることが分る。もう1枚は葉の半分が黄で残りは茶、生きている様には見えないが茎は生きている。何を競ってこれほどの対比になったのか、金網の向こうで物言わぬ葉からは聞きだせない。この蓮田は収穫は未だ始まっていない。見回すと変色した葉は目の前の1枚だけ。
塀の中とか塀の内とかという。これは塀に囲まれた場所で、普通の会話では監獄や刑務所を意味する使い方。一般住民の生活する環境とは違う。しかし蓮根田は囲まれてはいるが金網、塀とは違い風も音も伝わり青空も見える。蓮根は娑婆と違わない環境に育っているのに、これほどの違いになるとは、ひしめき合う土の中は見えないが人の世と大差ないのかもしれない。
その日、陶芸で岩国レンコンを作った仲間がいた。周囲の穴が8個になっていたので、岩国レンコンは9個と話すと穴ひとつ追加、美味そうな岩国レンコンが完成した。2枚の葉を見ていなかったら気づかなかったかもしれない穴の数、そんな自問してから2週間、あの葉はどうなっただろう。