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てらまち・ねっと



 年明け早々の中日新聞の記事に★≪全国の市町村の地方創生計画の7割が外注 交付金21億円が東京に還流≫(1月3日)というのがあった。
 とても分かりやすい見出しだし、記事の中身もそうだった。
 
 どういう事業かというと前記中日★≪ <地方創生政策> 地方消滅が危惧される中、自律的な地域社会を築くため、第2次安倍政権が始めた。地方創生関係の交付金のうち、国が事業費の半分を補助する「地方創生推進交付金」は、16~18年度に1347自治体が活用し、1392億円分の事業が採択されている。≫

 それで、もとになった「地方自治総合研究所」が全国の市町村に送付して調べたアンケートの結果を見てみた。
 次の3つが挙げられている。

 〇 総合戦略策定費相当分として予算措置された額の多くが東京都に「一極集中」する格好となった。
 〇 策定過程における都道府県の関わりについては、都道府県ごとに対応の違いが見られた。
 〇 市町村担当者は、地方創生政策の成果については概ね肯定的に受け止めているものの、それに伴う事務量については強い負担感を抱いている。

 結びは次。
 ≪「権限」「財源」「人間」の「三ゲン」が地方分権の三要素と言われて久しいが、地方分権改革の結果として国から地方に移されたのは「事務」とそれを遂行する「責任」ばかりで、「権限」を裏付ける「財源」の移譲は進まずむしろ切り詰められ、結果として将来的な見通しの立たないままでの財政運営を強いられている。・・・ある意味で、地方創生政策はそうした現状を象徴している。≫

 端的な整理で納得。 面白いのは
≪皮肉なのは、外部委託した市町村よりも外部委託をしなかった市町村の方が策定した総合戦略の内容について肯定的な評価をしていることである。≫

 次の日の中日の追い記事の次も記録。
●膨大事務 国から地方に 市町村の96%「負担ある」 各市町村の地方版総合戦略  調査、照会…期限に追われ/中日 2019年1月4日
 
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●全国の市町村の地方創生計画の7割が外注 交付金21億円が東京に還流
         中日 2019年1月3日 
 政府の地方創生政策の出発点として、全国の市町村が独自で作った地域再生の基本計画「地方版総合戦略」の七割超が、外部企業などへの委託で策定されていたことが分かった。委託先は東京の企業・団体が過半数を占め、受注額は少なくとも二十一億円超に上ることも判明。地方自治を研究する専門機関による初の全国調査で浮き彫りになった。

 地方創生政策は、人口や雇用の減少で疲弊する地域の自立と活性化が目的で、第二次安倍政権が看板政策として打ち出した。政府は地方の主体性を促し、民間に全面依存しないよう求めたが、東京一極集中の是正に向けて地方に配られた策定段階の交付金の多くが東京に還流した形だ。

 雇用創出や移住・定住促進などを盛り込んだ戦略策定は二〇一四年十二月にスタート。法的には努力義務だったが、政府は一六年三月までの策定を強く要請した。交付金申請の前提条件とされたため、事実上は策定がノルマとされ、わずか一年余りでほぼすべての自治体が作り終えた。

 調査したのは公益財団法人「地方自治総合研究所」(東京)。一七年十一月、全国の自治体にアンケートしたところ、白紙などを除いた有効回答千三百四十二市町村のうち、千三十七市町村(77・3%)が、コンサルタントやシンクタンクなど外部に委託していた。その理由として多くの自治体が「専門知識を補う」「職員の事務量軽減」を挙げた。アンケートには八割近くの自治体が回答した。

 調査で判明した受注総額は約四十億円。委託先は東京の企業が上位十社のうち七社を占めた。愛知、大阪、福岡などが都道府県別の占有率で3%にも届かない中、東京の大手が一社だけで全体の12・5%となる五億円超を請け負う極端な偏りも浮かんだ。
 外部への委託費用は政府の予算枠が色濃く反映された。交付金は一市町村当たり一千万円で、全国の半数近くの市町村が七百万~一千万円で委託していた。

