アメリカの消費者物価指数と日本の株価に直接の関係があるわけではありませんが、間接的には大変な関係があることもあります。
今日の日本の株式市場は大変堅調で、日経平均は一時1200円を超える上昇です。このところずっとアメリカの中央銀行であるFRBが来週には政策金利を引き下げることが確定的とみられていて、そうなると日本株は下がらざるを得ないということで、元気だった日本の株式市場も、下げ続ける状況になっています。
ところが昨日アメリカの8月分の消費者物価指数が発表になったことをきっかけに、今日の日経平均は大幅の上昇になったわけです。
先日は、アメリカの雇用の増減が日本の株価に影響するという点にも触れましたが、今度はアメリカの消費者物価指数です。
ことほどさように、アメリカ経済の一挙手一投足が日本の株式市場に影響するということですから、アメリカの消費者物価はどんなことになっているのか改めて見てみようということで、その動きと主な内訳も見てみました。
(グラフが見にくくて済みません 資料:アメリカ労働省
日本の7月の消費者物価指数の対前年上昇率は2.8%で、その中で日本経済固有の原因によって動くコアコア指数の上昇率は1.9%と政府、日銀の目標とする2%インフレを漸く割り込んできました。
アメリカの8月の消費者物価指数の対前年上昇率は2.5%で日本より低いのですが、2か月連続で前月比0.2ポイントの上昇が続いて沈静化の動きがないということのようです。
中身をみますと、はっきりしているのは今のアメリかはモノの価格は上がらないが、それに引き換えサービスの値段は上がっているという事実です。
家内食は安上がり、外食は高い。燃料やガソリン価格が下がっても電力やガス料金は上がっている。全体的に商品は下がっているが、サ-ビス料金は上がっているということで、消費者物価指数上昇の原因は人件費ということになるのでしょう。
結果的に、アメリカのコアコア指数、「食料とエネルギーを除く総合」は前年比3.2%の上昇で、前月比では0.3ポイントの上昇で前月より0.1%の加速ということです。つまりこれは賃金インフレの再燃の恐れを示唆するという判断につながるのでしょう。
賃金インフレ加速の恐れがあれば、金融をあまり緩めるわけにはいかない、18日に決まる政策金利の引き下げは小幅なものにすべきだろうということになりそうというのです。
元々生先金利を0.5ポイント下げるか0.25ポイントにするかで議論になっていて、インフレマインドを止めるためにも0.5%という予想が一般的だったのですが、昨日の消費者物価指数の発表で風向きが急変です。
引下げが小幅になれば、日米の金利差は予想ほど縮まりません。金利差縮小が小さければ、円高への影響は小さくなり、円高が急には進まないというのでれば、日本の輸出産業のうける痛手は当然軽くなります、というわけで、電機や自動車などの企業の株価は上がるという因果関係の連鎖を読んだ予測で株価は動くようです。
それにしても、日本は、アメリカのお蔭で、いろいろと大変ですね。