154人乗りのボーイング737-800が、モエン島の上空で最終着陸態勢に入る。
眼下には輝くサンゴ礁の透明なリーフで、機体は巨大な青にからめとられる。
輝く海面を機体の影が滑っていく。
ついつい、パラグライダーでキャノピーを立ち上げて空を滑空する飛翔感覚が思い出されてくる。
光の中を自分で飛んでいる気になる。
船が進むにしたがって島はまるで舞踏を楽しんでいるかのように形を変え、新しい島が次々にあらわれる。どの島もヤシの木が見える。はじめて見る景色ながら、遠い記憶のどこかで接しているような錯覚を覚える。
チューク環礁は巨大だ。その間に春島、夏島、秋島、冬島など大小さまざまな島が点在する。
サファイヤブルーの海に囲まれた小島は、島の周りをライトブルーの光を発しているように輝き、中心に向かって徐々にヤシのダークグリーンからヨモギ色に変化する。
その色彩は、何という色と表現するのか、日本語が不自由なぼくは頭をかかえてしまうほど。
空、そして海から眺める限り、この世の穢れからはいっさい無関係であるかのようだ。まったく汚れのない完璧なものが、この世に存在してほしいと願うぼく自身の渇望が映し出す幻影なのかも。。
ジープ島では、朝から晩まで地上水中を問わず、心のおもむくままに写真を撮った。深い海の底で眠りについているゼロ戦も見た。
写真とは生身の人間の五感や想念を通して、人類の歴史を光のコントラストに閉じ込めているのではないかと思う。。
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成田を午後9:00に飛び立ったボーイング777-200は、深夜土砂降りのGUAM空港へ。
南の島の灼熱は雨で洗われ、情熱とも間違われるいつもの熱帯の熱気はさほど感じない。
中村隊長率いる地球探検隊が、グアムから先、直径34メートルのちっぽけな島ジープ島へ向かう。メンバーは総計8名。
そのすべてが探検好きの旅行者たちだ。見たこともないような絶景を求めているという共通点でのみ結ばれている。
この歳になったら、旅といえばカンクンのような有名な超高級リゾートで、何一つ不自由のない時を過ごすのが普通だろう。
でも、ぼくの旅のあこがれはあれだ。
♪知らない街を歩いてみたい。どこか遠くへ行きたい。とおい街、とおい海。夢はるか。一人旅♪
知らない世界を見てみたい。そして自分の居場所はここではないと、あちこち彷徨い歩いている。。
こんな気ままな冒険好きの混成部隊がまとまっていくためには、やはりまとめ役が必要だ。旅の経験が豊富な隊長は、いくつもの修羅場をかいくぐって来たのだろう。詳しくは語らないが、いろんな場面で奥の深さを感じさせる。
その隊長が、妙なテンションで冗談を言い、旅中、日一日とチームは結束していく。チーム内にあって、隊長は強い求心力を持ったカリスマだ。一人一人の隊員と正面切って話をする。隊員ばかりでなく、現地スタッフにも気持ちがつたわる。ナビゲーターとも違う絶妙なポジション。
そしてすべての気持ちが、チューク環礁の父島近くの海域に生息するイルカたちとの遭遇に集中していた。
いつしかぼくも、たとえ酔っぱらっても目をマジと見据える隊長の気力に引き込まれていた。
エラ呼吸してる?と勘違いしそうなほど、水に抵抗なく垂直に潜っては、イルカのような身のこなしで浮き上がってくる一流スイマーの女性隊員。そして、ひざぐらいの深さでパニクって、バタバタしてしまう普段は一流のエンジニア。その他、ダイビングの得意な一流動画作者。一流フォトグラファーのぼく(注1、注2)、などなど。
スノーケリングのテクニックは様々だが、みな一流スイマーにしごかれて、翌日のイルカスイムの練習を必死で繰り返してる。
注1 「一流フォトグラファー」と皆から呼ばれる予定でしたが、ピンボケ写真を連発していたら、いつのまにか「隊員」に格下げされてました。
注2 ピントがあまく、柔らかな感じの昭和を思わせる写真は、非常に高度なテクニックによるものです。長くなるので説明は省略します。
イルカスイムの日、空は晴れ渡った。チュークの空は純度の高い済んだ青だ。
どんなに遠くても影でもいいからその姿を見せてくれと誰もが心の中で懸命に念じていた。そこに居てくれと、いっしょに泳いでくれ、と。
そして水平線のかなたに埋まってる夢をぼくらはつかんだ。
いくつもの背びれを見つけ、先に潜って様子を見ていたインストラクターが「入れ」の合図。船から静かに海に入ると、いた。。イルカが泳いでいる。
喜びを身体中から発散させて、じっとしておれないものもいれば、追いつくはずもないのにイルカの後を追って必死でフィンを蹴っているものもいた。
