「日立製作所」は「東芝」「三菱電機」とともに日本の原発御三家といわれる。
その日立がイギリスの原発計画の凍結を表明。3000億円の損失としたが、株価はかえって暴騰、らしい。
日立の原発についてこのブログでは、1年前に日本政府の姿勢を問題視した。⇒ ★≪日立がイギリスで原発建設 総額3兆円の原発輸出/政府が債務保証して後押し/損失が発生すれば最終は日本国民が負担/イギリスでは1995年以降、原発新設はない/30年までの建設予定はひとつも完成せず≫ 2018年1月12日 ブログ
そこで、関連状況を記録しておこう。
まず、アベノミクスは原発推進でないと行き詰まる旨で「安倍政権の原発再稼働」を求めたロイターの記事を抜粋・確認する。
6年前 ★≪ロイター 2013年4月8日コラム:「アベノミクス」が求める原発再稼働/日本は、原子力発電にもう一度チャンスを与える必要がある。/日本経済復活を目指すアベノミクスは、原発再稼働抜きでは行き詰まる可能性があるのだ≫
以下は、現状。
●原子力発電、採算合わず“儲からないビジネス”に…欧米メーカーはすでに撤退、世界の潮流/ビジネスジャーナル 2019.01.06
●日立の英原発凍結 安倍政権の「日の丸原発輸出」頓挫が鮮明に/毎日 2019年1月11日
●日立、英原子力建設を凍結/民間企業負担に限界、技術と人材の維持も課題に/電気新聞 2019/01/21
●世耕経産相「原発輸出、全滅したけどやめない。福一事故起こした日本の安全技術で世界貢献」/バザップ! 2019年1月18日
●焦点:英原発建設、日立の撤退で立場強める中仏企業連合/ロイター 2019年1月18日
●日立の建設凍結の決定に揺れる “原発依存の島”/テレ朝 2019/01/20
●日立製作所 風力発電機の生産から撤退へ/テレ朝 2019/01/25
●スクープ解説 日立、エネルギー戦略再構築の狙い/日経 2019年1月25日
●社説 総崩れの原発輸出 官邸・経産省の責任は重い/毎日 2018年12月25日
なお、今朝の気温はマイナス1度ほど。昼の所要の関係でウォーキングはお休み。昨日1月28日の私のブログへのネットのアクセス情報は「閲覧数4,489 訪問者数1,547」。
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★コラム:「アベノミクス」が求める原発再稼働 6年前
ロイター 2013年4月8日 Christopher Swann
日本は、原子力発電にもう一度チャンスを与える必要がある。安倍晋三首相が進める経済政策「アベノミクス」で円安が進み、東日本大震災以前でさえエネルギー需要の80%以上を輸入に頼っていた日本では、電気代が今後さらに上昇するからだ。
・・・(略)・・・一般的な日本国民にとって、原発の危険はそれに見合う価値があると納得するには多くの時間が必要だろう。しかし、日本経済復活を目指すアベノミクスは、原発再稼働抜きでは行き詰まる可能性があるのだ。 |
●原子力発電、採算合わず“儲からないビジネス”に…欧米メーカーはすでに撤退、世界の潮流
ビジネスジャーナル 2019.01.06
「加谷珪一の知っとくエコノミー論」加谷珪一/経済評論家
アベノミクスの目玉政策の一つだった原発の輸出ビジネスが岐路に立たされている。
三菱重工業がトルコの原発建設計画を断念する方針を固めたほか、日立製作所も英国で進めている原発プロジェクトの見直しを決定している。
日本の高度な原発技術を世界に輸出するという一連のプロジェクトは、ほぼすべて頓挫するという状況になってきた。
・・・(以下、略)・・
●日立の英原発凍結 安倍政権の「日の丸原発輸出」頓挫が鮮明に
毎日 2019年1月11日
日立製作所は11日、英国での原子力発電所新設計画を凍結する方針を固めた。来週中にも臨時取締役会を開いて正式に決める。事業計画の前提となる国内民間企業の出資協力や英政府の追加支援の見通しが立たないため。2019年3月期中に最大約3000億円の損失を計上する見通し。日立の計画凍結により、安倍政権がインフラ輸出の柱に掲げてきた「日の丸原発輸出」の頓挫が鮮明になる。