 各地の自治体から委託された大手コンサルの責任者は本紙の取材に「瞬間風速的に大変な需要過多になった。手が足りなくなり、幾つも依頼を断った」と証言。別の責任者も「明らかな地方創生バブルだった。業界全体でも全ては受け止め切れない状態だった」と振り返った。

◆まさに一極集中
 首都大学東京の山下祐介教授(社会学)の話 地方創生で東京一極集中を止めると言っているのに、この調査結果こそまさに東京一極集中を表している。情報を一番持っている東京のコンサルに頼むという判断は自治体として当然かもしれないが、地元で考えるべき問題を投げてしまえば人口減少にしっかり向き合う機会を失う。積み上げるべき知見が積み上がらず悪循環だ。自前でやったところは問題点を自覚したはず。本来は政策形成競争だったはずが、補助金獲得競争や人口獲得競争になってしまったことをしっかり検証すべきだ。

 (前口憲幸、横井武昭)
 <地方創生政策> 地方消滅が危惧される中、自律的な地域社会を築くため、第2次安倍政権が始めた。政府は地域活性化の理念を示した「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、全国の自治体に地元の実情に沿った5カ年計画「地方版総合戦略」の策定を要請。戦略は2019年度が最終年となる。地方創生関係の交付金のうち、国が事業費の半分を補助する「地方創生推進交付金」は、16~18年度に1347自治体が活用し、1392億円分の事業が採択されている。

●膨大事務 国から地方に 市町村の96%「負担ある」 各市町村の地方版総合戦略
   中日 2019年1月4日
調査、照会…期限に追われ
 政府の地方創生政策を巡って、全国の市町村の9割超が事務量を負担に感じていたことが専門機関の調査で分かった。背景には地方分権で国が自治体に求める調査や照会、計画作りが急増した事情があるとみられる。北陸地方の自治体職員らは本紙の取材に「国から似た内容の調査依頼が膨大にくる」と明かした。(前口憲幸、横井武昭)

 公益財団法人・地方自治総合研究所(東京)が二〇一七年十一月に実施した全国調査で、有効回答の42・1%に当たる五百六十五市町村が「大きな負担」と回答。「まあまあ負担」と合わせると96・1%が重荷とした。「全く負担でない」はゼロ。回答率は77・4%だった。

 安倍政権は一四年、地方創生に絡む地域独自の基本計画「地方版総合戦略」の策定を全国の自治体に要請。一五年度末までに、ほぼすべてが作り終えた。

 研究所によると、全国の七割超の市町村が策定をコンサルタントに外注。発注内容は調査分析や素案作成などの一部業務から、「丸投げ」に近い形まで幅があったとみられるが、担当職員は策定後の交付金申請や採択後の事業実施にも追われた。

 石川県能登地方の自治体職員は「苦労した。思い出すと気持ち悪くなる」と振り返る。基礎知識さえなかったが、庁内の会議で「地元は職員が一番分かる。できるだけ自前で」となった。一部外注したが、計画の素材集めに苦労した。今、充実感はあるが複雑だという。「地域を真剣に考えることが本来の地方分権。だけど、期限に追われる仕事ばかりだった」。富山県東部の自治体職員は「小さな町だから、委託しないと厳しい。全国の自治体は人口を取り合い、消耗戦をしている」と話した。

 国と地方の上下関係は〇〇年の地方分権一括法で法律上は対等になった。小泉政権の三位一体改革でも権限が移されたが、一方で国からの調査依頼が急増。法律に基づいて半ば強制される計画作りも増えた。

 地方の窮状を自ら国に直訴した首長もいる。
 一四年五月、新潟県聖籠町(せいろうまち)の渡辺広吉町長(当時)は内閣府の会議で「国から調査や照会ばかり依頼され、限られた人員で対応するのが難しい」と訴えた。その前年度に国から求められた調査や照会は計四百二十件に及んでいた。

 聖籠町の現状は今もあまり変わらないという。一七年の同じ会議で兵庫県多可町の戸田善規町長(当時)も同じ指摘をするなど全国的な傾向だ。渡辺さんは本紙に「国が実態を知り、見直してほしかった」と語った。

