tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

「THIS IS SHE」その2

2010-02-06 20:50:11 | 日記

 透明度の高い外洋の海では、はるか深遠の水底が見渡せる。透明度の高い海の中はフォトジェニックな景色なのだが、その一方で、潮の流れに浮かんでドロップ・オフの数十メートルも真下の水底を見ると、なんだか脚がむずむずしてくる。・・・深遠まで見えすぎるがための高所恐怖症による反応だ。
 崖の上や足場の不安定な場所で怖いと思うのは、本能的に身を守ろうとする大切な反応だ。この反応が過剰に出てしまうと、パニックに陥る。
息苦しくなり、一刻も早く、海面へ浮上したくなる。呼吸が苦しいからとレギュレターをはずし、大気を求めて緊急浮上すれば、間違いなく浮上途中でおぼれて死ぬ。
実際に外国の海で起きた事故だった。
 このとき、一緒に潜っていたインストラクターはゲストを追いかけて緊急浮上し、おそらくは脳内血管に発生した窒素バブルにより血流が止められて気を失い溺死。
責任感の強いインストラクターほど、パニックに陥ったゲストを全力で追いかけて、その結果、減圧症を引き起こして亡くなりやすい。

 最悪の選択なのだが、場合によってはパニックに陥ったゲストをおぼれさせてから、安全に救助する方法もあるように思えてならない。パニックになれば、どうしても救助者にしがみついて、救助者の行動を妨害しがちになる。その結果、共倒れだ。なにがなんでも、やみくもに助けようとするのは危ない。
なによりもパニックになる前に落ち着かせること、アイコンタクトをしっかりしてゲストの状態を十分に把握し、手を握るなどして落ち着かせることが重要なことだ。。
だが往々にして、ベテランのダイバーと言えども、パニックには不意に襲われる。

 

 ダイビング・インストラクターは、ゲストの安全のため生命のリスクを冒して水中をガイドしている。
沈みゆく、あるいは浮き上がるゲストを追いかけるために、ジェット・フィンという、水圧の高い深場でも推進力を失わない硬いフィンを履くし、潮の流れの激しいポイントでは、ゲストを引っ張って泳ぐため、ワープ・フィンという推進力の大きなフィンを着用する。
一見、華麗に見えるダイビング・インストラクターなのだが、日々の地道な鍛錬が自信を生み、そして指導者としてのプライドを形成していくのだろう。

 彼女の夢は、久米島の純平氏のようなスーパー・インストラクターになることだという。例え、狙った水中生物が見れなくても、海が荒れて潜れなくても、いろんな生物の話題でゲストを楽しませることのできるインストラクターになりたいと夢を語る。

 

 この日、彼女の潜水回数がトータル1500回を超えて、ゲストたちからサプライズのお祝い。
ちょっぴり感激、大きな笑顔。。



お小遣い帳に記帳。「やんぐゎ 野菜そば(すば)650円・・・」

 彼女と一緒に潜っていて、「水中生物を見たい」とか、「潜りたおしたい!」というよりは、「ダイビングで何かをしたい」という気持ちが伝わってくる。
その「何か」が見つかりさえすれば、オンリー・ワンのスーパー・インストラクターになれるんじゃないかな、そんな期待を抱いた。

 水中ツアー行程を終えて一安心の彼女。
このツアー中、いつもに増して彼女とはいろんな話をしたのだが、彼女を理解できたとは思っていない。
むしろ、ただカメラを抱え、目の前の彼女を追っかけていたようにさえ思う。
雑文書きとしても、写真屋としても、まだまだ未熟だ。もっと、人を観察する目、物事を見る目を養う必要がある。


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