tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

海底熟成ラム(4)

2017-05-26 21:55:43 | 料理のサイエンス

さて問題は、カメで長期間貯蔵する泡盛も、オーク樽で貯蔵するウィスキーも、空気の出入りがあり酸化熟成が進むこと。一方、海底にゴム栓したビン詰めで貯蔵するラムの場合、空気の出入りはない。だから酸化を進行しないかというと、そうではない。
水深10mでの圧力は2気圧。つまり、ゴム栓が圧迫され、ビン内の気圧がわずかに上昇することで、ビンの上部の空間に閉じ込められた酸素が貯蔵中のラム酒に溶け込む。つまり、酸化が促進されるわけだ。
同様に、わずかな加圧が分解反応、および、アセタール化、エステル化、重合化などを促進させる。
酸化が進みすぎるとせっかくできた甘い香りのバニリンが香りの弱いバニリン酸になってしまう。まさに、ビンの上部空間の限られた酸素が適度な酸化に寄与する。
ビン貯蔵は、K, Na, Ca, Mgなどミネラル溶出も起こる。ミネラルの溶出はラム酒のpHの上昇を招き、エステル成分の加水分解を起こす。その結果、脂肪酸が増加。この脂肪酸も酸化分解し、さらに変化して香りの形成に寄与する。


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海底熟成ラム(3)

2017-05-25 22:11:04 | 料理のサイエンス

できたての蒸留酒の特徴を生み出すのは、糖とアミノ酸が結合してできるカルボニル化合物、アミノ酸の分解によるポリスルフィド、脂肪酸、有機酸のエステル化によるエステル類など。カルボニル化合物の中のソトロンは熟成古酒の主要な香成分。
たとえば、ホワイト・ドッグと呼ばれる熟成されていないウイスキーに含まれる香気物質は、熟しすぎた果物や塗料用シンナーや酢の香りをもつ。化学出身なら、むしろこうした化学物質的な香りが好きかもしれないが、一般の人にはあまり受けない香り。こうした物質が抽出とエステル化を進行させ酒の熟成に至る。
貯蔵温度は高いほど熟成の効果は速く(10℃高くなれば2倍)になるが、35℃以上だとバランスが悪くなる。
また、熟成により色の変化が起こり、糖とアミノ酸の重合(アミノ・カルボニル反応)によってメラノイジンを生成し褐色度を増す。


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海底熟成ラム(2)

2017-05-24 22:53:46 | 料理のサイエンス

ラム酒にかぎらず、ウィスキーも泡盛も日本酒もワインも、長い年月、保管することで熟成が進む。味がまろやかになるのだ。
酒というのは複雑な代物で、生産プロセスの各段階が最終産物に影響を及ぼす。発酵と蒸留は比較的容易。しかし、もっとも劇的な変化が起きるのは保管中。樽の中でウイスキーやコニャックは特有の風味が育まれる。
ウイスキーの場合は、内面を焦がした楢(オーク)の木の樽で何年も熟成。楢の木とアルコールの魔法のような相互作用でエステル化が進行する。「甘い香り」の本体は、バニリン。バニリン群がオーク材リグニンから分解溶出する。
だが、樽で何年も熟成させるには莫大な資金が必要で、小規模醸造所がそうそう手を出せるものではない。

 「まただれも、古い酒を飲んでから、新しいのをほしがりはしない。『古いのが良い』と考えているからである」(ルカ福音書5章37節)・・・イエス様の言葉


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海底熟成ラム(1)

2017-05-23 22:41:40 | 料理のサイエンス

「まずいから島の人は誰も飲まないわよ」
              とか身もふたもないことを・・・自粛
「それが初めて飲んだ時においしいと思ったの」

彼女はそう言いながらぼくの膝をゆすった。会話しながらのスキンシップ。都会ではとうの昔に廃れた女性らしさ。離島の小笠原だからこそ、まるでガラパゴスのように「よき日本」が凍結されているのかもしれない。
彼女がおいしいという海底熟成ラム。瓶詰から小笠原の海底に沈め安置し熟成。さらに引き上げて洗浄。すべてが手作業という。だから、30年もののラム酒のようにひどく高価だ。
実際、その高いラム酒を味見させてもらったが、たしかにラム酒特有のつんと来るトップノートは消えて果実のようなエステル系の甘い香りがし、味もまろやかだ。

彼女が言うには、
「10mの海底でしょ。圧力はあまり作用しないわよね、きっと。温度が一定だから味がおいしくなるのよ」
・・・ラムちゃんのような彼女を前にしてそう言われれば、そんなもんかなとか思ってしまうけど、冷静に考えると本当かと疑問がわいてくる。第一、一定の温度がいいのなら、冷蔵庫に一年でも放り込んでいればラム酒の熟成ができることになる。
じゃ、なんで海底に沈めたラム酒が熟成するんだ?


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宮入神輿

2017-05-22 23:11:18 | プチ放浪 都会編



三社祭りは荒っぽい担ぎ手が多いと言われ、何かしらの騒動が起きてニュースになることもしばしば。その左右に大きくふれる神輿の誘導は木頭の腕の見せどころだ。
興奮状態に陥っている担ぎ手たちの息を上手に合わせる。

本社神輿三之宮が宮入で通過する仲見世と伝法院通りの交差点は、神輿を担ぐ氏子たち、宝蔵門に抜けようとする見物人や、規制を知って引き返す客たちで大混乱。それぞれが行きたい方へ無理に行こうとするから、もみくちゃ。満員電車以上の混雑。人垣が巨大な波となって右へ左へぶつかり合う。写真を撮るどころの話じゃない。

神輿の揺れを表すには、伝法院通りを用いて被写体ブレにすればいい。どこか撮影ポイントとなる一点さえブレてなければ、作品として成立する。
スローシャッターで、ぶれずに担ぎ手の表情をとらえられてたら最高だ。
といっても、結局、被写体ブレは運任せ。
観音様に祈りつつ、何枚も撮って気に入る一枚があればいい方だ。


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