円安が進んでいます。日本の経常黒字は相変わらず確りと続く様相です。アメリカの経常赤字も相変わらずでしょう。円はじりじりと上げ、今日は154円に乗せています。
トランプさんが「アメリカを再び偉大に」と言っているから、それを先読みしドル高になっているのだという見方もあるようです。
しかし為替レートの分析が専門の機関などの意見では、今のドル高・円安は、マネー投機筋の動きによるもの大きいという事のようです。
マネー投機筋が何を見ているかと言えば、決定的な視点は金利差でしょう。
アメリカのインフレはなかなか収まらないのでFRBは政策金利の引き上げに消極的になっているようです。
一方日本はどうでしょうか。少し前までは11月か12月に日銀が政策金利引き上げに動くのではないかと言われていました。しかし最近の観測では、12月にも利上げはないという事のようです。理由は日本の消費者物価指数が2%近傍に下がるかと思われていたのに、10月、11月には、最近また物価が上がって来たというのが生活実感で、先ずは新米が60%も上がっているのに、農水省も、政府も何にも言わないといった状況があるようです。
一方エネルギー価格については、電気・ガス料金が上がらないように関連企業に補助金を出すというちぐはぐな話です。
2%インフレ目標を大事にする日銀は恐らく政策金利の引き上げには動かないという見方になるわけです。
こうして、日米の金利差は当分変わらないという事になりますと、投機筋は当然金利差を活用しようという事でしょう。
その結果、円安が進めば、日本の消費者物価は強含みになるわけで、日銀は金利引き上げに慎重になり、日米金利差はさらに続くという事になりそうです。これでは問題は一向に進みません。
アメリかはともかく、日本は政策金利を早期に引き上げて、金融正常化、預貯金に金利が付き、サラリーマンの将来設計や年金計算の先行きも明るくなり、2000兆円の過半を占める家計貯蓄が金利を生んで家計を潤すようにはなりません。
ただ、無暗に金利を引き上げ円高を招くと、いつかもあったように株が暴落し経済が大変なことになりそうだという恐怖感があるでしょう。
そこで、アメリカやヨーロッパの真似をして、日本も賃金インフレを起こしてみたらどうでしょうか。8~10%でなくても、4~5%で結構でしょう。
当然日銀は2%を目指して消費者物価指数を下げなければなりませんから、金利引き上げが必須になります。
そのためには10%ほどの賃上げが必要でしょうか。消費者物価指数は賃上げ率以上に上がりませんから実質賃金は上がり、円レートは140円とか130年になるでしょうか。日本企業はそれでも頑張るでしょう。
円高で輸入物価は抑制されますし、賃金インフレは労使の協力で2-3年で下がるでしょう。
こんな形で、日本も、金利や為替レートを欧米より上手に使いこなすことで、この経済の閉塞状態から脱出する知恵を持たなければならに時代になって来たようにの思うのですが如何でしょうか。