平均消費性向2023年11月は低下
今朝、総務省統計局から「家計調査」の家計収支編11月分が発表になりました。早速勤労者世帯の平均消費性向を見てみますと前2か月は対前年比上昇に転じていたのに、残念ながらまたマイナスに戻ってしまっていました。
世界情勢多事多端の中でも、日本経済は長期不振だった消費支出の堅調で何とか元気さを取り戻してほしいと思っているところですが、消費者心理は揺れ動いているようです。
勤労者世帯の平均消費性向(%)の動き
資料、総務省統計局「家計調査」
消費の動きの大勢をを示す「2人以上世帯」の消費支出の動きは、マスコミの報道にもありまうように、対前年同月の実質消費支出の伸びは消費者物価の上昇で19カ月連続マイナスですが、一昨年あたりからコロナの終息もあり堅調さを見せてきました。
しかし昨年に入って消費者物価の急激な上昇を受けて節約志向に入ったり、堅調を取り戻したりの気迷い症状のようです。
11月は10月の生活関連物資の一斉値上げなどもあり、それでも頑張って消費を伸ばすかとみていましたが、年末を控え、少し節約かといったところのようです。
ただ11月には、消費者物価の動向が、これまでの上昇一途といったところから、これからは物価も落ちつくのではないかという感じへの変化が見られています。
更に、年末には今春闘についての昨年より高い賃上げという声が労使ともに聞かれ、金属労協や基幹労連大幅賃上げ要求基準設定などもあり、2024年の賃金上昇への期待感も高まっているようです。
11月のムードから年末にかけてのこうした変化で歳末商戦もそれなりの水準になったようで、基調的には消費意欲は腰折れしないという方向にあるように感じられます。
物価が少しずつでも沈静化していけば、平均消費性向は上がらなくても、実質消費水準は上昇しますから、これは家計にとっては朗報です。
10月までの生活物資の大幅上昇については、少し上げ過ぎたという反省もあるようで、消費不振を招かないようにと実質値引きのセールも見られるようになっています。これから年末年始にかけての物価と消費支出の関係から目が離せないところです。
気になるのは、毎月勤労統計では平均賃金は前年比1~2%の上昇ですが、家計調査の勤労者世帯の「世帯主収入」が名目値でも対前年でマイナスを続けている事で、これは小規模・零細企業の実態が含まれるためとみられますが、これも今後の注目点でしょう。