tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「昭和の日」を大事にしよう

2018年04月29日 11時13分56秒 | 社会
「昭和の日」を大事にしよう
 今日は「昭和の日」です。
 私も昭和一桁世代ですので、自らの生きた時代として、昭和には特別の思いがあります。

 これはただ単に、昭和の時代に育ったからというのではなく、日本の歴史の中で、昭和という時代は大変重要な時代だったのではないかという意識を持っているからです。

 今年の大河ドラマもそうですが、明治維新は近代日本の夜明けとして、いろいろな所で繰り返し取り上げられます。
 しかし昭和は歴史認識として、その意義はそこまで定着していません。その理由を考えてみますと、日本の現状がそうさせていると言えそうです。

 昭和の日の意義は、政府によれば「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」と何か当たり障りのないものになっていますが、「激動の時期」は明治以来の「富国強兵」の仕上げをしようとして、結局日本を焦土と化してしまった時期であり、「復興を遂げた」というのは、富国強兵という誤った考え方をやめ、「平和憲法を掲げて」世界も驚く経済、科学、文化などの急成長を遂げた時期という事でしょう。

 過日、「 田中角栄語録から:戦争体験の無い政治家たちの危うさ」を書きましたが、田中角栄の言う「危うい政治家」が多くなり、何かしら1945年以前の昭和に戻りたいといった漠然とした権力への郷愁が政治の世界にも、一部の国民の中にも持たれているように感じられるのが平成末期の今日ではないでしょうか。

 振り返れば、明治維新は、鎖国という前近代的な日本が、開国とともに「富国強兵」という当時の世界の先端に追い付こうと、列強の仲間入りに執念を持つという大変化の時期だったのでしょう。

 そして昭和の1945年を境とする変化は、世界の主要国に残る武力依存の部分を完全に超克し、純粋に「平和」という理念で世界史に登場するという、「力は力でもソフトパワーが国是」という世界史を先取りした理念の国として歩みを始めたという変化でしょう。
 そしてこれは世界の国々に確実に良い影響を与えて来ているのではないでしょうか。
 
 しかし、平和という理念だけ、ソフトパワーだけで国際関係を乗り切るということは勿論容易ではありません。世界史を大きく先取りしているのですから。
ならばそこまで頑張らなくても、多少「普通の国」に還って、武力も確り持って、「脅しに屈しないぞ」という所を見せたほうが良いという「易きにつく」意見が、特に戦争体験の無い人達の中に出る可能性はありうるでしょう。

 しかし実は、この「易きにつく」という考え方は、最も高くつく事が、人類の今迄の経験なのです。
 戦争で廃墟と化して経験を持つ人々は、日本だけではありませんが、皆「平和」がベストと実感しています。
 世界に先駆けた一歩をあえて踏み出した「昭和の日本」です。その先見性を大事にするというのが「国の将来に思いを致す」という「昭和の日」の意義ではないでしょうか。