・・・(以下、略)・・・
●日立、英原子力建設を凍結/民間企業負担に限界、技術と人材の維持も課題に
電気新聞 2019/01/21
日立製作所が英国原子力建設事業を凍結したことは、民間企業であるメーカーが巨額の費用を負担するモデルの“原子力輸出”は限界だと印象づけた。元東芝子会社の米ウエスチングハウス(WH)を巡る問題で損失リスクが浮き彫りになり、海外原子力事業には投資家や社外取締役も厳しい目を注ぐ。今後も日立は英国政府との間で協議は続けるものの、東原敏昭社長は事業再開に向けた「時間軸は見通せない」とも指摘。そのハードルは高そうだ。
日本企業が関わる原子力の輸出案件は次々と暗礁に乗り上げている。まず2016年にベトナムの建設計画が中止に追い込まれ、日立の受注が見込まれたリトアニアでも計画が凍結された。昨年11月には東芝が、英国で建設事業を担う子会社のニュージェネレーションを清算し完全撤退すると発表。三菱重工業が同年7月までに事業化可能性調査(FS)を終えたトルコの新設案件も、事業推進の見通しは立っていない。
●世耕経産相「原発輸出、全滅したけどやめない。福一事故起こした日本の安全技術で世界貢献」
バザップ! 2019年1月18日
・・・(略)・・・世耕経産相は「原発プロジェクトが一概に高いというものではない」「世界全体を見れば原発を使いたい国が多数で、今後、いろいろな展開の可能性がある」と発言。
安倍政権が6年に渡ってアベノミクスの成長戦略の目玉としてきながら、今回の日立の事業中断で敢えなく全滅した原発輸出の政策を今後も引き続き進めていく考えを示しました。
福一事故を経験していればこそ、原発がひとたび事故を起こした時に途方もない人的、物的、金銭的な被害が発生し、長期間にわたって人の住めない土地が生まれる事は熟知しているはずです。だからこそ安全対策として世界中で原発の建設費用が高騰しているわけですが、経産省はいったい事故発生時のコストをどのように見積もっているのでしょうか?
また、世耕経産相は「福島の事故を経験した日本の原発の安全に関する技術が世界に貢献していくことができる」とも発言していますが、未だに福一事故を収束させる見通しも立てられていない以上、日本の安全技術が信用してもらえるとは思わない方がよさそうです。
・・・(以下、略)・・・
●焦点:英原発建設、日立の撤退で立場強める中仏企業連合
ロイター 2019年1月18日
[パリ 17日 ロイター] - 日立製作所(6501.T)が英国における原発新設計画凍結を発表した。これにより、英国の新規原発を手掛ける企業として残った仏電力公社EDF(EDF.PA)と中国広核集団(CGN)は、資金調達方法を巡る英政府との交渉で立場が強まる。
昨年11月の東芝(6502.T)に続き、日立も資金面で耐えられないとの理由で英原発事業から撤退することになっただけに、資金調達をどうするかは非常に重要な要素になっている。
・・・(略)・・・<協議難航か>
東芝と日立の計画について、専門家は当初から失敗する運命だったとみている。
これほど長期の計画の資金を手当てできるのは着実なキャッシュフローがある公益企業だけだが、2011年の福島第一原発の事故で安全コストが跳ね上がり、再生可能エネルギーの競争力が高まって以来、欧州のほとんどの公益企業は英原発建設から手を引いてしまったからだ。
・・・(略)・・・今のところ英国で建設中の原発は、EDFが主導し、CGNが33.5%の権益を保有する「ヒンクリーポイントC」だけになった。
同事業ではEDFが資金調達を担い、コスト上振れや建設遅延による全てのリスクを背負う見返りに、電力価格を向こう35年間、メガワット時当たり最高92.50ポンドと契約時の市場価格の2倍強に設定することが保証された。
これには条件が甘すぎると議会や国民からの批判が殺到した。
半面、東芝と日立がいなくなった以上、英政府はエネルギー需要の高まりに対応するための原発新設をEDFとCGNに頼らざるを得なくなっている。
