この所の日経平均の動きは些か異常ですね。大発会でご祝儀相場かと思ったら暴落、翌日から急激に持ち直し、その後は急上昇の一本調子、きょう11日には35000円を突破という上昇ぶりです。これで日本経済も回復などという意見もあるようです
昨年から、いずれバブル期のピーク38000円台達成も、といった声はありましたが、まあ話半分と聞いていた人が多かったのでしょうが、この所の勢いならと感じた人も多いかと思われます。
専門家筋の解説では、ダウ平均の上昇に対して日本は遅れすぎているとか、円安がプラスしているとか、昨日のダウの上昇を受けてとか、更には、NISAの枠が広がったので「貯蓄から投資へ」の動きが出たとか、その証拠には素人にも解り易いトヨタが上げたとかいろいろありますが、それにしても急ピッチです。
大体日経平均はダウの後追いとか、外国投資本の意向で動くことが殆どのようですが、今回もやはりそんな背景でしょうか。
昔は株式市場は実体経済の先行指標などと言われたものですが、今はマネーマーケットはマネー事情で独自に動くようですから、日経平均の急上昇が、これからの日本経済の順調な回復の先行指標などとはとても言えないでしょう。
いろいろ考えてみますとやはりアメリカ経済との関係が背後にあるような気がします。
今アメリカは不況感になって来たようです。なのに、FRBは金利を下げようとしません。お陰でドル高・円安です。おそらく、ドルの価値を高く維持したいのでしょう。
アメリカがドル価値を高いドルを目指す時は、アメリカがおカネを使うときです。外国から資源・材料などの物を買う、更に対外援助をしなければならない時はドル高の方が好都合でしょう。
アメリカにマネーが流入してくれないと、という事情もあるでしょう。このPCにもドル投資の勧誘広告が入ってきたりします。
日本のマネーがアメリカに流入する事はアメリカにとっても好都合でしょう。ちょうど日本政府も「貯蓄から投資へ」と宣伝しています。日経平均が38000円台を記録したバブル期、日本経済がバブル崩壊から立ち直りを見せたリーマンショック前を思い出します。
ここまで言うと、些か行き過ぎた観測と言われるかもしれませんが、そう感じさせるほどに、異常な日経平均の上昇です。
この動きがどこまで続くかはわかりませんが、いずれにしても、実体経済と関係ないバブルに入って来ている事は確かでしょう。
バブルは、始まるとまだ続くという心理状態を生み出すようですが、同時に、人はバブルは必ず崩壊するという知識もどこかに持っているはずです。
マネーの世界は結局は仇花の世界です。国民の生活を支えるのは矢張り実体経済です。具体的には実体経済の成長、賃金と物価の関係次第ですし、企業にとっては、株価や時価総額ではなく、実体としての生産販売活動がどれだけ伸びるかに依存しているのです。
政府も国民も、日経平均の急上昇を喜ぶよりは、実体経済の建て直しこそが重要という視点を忘れないでほしいと思うところです。