tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

雨だれ

2009-07-09 23:42:43 | 港町 YOKOHAMA



【撮影地】横浜市中区山手町16(イタリア山庭園)(2009.4月撮影)
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小さな頃から寝つきがいいほうで、特に雨音を聞くと心が休まりよく眠れる。
雨の日はロマンティックだし、人気のない夜の街路では、ジーン・ケリーのように踊りだしたくなる時もあるのだが、どちらかといえば部屋でじっとしていることが多い。久しぶりにアップライトピアノでも弾きながら・・・。
しかし、湿度の高い梅雨の季節は、ピアノの音が狂いやすくなり、弦をたたくハンマーの動きも鈍くなりがちだ。雨の日は、ピアノも人と同じく生き物なんだと感じられる。

さて、ショパンが1838年(28歳)の時、女流作家である彼の人生最後の恋人ジョルジュ・サンドと地中海の孤島マジョルカへ転地療養に行っていた時に作った曲がプレリュード「雨だれ」。途切れなく続く伴奏の変イ音が雨だれのように聞こえ、中間部は激しく降りしきる雨が連想される。
彼のマジョルカ島への旅行は、表向きは転地療養だったのだが、文学者マルフィーユと恋愛のさなかにあった元人妻のジョルジュ・サンドの関係がややこしいことになったので、実はそれから逃れるための恋の逃避行とも言われている。このころのショパンの健康状態は悪化の一途をたどっており、この曲の暗くて重々しい中間部はショパンの死への恐怖心を表しているのかもしれない。
ただし、「雨だれ」というタイトルはショパン自身がつけたものではなく、ショパンがピアノを弾いている音と、雨だれが軒下からしたたり落ちる音とが微妙に調和していたとジョルジュ・サンドが書いていることから名づけられたもののようだ。

ショパンの病気を結核だとするうわさや、よそ者に対するマジョルカの島民の意地悪な態度により、2人は失望のの内に島を出なければならなかった。しかし、こうした逆境が2人の愛を深め、そこからこの曲が生まれたという説もある。そういえば、曲の最後の部分は最初にもどり太陽の光りさす空のような印象を受ける。あけない夜はないし、止まない雨はない。いつか必ず光が差す。・・・のだろう。
逆境、そして、人を思う感情は、感動すべき芸術が生まれるためのトリガーのひとつなのかもしれない。

ショパンの類まれな芸術を語る上でも欠かせないミューズのジョルジュ・サンド。だが、感情的もつれから、2人はあっけなく9年後に絆を絶ち切ることになる。
それも人生。

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コメント (2)
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