仏コンサルタントのティボー・ラコンデ氏は「英国のエネルギー安全保障と脱炭素化戦略は危機に瀕している」と指摘した。
●日立の建設凍結の決定に揺れる “原発依存の島”
テレ朝 2019/01/20
日立製作所がイギリスで計画していた原発の建設を凍結すると17日に発表しました。建設予定地は半世紀近くにわたって原発に依存してきた地域で、動揺が広がっています。
建設予定地の周りに並ぶ空き家。すでに15軒の住民が立ち退いたといいます。
地元住民:「家を立ち退き、残念に思う人も多い。建設の準備が進んでいたから。この地域はさらに貧しくなる」
・・・(以下、略)・・・
●日立製作所 風力発電機の生産から撤退へ
テレ朝 2019/01/25
大手電機メーカーの日立製作所は、風力発電機の生産から撤退すると発表しました。
日立は風力発電機生産を撤退する理由について、日本では市場規模が小さく事業拡大が見込めないことやエネルギー事業の開発費用や人材が分散するのを避けるためとしています。今後は風力発電の保守に関する業務などを続けるほか、制御システムの事業に力を入れることにしています。日立は先週、イギリスへの原発輸出計画の凍結を発表するなどエネルギー事業の見直しを進めていますが、日立の会長でもある経団連の中西会長は「再生可能エネルギーだけで人類に必要なエネルギーを賄うことができるとは思っていない」と話し、原発再稼働を進めるべきとしています。
●スクープ解説 日立、エネルギー戦略再構築の狙い
日経 2019年1月25日 庄司 容子
・・・(略)・・・ 一定の成果を挙げたものの、低収益であれば、見切りをつける。今回の日立のその決断で浮かび上がるのは、発電機そのものは外部から調達し、自らはサービスで稼ぐ戦略だ。
日立は今後、独エネルコンの風力発電機の国内販売を手掛ける子会社の日立パワーソリューションズ(日立PS、茨城県日立市)を活用しながら、引き続き風力事業の拡大を目指す方針。同社は風力発電機の設置候補地の風の状況の調査から、設置、運転管理まで一貫して請け負うソリューションビジネスにも定評がある。これまでは日立本体も自社製風力発電機を納入した顧客に対し、同様のサービスを手掛けていたが、今後は日立PSと機能を統合することでコスト削減を進める考えだ。
日立は昨年末にスイス重電大手のABBから送配電システム事業を約7000億円で買収することも決めている。単品売りからシステムやサービスで稼ぐ事業モデルへ。日立のエネルギー事業の再構築が加速する。
●社説 総崩れの原発輸出 官邸・経産省の責任は重い
毎日 2018年12月25日
安倍政権が「成長戦略」の柱に据える原発輸出事業が、総崩れの様相を呈している。
東京電力福島第1原発の事故後、各国の安全基準が厳格化して建設コストが高騰したほか、反原発の意識も高まったことなどが原因だ。
輸出事業は事実上、破綻したと言わざるを得ない。原発を巡る環境が激変したにもかかわらず、輸出の旗を振り続けた経済産業省と首相官邸の責任は重い。
・・・(略)・・・原発事故を契機に、世界の潮流は変わっていた。
安全対策を含めた原発の建設費が大幅に増大する一方で、太陽光発電などの再生可能エネルギーは、急速な普及拡大に伴ってコストを下げている。
原発の相対的な価格競争力は低下している。もはや「安い電源」とは言えなくなっているのだ。
・・・(略)・・・ そこで政府は、経済成長に伴って電力需要が急増する途上国に、低コストの電気を供給して貢献するという大義を掲げてきた。しかし、建設コストの高騰で、その大義も失われたわけだ。
国内には、なお多数の原発が存在し、今後は廃炉作業も本格化する。優れた技術や人材は必要だろう。
しかし、このまま原発輸出に執着していては展望は開けない。政府は、世界の潮流を見据え、速やかな脱原発に向けて原子力政策を抜本的に見直すべきだ。
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