「こどもの日」に考えたい。
日本の子どもの貧困率は15・7%(2009年度)で6人に1人に及ぶ。貧困率とは、標準の半分に満たない所得で暮らす世帯の割合だ。
1人親世帯の窮状はより際立つ。50%超、2人に1人は貧困状態にあり、先進国で最悪のレベルである。
連休中も生活のために働き続け、行楽に出かけられない親子もいるのではないか。
憂慮すべき状況であるのに、安倍政権は生活保護基準の大幅な引き下げなど、格差と貧困を拡大させかねない政策を打ち出している。
経済的に苦しい家庭の小中学生に学用品費や給食費、修学旅行費などを支給する就学援助制度を利用する児童・生徒は、全国で約155万人(12年度)に上る。
多くの自治体は支給枠設定に生活保護基準を参考としており、基準が下がれば、これまで利用できていた子どもが対象から除外されることになる。特別な措置が必要だろう。
生活保護受給者へのバッシングが社会に根強い中、就学援助の申請をためらう人まで出てきていると指摘する専門家もいる。
生活保護基準の引き下げにとどまらない。安倍政権は「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指し、さまざまな労働法制の改定にも着手している。
経済成長や企業の都合ばかりを優先させ、不安定な雇用が一層広がる懸念が一向に拭えない。日本の母子世帯の母親は8割以上が就労しているが、貧困から抜け出せない現実がある。働いても困窮が続くような社会に希望は見いだせない。
県が11年に生活保護世帯と実際に関わるケースワーカーを対象に行った調査では、親世代の貧困が子どもに影響を与える「貧困の連鎖」について、「感じる」「感じるときがある」との回答が94%に上った。
学力調査でも親の収入によって差が出ている。経済格差が教育の格差に直結する現実をどのように是正するのか。自己責任に帰すのは政治の怠慢でしかない。
ことし1月に「子どもの貧困対策法」が施行された。政府は先月、ようやく「子どもの貧困対策会議」を開いた。支援策を盛り込む大綱案を7月までに作成するという。
格差を広げる社会保障政策、労働政策は改めるべきだ。貧困の連鎖を断つ責任が政府にはある。 【神奈川新聞】
「スウェーデンの今」はかの国の春予算案について書いておられる
http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/f72fa1fef13bc971da8e53227c1b9ae9