昨日、総理府統計局から9月分の消費者物価指数が発表になりました。
昨日からのマスコミの報道では、消費者物価指数の上昇は鈍化したが、政府の電気・ガス補助金のためとか、一方、コメの値上がりが目立つとか、家計から見ると何か気になる点が指摘されています。
という事で、まず消費者物価指数の基本的な動きを見てみましょう。
消費者物価主要3指数の推移
青と赤の線は、9月は下降、緑の線は、緩やかですが上がっています、青は「総合」指数で赤は生鮮食品を除いた総合です。9月の上昇率2.4%とマスコミが書いてとるのは、赤い線で生鮮食品を除く総合の対前年上昇率です。政府はこの所この指数を使っていますが、天候不順で生鮮食品の価格が乱高下するからでしょう。
青線の下げた原因は、政府が電気・ガス会社への補助金を復活したこと、赤線の下げが大きいのは、値上がりしている生鮮食品も除いているからです。
緑の線は下がっている電気ガスと上がっている生鮮食品の両方を除いたコアコアと言われる生活の基本部分に関わる物価の動きで、天気や輸入品の動きや政府の恣意的政策の影響が除かれているからです。
政府が物価対策をやったりやめたりしますと、経済指標が不規則に動いて経済の実態が見えなくなり、景気判断などが歪む惧れがあるので、補助金や給付金、増減税などは緊急避難に限定、人気取りのバラマキ反対という意見は貴重です。
消費者物価指数の短期的な動きを、具体的にみるという意味で有用なのが、マスコミの見出しの「対前年上昇率」で下のグラフです。
消費者物価主要3指数の対前年上昇率(%)
資料:商務省、消費者物価指数
日本の消費者物価指数の対前年上昇率は昨年夏ごろから縮小傾向です。政府の2%インフレ目標というのは、これが2%まで下がるという目標ですが、青・赤の線は電気、ガス、石油などへの補助金で動くので実態がよくわかりません。
一番滑らかなのは緑の線で、これは政府の恣意的政策などの入らない国内中心の経済実態を示すのでしスムーズです。2022年、23年と続いた生活必需品の値上げの波が昨年秋から鎮静化かし、7月には1.9%になりました。
その後多少の反発で8月2.0%、9月2.1%となっていますが、これにはコメの値上がりの様な政府の政策の失敗、原材料費や人件費などの価格転嫁が中小企業での遅れを取り返す動き、インバウンド生協の影響などもあると思われます。
しかし、消費支出の10大費目で見ても一時の様な2桁上昇はなくなり日用品ベースでも特売のキャンペーンも増え、家計の財布の紐は予想外に固く、消費者物価指数は安定化の中での動きという予想が出来るのではないかと見ています。
こうした消費者物価指数の動きと、月が替われば発表になる毎月勤労統計の賃金指数の比較で、実質賃金の動向が議論され、来年の春闘に向けての労使の動きも含め気になる時期になってきたようです。