全国の公立図書館が「指定管理者」という荒波にもまれているなか、堺市の図書館は、頑張って、導入していない。
図書館を充実させる運動が長いと見受けられる。
蔵書も130万冊とか。
そこに、この夏、「特定図書を排除せよ」とのプレッシャーがかかった。
市は調査し回答した。
堺市の公式Webページにその「声」と「市の回答」が掲載されている。
「市民の声 Q&A」
(声) 「・・書庫のBLも処分するとのこと・・書庫にスペースも有効に使っていただきたいです。すみやかにBLを換金し、他の有益な図書の購入費に当てるよう、強く強く要望いたします。」
(市) 「・・閲覧室に展示していた状況がありましたので、すみやかに書庫入れにいたしました。・・今後は、収集および保存、青少年への提供を行わないことといたします。・・」
前にも同じようなことがあった。
2006年8月20日ブログ ⇒ ◆福井のジェンダー図書排除事件
ちょうど明日22日(月)は、このことに関しての福井の男女共同参画審議会の会議録(音声記録)の情報公開の控訴審の判決が名古屋高裁金沢支部で言い渡される。
ともかく、堺市のことについて、インターネットでも結構話題になっている。
インターネットでみた情報、意見などは、
そのような本が図書館にあることの否定や肯定、
数が多い、少ない、
何かであるに関係なく、外圧でどうこうしたことの問題・・・
など各種各様。
それらインターネットの意見表明のうち、「この事件を考える」という観点で、しっかりした幾つかを勝手に転載させて頂いて、私なりに、この問題の外郭をとらえておきたい。
もちろん、もっと話題が広がっていく事件だから、また、情報を紹介することになろう。
(追記) ◆堺市図書排除問題で住民監査請求/上野千鶴子「日本中、どこで同じようなことがあっても、闘うだろう」
(追記) ◆堺市の図書排除問題/第二次申し入れの賛同人の募集・明日まで/その他の各種情報
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ここのところ6位、7位あたり
焚書 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 から
「 ・・焚書(ふんしょ)とは、書物を焼き払う行為である。
特定の知識以外を焼き払う場合や、特定の思想・学問を焼き払う場合がある。歴史上では、中国の始皇帝による行為や、ナチス・ドイツにおける行為(bibliocaust)が知られる。・・」
●図書館から不健全図書(BL等)を排除しよう! 2チャンネル
全国の図書館で公費を使った不健全図書の購入・所蔵事例が増加しています!
このような性行為を描写した図書が子供に与える影響は言うまでもありません。
堺市の各図書館では所蔵冊数5,499冊、金額にして3,668,883円と常軌を逸しています!
この図書館からはBL図書の排除に成功しました!
みなさんの地元の図書館からも不健全図書(BL等)を排除しましょう! |
なお、これよりもっと前に、次のようなやりとりがある。
● フェミナチを監視する掲示板
「 公権力を濫用し、『男女共同参画』の名を借りて文化破壊、家族否定の『ジェンダーフリー』政策を推し進めるフェミ・ファシズムを告発し、国民の注意を喚起するBBSです。」
・・・・
○2008/07/31 ・・・・・昨日、私の市の図書館にその後の経過がどのようになったかを確認しました。とりあえずはすでにBLの8割方を書庫へ・・・近いうちにすべてのBLが書庫へ収納されることになりました。この副館長、なかなか誠実で信頼できそうな人物で、とりあえずは最低限のことを迅速にしてくれました。 ・・・・・そして本日、市会議員さんからも、結果について連絡がありました。やはり「市内の全図書館においてBLを書庫へ収納する」とのことです。・・・
○2008/08/02・・・・・・・・お住まいの行政・自治体における「共同参画」施策全般等にもどんどんチェックを入れられるのがよろしいかと存じます。
○2008/08/12 ・・・・・・・府下の図書館視察の後、堺市の中央図書館にももう一度電話して置きました。そして書庫のBLに関しても「処分する」との約束をさせておきました。
