●年賀状も上手に“断捨離” やりとり辞退の注意点は?
東京 2018年12月14日
そろそろ、年賀状の準備を始める時期。ただ、高齢や体調不調などで年賀状が負担になってきて、枚数を減らしたり、やりとりをやめたりしたいという人もいるだろう。そんなときは、どんな点に注意したら角が立たないだろうか。
静岡県の男性(71)は、七十歳を迎えた昨年、年賀状を半分に減らした。毎年、百十枚ほどを書いてきたが、相手の四割ほどは、もう何年も会ったり電話で話したりすることがなくなり、年賀状だけの付き合いになっていた。一昨年の暮れ、新年の年賀状に「誠に勝手ながら、次年より賀状の交換は遠慮させていただきます」と、したためて送った。
以前は、二日かけて住所録を確認し、文面やデザインを考え、自宅のプリンターで印刷。親しい友人や親戚に加えて、会社勤めのときの同僚や上司、関係先の人らに出していた。「仕事の関係で一度会って名刺交換しただけの人や、退職後は疎遠になっていた人もいた」と振り返る。
一年前は、数十年ぶりに年賀状に追われない年末年始を過ごした。辞退を伝えた人たちから送られてきたのは一枚だけ。「年末はただでさえ用事が多くて慌ただしいが、年賀状を整理したおかげで、以前よりもだいぶゆっくり過ごせた」。付き合いが続いている友人や親戚に宛てた年賀状は、ゆとりができた分、気持ちを込めて書くことができ、「大切にしたい人や物事がはっきりした」と実感している。
葬儀や終活に関する情報配信などを手掛ける「鎌倉新書」(東京)が二〇一七年に実施した調査によると、六十五歳以上の約二百人のうち、57%が「今後は年賀状を出さない」と伝える年賀状を受け取ったことがあるとした。一方、自分も年賀状の辞退を伝えることに興味があるとした人は65%。理由には「付き合いの範囲を、身近なところにとどめておきたくなった」「年末は多忙で負担が大きい」「年賀状を出す友人知人が少なくなってきた」などが挙げられた。
年賀状をやめる際には、どうしたらよいか、本紙生活面で隔週水曜日に「手紙・メール 伝える工夫」を連載している東京都の手紙文化研究家、中川越さん(64)に聞いてみた。まずは、どんな文面にするとよいだろうか。中川さんは「これまで通りに新年のあいさつ文を書きます。その上で、次の年から年賀状のやりとりを辞退することと、これまでの感謝や相手を気遣う文章を添えるといいでしょう」とアドバイスする。 |