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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

LLPの組合員の地位を第三者に譲渡することは可能か

2011-07-30 11:01:38 | 会社法(改正商法等)
経済産業省「LLPに関する40の質問と40の答え(FAQ)の追加(問27)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/pdf/llpq27hosoku.pdf

 経済産業省の「LLPに関する40の質問と40の答え(FAQ)」の「問27 組合員の地位を第三者に譲渡することは可能か」に,大幅に説明が追加された。

 有限責任事業組合法の施行当時の登記通達(「有限責任事業組合契約に関する法律等の施行に伴う登記事務の取扱いについて(通達)」(平成17年7月29日付法務省民商第1713号))では,「組合員の地位の譲渡」について言及がなかったが,本Q&Aによれば,「組合員の地位を譲渡する場合は,脱退と加入の手続を行う必要はない」のであるから,組合の登記の変更の登記に際しては,譲渡者については「組合員の地位の譲渡」,譲受者については「組合員の地位の譲受け」などを変更の原因として登記することになると考えられる。

 不動産登記に関しては,「組合員の地位の譲渡に伴い不動産の持分移転の登記を行う場合には,添付書類として・・・」とあるが,実体法上の登記原因を証する書面として,司法書士がこれらの書類を確認する必要はあるが,本来,組合員の肩書き付けの登記は許容されていないのであるから,もっとシンプルな内容の「登記原因証明情報」を作成して,添付することでよいと思われる。

cf. 平成17年7月28日付「LLPと不動産登記(通達)」

 Q&Aの末尾には「他の組合員の同意により、組合員の地位の譲渡を許容するとともに,当該不動産が組合財産に属することを証する場合のひな型」が示されているが,不動産登記における登記原因証明情報として,ここまでの内容(実体法上は理想的である。)を要求するのは,組合員の肩書き付けの登記を許容しない取扱いと背理するように思うのだが。

 いずれにしても,登記実務の取扱いに関しては,商事課長通知と民事第二課長通知により周知されるのが望ましいであろう。

 なお,登記研究第760号(平成23年6月号)の質疑応答【7923】で,このような場合に,「組合員の地位の譲渡を原因とする共有持分の移転の登記をすることができる」とある。

【参考】
旧 問27(答)
1.LLPは人的な共同事業体であり、組合員としての地位を第三者に譲渡することは想定していませんが、他の組合員の全員一致が得られれば、地位を第三者に譲渡し、新しい組合員として迎え入れることは可能です。
(以上)
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