○2008/08/14 ・・・これでも氷山の一角、破壊された日本女性作家達のおぞましき現状です。・・・まさに通常の青少年有害図書を遥かに越える破壊力で、日本女性の精神破壊が行われています。このような有害図書を読んだ女性が果たして真っ当な恋愛、家族形成、子育てができるでしょうか? 本当に由々しき事態です。あっという間に物凄い勢いで広まっています。
○2008/08/17 ・・・今後は公立学校の図書室についても追及していきます。これは「情報公開センター」へ言ってみます。ネットで見る限り学校の図書室のほうがむしろ蔓延しているように思えます。・・
○2008/08/18 ・・・ 図書館員や、私が相談した某市会議員との対話の中で、BL大量購入の意図が見え隠れしています。一つ目の理由は「男女平等(共同参画))であるらしいのです。「女性も男性と同じように楽しむべきだ」とでもいうのでしょうか?・・
○2008/09/03(Wed) 23:12:37・・まだ、戦いは序盤戦をやっと終えたというところで、まだまだこれからが本番です・・
○2008/09/06(Sat) 18:40:39 >堺市にBL本が多いのは~
まあ、こういうアホな市ですから。↓
堺市は、全国初の男女共同参画宣言都市です
・・・・・・ |
●堺市のホームページに「BL本の購入数教えて!」の市民の声
ライブドア・ニュース 2008年09月10日14時00分
大阪府堺市のホームページに面白い「市民の声」と題された“Q&A”が掲載されている。
その市民の声のQ&Aとは、以下の様なものだ。
・・(略)・・
という、図書館におかれているボーイズラブ(男性同性愛)の本に対する声だ。
要望は、子供に有害ではないのか? 同じ場所に置かないで欲しいと、いった内容で“Q&A”で取り上げてられいる。また、こうした書籍を何冊購入したのか、購入にかかった費用も教えて欲しいと書かれている。
市では、これらの質問に対し、
・・(略)・・
と回答しているのだが、膨大なボーイズラブ図書の購入費である。
図書館は、幅広い本を用意しておく必要があるので、ボーイズラブのような本も収蔵しなければならないわけだが、利用者の中には嫌悪感を抱く人もいるだろう。
図書館では、青少年が多く訪れる期間(長期休み)の間のみ別の場所へ移動するなどの配慮をするようだ。
アダルト誌も国立図書館で閲覧、検索ができるため、今回のボーイズラブ本に対する要望と対応のやりとりが起きてしまうのは仕方無いのだろうか。
●一個人の価値観が公共の利益を決める歪な社会
Weep for me - ボクノタメニ泣イテクレ から転載
この問答の気持ち悪さは、市民と図書館の見解の無言の一致にある。
・「市民の声」Q&A 広報・広聴
市民の声を読むと、「破廉恥」「非常識」「セクハラまがい」「堺市の恥」といった個人の価値観が繰り返し強調されている。これらの個人的感想とBLの価値との間に意味のある相関関係はない。にもかかわらず「すみやかにBLを換金し、他の有益な図書の購入費に当てるよう、強く強く要望いたします」とまで書く人の良識をぼくは疑わずにいられない。「他の有益な図書」とは何か。それは実質的に「他の(私にとって)有益な図書」という意味しか持ち得ない。恐ろしく自己中心的な主張である。「難解な学術書なんて無意味だから換金して実用的なエロ本買え」というのと変わらない。
あえて指摘するまでもないだろうけれど、図書そのものに絶対的な価値なんかない。それは閲覧者各人が感得するものだ。その点ではBLだろうが、ポルノだろうが、古典だろうが、純文学だろうが、哲学だろうが、技術書だろうが、図版だろうが、事典だろうが、エンターテイメントだろうが変わらない。くだらないといえばすべてくだらないし、意味があるといえばすべてに意味がある。より正確には、すべてが有益無益どちらの可能性も持っている。一時代の一個人が決められるものではない。少なくとも図書を扱ういい大人であれば、そのくらいのことは承知していてしかるべきだろう。