パニクってバタバタしてしまう一流のエンジニアは、イルカに会えた感動で涙を流すと思いきや意外と冷静。一番、興奮してたのは隊長で、後でインストラクターから、あんまりはしゃぎすぎないようにと怒られていた。
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ジープとビキニ。ジープ島で飼われている2匹の犬たち。
オスとメス。それぞれ1歳ぐらい。やんちゃなさかり。
もともとは飛行場のある本島(モエン島)の生まれ。モエン島には彼らの兄弟たちもいるという。
実は、人が住めるようになって15年の歴史におけるジープ島の犬たちはすでに3代目。
犬たちが短命な理由としては、高カロリーで塩分の多い食事(エサ)と、直径34メートルの小さな島であることによる運動不足があげられる。
島の生活は、宿泊客とともに本島から毎日来る小さなボートに依存している。
その本島自体、近くの海で獲れるサカナと、自然に生えているフルーツ以外は、他からの輸入に頼らざるを得ない。野菜は保存の効く米とか、ジャガイモ、タマネギが主体。島は新鮮な野菜が極端に少ないのだ。
自然、食事は肉が中心の高カロリーなものとなってしまう。
だから運動不足もあって、島の人たちはお腹周りの大きな人が多い。
チューク諸島の野良犬たちもそうだ。もともと土地の人たちは犬をペットとしてみなす習慣はなく、多くの犬はノラ犬に甘んじている。もっとも、ノラ犬がゆえにいつもお腹を空かせてひどく痩せてはいるのだが。。
もう一つ犬たちが短命の理由は、狭い島内での繰り返しの繁殖が行われているためらしい。ノラ犬どころか飼い犬でさえも避妊手術など縁が遠く、さかりがつくと近親相姦を繰り返す。このため、遺伝的にDNAの多様性が失われ、生命力が弱くなってしまう。
ツアーで一緒になった女性が、お腹を空かせてうろついている島のノラ犬たちを見て、ウチの子に世界にはこんな犬もいることを教えてあげたいと言っていた。
たしかに日本の犬たちは決して飢えることなく、島の野良犬たちと比べてみれば幸福だろう。
そのぶん、狩猟本能や、子孫を残そうとする本能が満たされているかどうかは疑問だが。。
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波がしらが月の光を受けてキラキラ輝く。
残念ながら夜光虫ではない。あの光る微生物は、汚れた海にたくさん生息する。
時には赤潮となって東京湾を覆うこともある。
人間の生存活動がもたらした有機汚染による富栄養化によるものだ。
一方、海水中に栄養塩のリンと窒素がほとんどない南の島では、植物プランクトンが発生しづらく、海水は透明度が極めて高い。
リン酸塩が海水中にたくさんあると、サンゴや石灰藻など炭酸カルシウムを生産する生物は育つことができない。
だから、夜光虫が少ないジープ島は、それだけ海がきれいという証でもある。
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チューク諸島にあるジープ島。6~10月にかけては貿易風が弱くなり、海も穏やかな日が多い。
行の飛行機から見た海面には一見シワがよっているように見えたが、風に押された波がしらが見えてたのだろう。
島では、太平洋の湿気をタップリ含んだ東北の風が涼を放ちながら吹き抜ける。
だから島では、日陰にさえ身を置けば心地良く、椰子の木陰に吊るしたハンモックが気持ち良い。 空には、ポツンと浮かぶ低い雲が流れ、抜けるような青空と対比をなす。リゾートダイバーに馴染みの貿易風の雲だ。
太平洋にポツンと浮かぶ島の空気はきれいだ。だから土地の人はスコールが降ってきても、洗濯物を取り込むようなことはしない。雨でびしょぬれになっても汚れることはなく、しばらくすると太陽が顔を出しすぐに洗濯物は乾く。
日が傾き、暑い午後が終りに近づくとサン・ダウナーがはじまる。サン・ダウナーとは、太陽が沈む時刻に、夕陽を見ながら酒を飲み交わすことだ。
夕陽は空気中のチリに太陽光が散乱して赤く見える。空気のきれいなジープ島では、東京のような空全体が赤くなるような夕陽を見ることはできない。
かつて日本のゼロ戦が飛び回った日々は、空も汚れて太陽が真っ赤になって沈んでいったのかもしれない。
なんてことを言い合いながら、かなり酔いが回ってくるころに、いよいよサン・ダウナーのハイライト、グリーン・フラッシュ。
太陽が西の海を焼くように水没するとき、一瞬、一秒の何分の一か、太陽の最後のカケラが緑色の閃光を放つ。水平線に雲がなく、空気がよく澄んでいなければ、グリーン・フラッシュは見られない。今回も西の水平線に浮かぶ雲でグリーン・フラッシュはお預け。次回のお楽しみってやつだ。
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