tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政治家と数字:数字を使うなら出所を示せ

2020年11月15日 14時58分21秒 | 政治
政治家と数字:数字を使うなら出所を示せ
 安倍前総理が「裁量労働の人の方が労働時間が短い」と発言し、「何処にそんなデータがあるのか」「出所は何処だ」といった大論争が国会で行われ、議論してくうちに、結局、業務統計の一部分を見てそう思ったといったような話になって、最後には「データは間違っていた」と認めたことをご記憶の方も多いと思います。

 数字という物は恐ろしいもので、「数字で説明されると、信用してしまう」という人は結構多いのです。
 
 日本には、文科相傘下の「統計数理研究所」というのがありますが、そこの方たちは「検算しない数字は数字ではない」とか「統計を使うときは必ず出所を示す」などと、数字や統計についてのイロハを教えてくれます。

 国会答弁でもよく数字が使われます。ところが、上記の安倍前総理の発言もそうですが、政府要人の口から出る数字には、根拠も出所もはっきりしないようなものが出てきます。  
 どうも、数字や統計のイロハが徹底されていないようです。

 ごく最近テレビを見ていて気が付いたのは、菅総理の発言で、これはテレビで見ての記憶ですが(正確には議事録があるはずです)「Go Toキャンペーンの利用者は3000万人に達しているのにコロナに感染した人は60数人」と言われるのを聞きました。

 昨日はまた下村元文科相が、「GoToトラベルは2000万人も利用しているが、コロナ感染者は100人ほど」(これもテレビで見た記憶ですから、記憶は不正確かもしれません)といった趣旨の発言がありました。
 
 記憶ですから正確ではないかもしれませんが、GoTo利用者の数字は千万人単位で、コロナ感染者の数字は10人単位か100人という点は間違いないと思います。
 問題なのは、聞いた人は耳を疑うような数字であるにかかわらず、数字の出所については全く触れなという点です。

 「私が言うのだから信用してください」という事なのかもしれませんが、先の安倍総理の件もあり、にわかには信用できない所ではないでしょうか。

 総理であろうと、元閣僚(それも、統計数理研究所を所管する文科相)であろうと、数字と言われる時には必ず出所を付け加えるという統計数字利用のイロハはお守りいただかないと・・・、と思ってしまします。

 数字の出所によっては、国民にあらぬ誤解を与えてしまう可能性が十分あると思います。
しかも話される方は、そんなことはまったく気にしていない様子で、数字を平気で並べておられるようです。

 一方では、新規感染者が大都市だけでなく、従来は少なかった地方でも急拡大し、全国では1日1700人を超えるとテレビでグラフ入りで説明されているのを見て、どうもGo Toの影響が大きくなっているのではないかと疑う人が多い中での話です。

 政府は、コロナ感染者の問題は、個人の注意と努力に任せ、経済の落ち込み防止が大事で、Do Toキャンペーンも継続の意向が強いようですが、感染拡大がさらに増えれば、元も子もなくなる恐れもあります。

 こうした際には、出所が明確で、定義の明らかな数字を使って説明をすることが、ますます重要になるような気がするのですが、如何なものでしょうか。