ところがリンク先においては、「破廉恥な表紙のBLは有益ではない」という点で一市民の声と図書館の声が一致しているように見えてしまう。そうは書いていないのだけれど、そういう印象を与える可能性は高い。これは問題だろう。「今後は、収集および保存、青少年への提供を行わない」という決定が問題なのではない。恣意的な決定方法が問題なのである。図書館の蔵書量や運営費が有限である限り、取捨選択が必要になるのは自明だ。私立図書館であれば「私」の一存で収集方針を決めればいい。けれども、公共の図書館が特定の価値観を追認するような態度を取るのはイタダケナイ。
一市民の見解に反応してBLを排除することは、「情報社会において自律性や自主性をもって図書や情報を選択できるように、読書の環境づくりを推し進める責任を負うものと認識しております」という市の考え方に反している。少なくともBLを選択できないように環境づくりを推し進めている。公共の益は公共が決める。だから、市民の合意、或いは、市の意志として公共の利益を最大化するためBLを捨てるというのなら解る。もし、件の「市民の声」をきっかけに公共の利益を問い直した結果だというなら、その見解を詳らかにすべきだ。BLの排除の根拠となる有益性の基準とはどんなものか。
それができないなら、ただ批判の声に阿ったと取られても仕方がない。
● ■堺市図書館BL本についてのブコメが酷すぎる
増田の杜 から転載
最初に断っておきます。
俺は男で、かつ今までBLには全く興味が無かったのでBL本ってのを読んだことはない。
検索して調べたところBL本ってのは
・男同士の絡み(18禁に近い描写)をメインにした恋愛小説
という認識でいますが、これが間違っているあるいは他にこういった点を目的にして描かれている、
といった意見があればご指摘願います。
・・・・(以下、いろんな意見が掲載されている)
● ■[雑文]ボーイズラブはセクハラなのか? 00:10
2008-09-10 一本足の蛸 から転載
堺市立図書館に対する「市民の声」が面白い
・・(略)・・
とりあえず冒頭の段落だけ引用した。
次の段落では「市民の血税」云々というお馴染みの話題が書かれているので、興味のある方はリンク先を通読していただきたい。
さて、ボーイズラブである。
・・(略)・・
上の文中では「セクハラ以外のなにものでもなく」と強い語調で非難されているが、果たしてそうなのか? もしそうだとすれば、いったい誰に対するセクハラなのか? 相手は男性なのか、女性なのか? 大人なのか、子供なのか? 同性愛的傾向のある人なのか、そのような傾向の乏しい人なのか? 筆者がどのように考えているのか、この文面だけからではよくわからない*1。
また、ボーイズラブがセクハラだとして、何らかの対応が必要だとすれば、書庫に仕舞い込むという方法が最善なのかどうか、ということも疑問に感じた。ふつう公立図書館には18禁コーナーはないが、そのようなコーナーを設けてはならないというきまりごとがあるのだろうか? もしゾーニングで何とかなるのなら、ボーイズラブに性的不快感を抱く人の目に触れないように隔離するだけで足りるのではないか? それとも、図書館利用者一般から遠ざけるのでなければならない特段の理由があるのだろうか?
いろいろ考えてみたが、どうもうまく考えがまとまらない。はてなブックマーク - BL図書を購入した趣旨や目的、またこれまでに購入した冊数及び購入費を教えてください:「市民の声」Q&A 広報・広聴 - 堺市を見れば何か考えるヒントが見つかるかと思ったが、まだ発展途上中のようで、見るべき意見は特になかった。
そうこうするうちに日付が変わってしまったので、今回はとりあえずこれでおしまい。何か新展開があれば、また取り上げてみることにしよう。
● ■[図書館][戯言] もう4,000冊くらいBL小説があっても良かったのかもしれない?? 22 かたつむりは電子図書館の夢をみるか 2008-09-11 から転載
堺市立図書館のBL本の所蔵に対する市民からの問題視する意見と、それに対する堺市の回答が話題になっていますな。
・・(略)・・
ただ今回の堺市立図書館の件でひとつ面白いのは、堺市側がBL本の冊数と具体的な購入金額を提示したことではないかとか。
なお、お尋ねの購入冊数と購入金額の現時点での調査結果は、所蔵冊数5,499冊、金額3,668,883円です。
「市民の声」Q&A 広報・広聴
5,499冊!
