●静岡県知事を読み解く視点~各陣営のマニフェストをよむ
janjan 早稲田大学マニフェスト研究所 2009/07/03
・・・・・
■静岡知事選挙情報 候補者(届け出順)
▽海野徹(うんのとおる)60 無所属 新 元参議院議員
▽川勝平太(かわかつへいた)60 無所属 新(民主、社民、国民新推薦) 元大学学長
▽平野定義(ひらのさだよし)59 共産 新 党県常任委員
▽坂本由紀子(さかもとゆきこ)60 無所属 新(自民、公明推薦) 元参議院議員
(左から)海野徹、川勝平太、平野定義、坂本由紀子の4氏
マニフェスト型の選挙が定着しつつある中、すべての候補者がマニフェストやそれに近い政策集を発表している。まず、各候補者の位置づけを、政策の方向性から検討していくこととするが、その前に、マニフェストについて簡単に説明しておきたい。
マニフェストの教科書的な定義は、「数値、期限、財源、工程表を明示した選挙公約」である。これまでの曖昧な選挙公約とは違い、当選後に何をするかが明示されているので、候補者の違いが分かりやすくなっている。また、最近の世論調査をみると、投票するにあたり、マニフェストやそこに掲げた政策を重視する有権者が増えている。
マニフェストには、様々な政策が盛り込まれるため、すべてを読みこみ、理解することは困難である。そこで、重要になるのは、マニフェストのキャッチフレーズや重要施策ということになる。以下、そのような観点から静岡県知事選挙におけるマニフェストの位置づけをみていくことにしたい。
――「政策の顔」でもあるキャッチフレーズは、わかりやすいか。
4氏のキャッチフレーズは、以下の通りである。海野候補と川勝候補は、県民とともに新しい静岡県をつくっていくという一般的なメッセージを出しているのに対し、平野候補と坂本候補は、新しい静岡県像のメッセージを出している点が特徴である。
次に、上記で述べた新しい静岡県をつくるために実行する政策の柱は何なのか、それは他の候補者とどのように差別化されているのかという点をみていきたい。この点からすると、4人とも共通している項目が行政改革に関する政策である。4人ともに今の県政から舵をきる必要性をあげているが、海野候補、川勝候補と坂本候補が制度的改革に重きを置いているのに対し、平野候補は、具体的方向性を打ち出している点が特徴である。
■海野徹氏
キャッチフレーズ:「私たちで静岡県をつくる。たくさんの方からのご意見、現場で見つけた静岡を元気にするヒント、皆さんと一緒になって静岡を考え、作り上げたマニフェストです。」
政策の柱:
1 県民主義・脱官僚 県民の力を集めて、やり抜きます
2 経営改革 財政危機を打開する改革を、やり抜きます
3 人づくり 未来を担う人材作りを、やり抜きます
■川勝平太氏
キャッチフレーズ:「静岡に“日本の理想”を創ろう」
政策の柱:
1 平太の『行政改革』~平太がムダ遣いをなくして効率的な県政に変えます~
2 平太の『教育改革』~平太が静岡の“宝(人材)”を育てます~
3 平太の『食と農の改革』~平太が静岡の“風土”を再生する~
■平野定義氏
キャッチフレーズ:「国の悪政とキッパリ対決、大企業にしっかりモノをいい 雇用、くらし、福祉を守る県政を」
政策の柱:
1 国いいなりから、悪政と対決し、大企業にしっかりモノを言う県政へ
2大型事業のムダづかいから──全国6位の財政力を、県民のくらし、福祉にいかす県政へ
3 東海地震、浜岡原発、米軍・自衛隊基地の不安にこたえ、県民の命と安全を守る県政へ
■坂本由紀子氏
キャッチフレーズ:「皆さまのご家庭で、今一番大切なものは何ですか?静岡県で、今いちばん大切なものは何ですか? しあわせしずおか県民党!」
政策の柱:
1 「未来を担う人づくり、しずおか」
2 「支えあう社会づくり、しずおか」
3 「勢いのある産業づくり、しずおか」
4 「安心・安全な社会基盤づくり、しずおか」
5 「無駄ゼロの行政、しずおか」
――各政策について。静岡空港問題をどうとらえ、それを改善していく方法は?
次に、各政策分野についてみていくことにするが、石川前知事が辞職する要因となった、静岡空港問題を各候補者はどのようにとらえているのだろうか。
空港利用の積極的な方策を打ち出しているのが、海野候補、川勝候補、坂本候補である。観光産業とのリンクやアクセス網の整備などにより、地域を活性化する方針を出している。これに対して、否定的な立場をとっているのは、平野候補となっている。前知事の辞職にまでつながった問題ではあるが、各候補ともあまり重きは置いていないようである。
■海野徹氏
・空港利活用策として、格安航空の誘致、航空機産業などの知的産業の集積、困難な東海道新幹線空港直下駅の新設案を転換した在来線と接続する「空港アクセス鉄道」を検討
■川勝平太氏
富士山静岡空港を積極的に活用しよう
・知事のトップセールスによって、日本の表玄関としての富士山静岡空港の利用率を高めます。
・ 富士山静岡空港を活用して、日本初のエネルギーを含めた最先端分野の国際会議等種々のコンベンションを誘致します。
・ 現行の片務的な搭乗率保証制度については、そのあり方を平成21 年度以内に見直します。
■平野定義氏
・搭乗率保証など、静岡空港へのさらなる税金投入は中止。
※飛行機が満席になっても、年5億円の税金投入が予定されています。
■坂本由紀子氏
富士山静岡空港を活用し、観光の振興と地域産業の一層の活性化を図ります
・魅力ある観光地づくりの取組みを支援します。
・おもてなし日本一をめざして、人材の育成、モデル事業を推進します。
・富士山静岡空港を利用した商品開発、就航先での観光キャンペーン、商談会、外国人観光客の受入れ態勢の整備を推進します。
(・・・リンク先に詳報・解説あり) |