●2018年3月1日 「地方版総合戦略の策定に関するアンケート」の結果
         (公財)地方自治総合研究所 自治体行政計画研究会
【目的】 当研究会の問題意識の一つに、「近年、法律等に基づいて市町村に要請される行政計画の数が増え、自治体への負担が著しく増加しているのではないか」があります。
このことを考えていく前段として、2014 年末から 2015 年度にかけて、全国の市町村に策定が要請された地方版総合戦略を事例にとり、計画策定過程がどのようなものであったか、またこのことを担当職員がどのように受け止めていたかについてアンケートを実施しました。

【実施方法】2017 年 11 月 10 日に全ての市町村の地方版総合戦略担当者に郵送でアンケート用紙を配布。

●地方創生政策が浮き彫りにした国-地方関係の現状と課題
       -自治総研通巻474号 2018年4月号-
―「地方版総合戦略」の策定に関する 市町村悉皆アンケート調査の結果をふまえて ―坂 本 誠
・・・(略)・・・
4. まとめ~調査結果から得られる示唆
第1に、総合戦略の策定に際して外部委託が広範になされたこととその実態が把握できた。

皮肉なのは、外部委託した市町村よりも外部委託をしなかった市町村の方が策定した総合戦略の内容について肯定的な評価をしていることである。・・・(略)・・・計画策定におけるコンサルタントの役割や外部委託のあり方については見直す必要があるのではないだろうか。

また、東京都に本社を置く業者が受注件数・受注金額ともに過半数を獲得しており、結果として、総合戦略策定費相当分として予算措置された額の多くが東京都に「一極集中」する格好となった。

・・・(略)・・・、ソフト事業は、出版・デザイン・コンサルタント・IT関係などソフト事業ならではの専門性に対応できる人材や企業が都市部に偏在しているため、特に農村部においては事業投資が地域内で循環しづらい側面がある。「ハードからソフトへ」の方向性はよしとしても、それが地域内の経済循環に及ぼす影響を考慮しながら対応策を検討する必要があるのではないか。

第2に、策定過程における都道府県の関わりについては、都道府県ごとに対応の違いが見られた。

第3に、市町村担当者は、地方創生政策の成果については概ね肯定的に受け止めているものの、それに伴う事務量については強い負担感を抱いていることが確認された。また、自由記入欄には、交付金の硬直的な運用など国のトップダウン的な姿勢に対する批判や、そもそも人口減少対策は本来的に国の役割ではないかとの疑問が寄せられた。

市町村の要望が国に届きやすくなっている一方で、国からの統制(制約)が強まっているとの認識が市町村に広がっていることが明らかとなった。特に後者に関しては、小規模かつ自主財源の乏しい市町村において、国からの統制(制約)が強くなっていると感じている傾向が確認された。地方分権改革が進む一方で、多くの市町村がそれとは異なるベクトルを感じているという現実を重く受け止める必要がある。

「権限」「財源」「人間」の「三ゲン」が地方分権の三要素と言われて久しいが、地方分権改革の結果として国から地方に移されたのは「事務」とそれを遂行する「責任」ばかりで、「権限」を裏付ける「財源」の移譲は進まずむしろ切り詰められ、結果として将来的な見通しの立たないままでの財政運営を強いられている。そして「人間」(職員)はといえば、人員数の削減が進められたうえに、残された人間も厳しさを増す職場環境に痩せ細っているのが現状ではないか。

ある意味で、地方創生政策はそうした現状を象徴しているとも言える。

・・・(略)・・・

そしてもっと根本的に言えば、本調査が明らかにした地方創生政策の市町村における実相およびそれとともに浮き彫りになった地方自治の最前線の現場に漂うある種の閉塞感は、地方分権とは何だったのか、どうあるべきなのか ―国と地方が対等な立場で(たとえば国と地方の協議の場などを通じて)従来の地方分権改革の検証と今後の対応方針を議論していく時期にあることを指し示しているのではないだろうか。
(さかもと まこと 公益財団法人地方自治総合研究所客員研究員)


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