そう聞くと「それは多いなあ・・・」って気がしてくる不思議。
5,499冊のBL本の表紙がずらっと並んでいる光景を見たら、思わず"challenge"したくなる気持ちもわからないでもない。
そうなってくると、むしろ図書館関係者としてはBL本があることよりは一部のジャンルに選書が偏っているんじゃないかという方が気になってくるわけで・・・5,499冊って、リクエストやなんかをただ受け付けてるだけで入る冊数でもなさそうだし・・・やっぱり図書館員の趣味なのか??
しかしそこで「この中に腐女子がいます!」と決めつけるのもまた時期尚早。
平成18年度の堺市立図書館の統計によれば*1、平成18年度段階での堺市立図書館全体の一般書の所蔵数は1,302,918冊。
市立図書館で130万冊超えってそうとうでかい図書館なわけだが、その全体における5,499冊・・・と聞くと、なんか多いんだか少ないんだかよくわからなくなってくるわけで。
資料全体の0.4%??
そんくらいならあってもおかしくないのか??
でもそもそも日本全体の出版された図書に占めるBLの割合がわからないことにはなんとも・・・
ってことで、例の如く調べてみることに。
・・(略)・・
これによると2007年に出版されたBL本(小説限定)の冊数は593冊。
対する日本の2007年の書籍出版点数全体については、新刊点数の推移 (書籍):【 FAXDM、FAX送信の日本著者販促センター 】に掲載されている「出版指標年報」の数字によれば77,417冊。
実際にはAmazonの数字には漏れがあるかもしれないとかそういうことはとりあえず目をつぶるとして、単純に2007年のBL小説出版数を出版全点数で割れば・・・
593 / 77417 * 100 ≒ 0.77%
・・・0.77%??
堺市立図書館の所蔵資料におけるBL率より高いじゃないか。
仮に堺市立図書館が一切の選別を行わず、単に国内の出版物を資料規模に合わせてランダムに収集していった場合、所蔵資料数に見合っただけのBL小説の冊数は
593 / 77417 * 1302918 ≒ 9980冊
9980冊!
なんだ、堺市立図書館もう4000冊くらいBL小説持ってても別に問題なかったんじゃね?
・・・まあ実際には堺市立図書館は戦前から存在するのに対してBL小説はせいぜい出始めて20-30年くらいだろとか、しかも出始めてから今の出版規模になるまでにもけっこう時間あるだろとか、逆に堺市立だってそれなりに古い資料は除籍してて今の冊数になっているんだろうからコレクション全体の年齢とかも見てみないことには詳しいことはなんもわからないぞ、というのもあるわけですが(苦笑)
今回は複本購入も考慮してないしね*2。
ただ、とりあえずあえて図書館員が恣意的に選書をしなくとも、と言うか「恣意的にBL本を避けるという選書をしなければ」、5,499冊のBL本所蔵と言う状況も蔵書規模に比してみるとありえない数字ではないということは言えそうかも。
・・・っていうかBL本市場がでかいんだよ・・・(汗)
考えてみればAmazonやbk1に単独でジャンルとして存在する程度の規模があるんだもんな・・・bk1なんて「マンガ」や「歴史・地理・民俗」とかと同じレベルのジャンル分けとして「ボーイズラブ」があるわけだし(爆)
「あえて避ける」選択をしなければ図書館にある程度のBLコーナーが出来るのは至極当然なのかもな、とかなんとか。
10万冊本があれば770冊はBL小説(コミック除く)。
それが今の日本の書籍事情なのですよー*3。
●図書館戦争 有川 浩 図書館、推参。 『空の中』『海の底』の有川浩の最新作!
──公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。
超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館! 狩られる本を、明日を守れ!
敵は合法国家機関。
相手にとって、不足なし。正義の味方、図書館を駆ける!
図書館戦争、近日開戦!!
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